地味風男爵令嬢は強面騎士団長から逃げられない

狭山雪菜

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新たな問題2

年下令嬢曰く

アーサー騎士団長様は、娼館に通っている

やら

ブランク公爵は東の領地の令嬢をアーサー騎士団長様の婚約者に決め、結婚に向け準備している




そんな馬鹿なと思ったが…アーサー様とは出会ってから身体を重ねていた期間はほぼ毎日だった
朝まで離してくれない時の方が多かったし…一度考え始めると
もしかしたら、でも…いやもしかしたら

とぐるぐると考えが巡る


気がついたら令嬢は帰っていて私は貴賓室でベッドに腰掛けていた



例え本当だとしても、そんな事教えてほしくなかった

涙がポロポロとこぼれハンカチを取り出す

ーー最近幸せだったから

悪阻が酷かった時みたいに情緒不安定になる
小さな事で泣いて悲しい



ひとりで泣いていたら
ガタッと何かぶつかる音がし両肩を強く掴まれる
顔をあげると目の前にはいつのまにか帰ってきていたアーサー様
「どうした?!」
不機嫌で焦った声のアーサー様が、私の両肩を掴み見つめていた
「…あっアーサー様…すみません…お出迎えもせ…」
「そんなのはどうでもいい」
驚きで涙も止まった私は、帰ってきたアーサー様の出迎えが出来なかった事を謝ったが、遮れた
「何故泣いている?」
不機嫌な顔を少し和らげ、声も落ち着いた

「……………」


「どうした?」

彼の顔を見れず俯き黙ってしまった私の横に座り、背を摩ってくれる
彼の手に安心して、また涙が溢れポロポロとこぼしてしまう
アーサー様は私を優しく持ち上げ横抱きに彼の膝の上に座らせ、濡れた頬の涙を口を寄せ舐めとる
少しずつ落ち着いてきた私は、アーサー様の頬に手を添え目を合わせる
視線を合わせたまま彼は
「何があったんだ?」
と優しく問いかける
「………今日……お客様が…いらして…その」
「…あぁ、あの令嬢か」
もう知らされていたのか答える声は怒っていた
「それで…あっ…アーサー様が………アーサー様が…その」
「俺が?」
まさか自分の名前が出るとは思っていなかったのか戸惑っていた
「…はい…娼館に通っていると」
「……は?!」
アーサー様は驚きで目を見開く
「……あと…東の領地のご令嬢と……結婚が…決まったと」
結婚の話を出して涙がまたポロポロとこぼれる
また泣き出してしまった事で、ああっと焦ったアーサー様は私の腰を引き寄せ、片手で頬を撫で舌で涙を舐めとる


ひとしきり泣いて落ち着いた私に



額をくっつけ宥めるように頬を撫でる
「まず、東の領地の婚約だが…それは俺じゃなく弟だ」
「弟様?」
「…そうもうすぐ15歳だからな、相手も同い年だと聞いた」
まだ、会ったことないがなと優しく言ってくれる

ホッとして頬にある彼の手に自分の手を重ねる

「それから俺が…娼館になんてまずあり得ない、いつも一緒だろう…ここに来れない日は執務をしている…なんなら執事を呼ぶから」
「っ…しかしっ……いつもあんなに情熱的に求めて下さったのに…今抱きしめて寝るだけですし…毎日…してましたわっっ」

とぐるぐる考えていた事を告げると
「ミズナ以外には勃たないし、それに…赤子がいるのに無体は出来ん」
キッパリ言ってくれる
「じゃあ…本当に…?」




「ああ、ミズナだけだ」



夜いつものように腕枕をして抱きしめて
彼の鼓動を聞いて安心して眠れた









後日厳重な抗議をされた年下令嬢の男爵家から謝罪の手紙が届いたが、家族とアーサーが握りつぶしミズナに届く事はなかった
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