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24話 合流
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捜索範囲を遺跡の周辺にも広げてみたが、何も手がかりが見つからなかった。
俺とフェンリスは無言のまま再び水晶のある遺跡の中央へと戻ってきた。
気持ちは焦りでいっぱいだが、冷静さを失わないよう自分に言い聞かせる。
「何が足りないんだ……」
俺は水晶を見つめながら呟いた。
ミアが消えた場所であり、何かが起こった場所。
けれど、それが何なのかは未だに解明できない。
フェンリスは壁に埋め込まれた周りをゆっくりと歩きながら周囲を警戒している。
彼もまた、焦りを感じているのだろう。ミアがこの場にいたこと、そして彼女が消えたこと。それが俺たちにとってどれほど衝撃的だったか。
「ミア……お前はどこにいるんだ」
そう呟いた瞬間、周辺の空間から何かが反応するような微かな感覚が走った。
フェンリスが鋭く反応し、低い唸り声を上げながら水晶を見つめる。
俺もすぐにその異常に気づき、身構えた。
「……なんだ!?」
水晶の周辺が淡く輝き始めた。
その光は徐々に強くなり、どんどん広がっていく。
俺とフェンリスはその様子を注意深く見守ったが、予想外の展開が待ち受けていた。
突然、水晶の手前あたりに光が収束し、その中心から人影が浮かび上がってくる。
その瞬間、目を見開いた。
そこに現れたのは、見間違いようもない、ミアの姿だった。
「ミア!」
フェンリスもその姿を見つけ、即座に駆け寄った。
俺もすぐにミアに近づき、彼女が無事であることを確認しようとする。
だが、ミアはまだその場で茫然と立ち尽くし、状況を把握できていないようだった。
「ミア! お前、無事だったのか!」
俺が声をかけると、ミアはゆっくりとこちらを振り向き、目を見開いたまま驚きの表情を浮かべていた。
その顔には涙の痕が残っており、その瞳の中にはまだ恐怖と混乱が見え隠れしている。
「ゼリルさん! フェンリス!」
ミアが震える声で俺たちの名前を呼んだ。
その瞬間、フェンリスが彼女に飛びつき、安心したように彼女の体に頭を擦り寄せた。
ミアもフェンリスの柔らかな毛並みに手を伸ばし、泣きながら彼を抱きしめる。
「あはは、フェンリスってば。くすぐったいよ!」
「気持ちはわかるが、じゃれ付くのはあとにしろ。ここにいると同じ事が起きるかもしれない」
「そ、それはそう!」
俺に注意されたふたりが反応して飛び上がった。
一刻も早く遺跡を離れるために全員で歩き始める。
「いったい何があったんだ?」
「ゼリルさん……私、突然、あの光に包まれて……気がついたら、全然違う場所にいたんです!」
ミアの声には不安と恐怖が溢れていた。
「大丈夫だ、ミア。お前は無事に戻ってきたんだ」
ミアの肩に手を置き安心させようとしたが、彼女の震えは止まらなかった。
おそらく、彼女が体験した孤独と恐怖は、俺たちが想像していた以上のものだったのだろう。
「どこにいたのか、少しでも分かるか? 何か変わった場所だったか?」
俺が尋ねると、ミアは涙を拭いながら小さく頷いた。
「私がいた場所。そこには誰もいなくて、見たことのない道具や文字がありました。人が住んでいた形跡はあったけれど、書いてある言葉もわからないし、道具も全然見たことがないものばかりで……」
「つまり、お前は別の場所に転移していた。だが、その場所がどこかも、どうしてお前がそこにいたのかもわからないと……」
頭の中で情報を整理しようとしたが、謎は深まるばかりだ。
この遺跡と水晶に何か秘密があるのは間違いない。
しかし、その全貌を知るための手がかりはまだ何も掴めていない。
「とにかく、今はお前が無事に戻ってきたことが大事だ。ひとまず休もう。フェンリスも心配していているぞ」
俺がそう言うと、ミアはフェンリスに目を向け、優しく微笑んだ。
「フェンリス、ありがとう。心配かけて、ごめんね……」
フェンリスが満足そうに尻尾を振る。
彼もまた、ミアが戻ってきたことに安堵していることだろう。
「一度ゆっくり話そう。今はお前が戻ってきたことを喜ぶべきだ」
ミアが小さく頷き、俺たちは砂嵐の谷を抜ける。
謎は残されたままだが、少なくとも俺たちは再び一緒にいる。
大事なのは、本当にそれだけだった。
俺とフェンリスは無言のまま再び水晶のある遺跡の中央へと戻ってきた。
気持ちは焦りでいっぱいだが、冷静さを失わないよう自分に言い聞かせる。
「何が足りないんだ……」
俺は水晶を見つめながら呟いた。
ミアが消えた場所であり、何かが起こった場所。
けれど、それが何なのかは未だに解明できない。
フェンリスは壁に埋め込まれた周りをゆっくりと歩きながら周囲を警戒している。
彼もまた、焦りを感じているのだろう。ミアがこの場にいたこと、そして彼女が消えたこと。それが俺たちにとってどれほど衝撃的だったか。
「ミア……お前はどこにいるんだ」
そう呟いた瞬間、周辺の空間から何かが反応するような微かな感覚が走った。
フェンリスが鋭く反応し、低い唸り声を上げながら水晶を見つめる。
俺もすぐにその異常に気づき、身構えた。
「……なんだ!?」
水晶の周辺が淡く輝き始めた。
その光は徐々に強くなり、どんどん広がっていく。
俺とフェンリスはその様子を注意深く見守ったが、予想外の展開が待ち受けていた。
突然、水晶の手前あたりに光が収束し、その中心から人影が浮かび上がってくる。
その瞬間、目を見開いた。
そこに現れたのは、見間違いようもない、ミアの姿だった。
「ミア!」
フェンリスもその姿を見つけ、即座に駆け寄った。
俺もすぐにミアに近づき、彼女が無事であることを確認しようとする。
だが、ミアはまだその場で茫然と立ち尽くし、状況を把握できていないようだった。
「ミア! お前、無事だったのか!」
俺が声をかけると、ミアはゆっくりとこちらを振り向き、目を見開いたまま驚きの表情を浮かべていた。
その顔には涙の痕が残っており、その瞳の中にはまだ恐怖と混乱が見え隠れしている。
「ゼリルさん! フェンリス!」
ミアが震える声で俺たちの名前を呼んだ。
その瞬間、フェンリスが彼女に飛びつき、安心したように彼女の体に頭を擦り寄せた。
ミアもフェンリスの柔らかな毛並みに手を伸ばし、泣きながら彼を抱きしめる。
「あはは、フェンリスってば。くすぐったいよ!」
「気持ちはわかるが、じゃれ付くのはあとにしろ。ここにいると同じ事が起きるかもしれない」
「そ、それはそう!」
俺に注意されたふたりが反応して飛び上がった。
一刻も早く遺跡を離れるために全員で歩き始める。
「いったい何があったんだ?」
「ゼリルさん……私、突然、あの光に包まれて……気がついたら、全然違う場所にいたんです!」
ミアの声には不安と恐怖が溢れていた。
「大丈夫だ、ミア。お前は無事に戻ってきたんだ」
ミアの肩に手を置き安心させようとしたが、彼女の震えは止まらなかった。
おそらく、彼女が体験した孤独と恐怖は、俺たちが想像していた以上のものだったのだろう。
「どこにいたのか、少しでも分かるか? 何か変わった場所だったか?」
俺が尋ねると、ミアは涙を拭いながら小さく頷いた。
「私がいた場所。そこには誰もいなくて、見たことのない道具や文字がありました。人が住んでいた形跡はあったけれど、書いてある言葉もわからないし、道具も全然見たことがないものばかりで……」
「つまり、お前は別の場所に転移していた。だが、その場所がどこかも、どうしてお前がそこにいたのかもわからないと……」
頭の中で情報を整理しようとしたが、謎は深まるばかりだ。
この遺跡と水晶に何か秘密があるのは間違いない。
しかし、その全貌を知るための手がかりはまだ何も掴めていない。
「とにかく、今はお前が無事に戻ってきたことが大事だ。ひとまず休もう。フェンリスも心配していているぞ」
俺がそう言うと、ミアはフェンリスに目を向け、優しく微笑んだ。
「フェンリス、ありがとう。心配かけて、ごめんね……」
フェンリスが満足そうに尻尾を振る。
彼もまた、ミアが戻ってきたことに安堵していることだろう。
「一度ゆっくり話そう。今はお前が戻ってきたことを喜ぶべきだ」
ミアが小さく頷き、俺たちは砂嵐の谷を抜ける。
謎は残されたままだが、少なくとも俺たちは再び一緒にいる。
大事なのは、本当にそれだけだった。
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