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出会いは学園の屋上で
しおりを挟むわたくしとレオが出逢ったのは、まだ肌寒い日も続く春先の学園の屋上でした。
その日は考えないでいたかった噂が現実であったのだと見せつけられ、気付いたら一人で教室に残っていた。ふと、教室の窓から静かな魔法訓練所が見え、さらに夕陽に成り代わろうかという太陽に照らされた屋上が見えた。
あの屋上なら、幽霊の噂もあるし誰も居ないだろうと、熱を孕んだ頬を冷やしたくて訪れたのだ。
春の訪れがかすかに感じる冷たい風は、程よく頭までも冷やしてくれた。でも、あの光景が浮かぶ度に彼を思う心が涙を止めてくれなくて、誰にもこんな姿を見せたくないと静かに泣いていた。目元を擦ればきっと気付かれる。だから流したまま自分の掌に傷がつくほど手を握り止まるのを待った。
早く止まれと願う思いとは裏腹に彼を想っては次々と雫が溢れてくる。
何故わたくしではダメなの?
こんなにもお慕いしているのに。
彼といるために頑張ったのに。
あの娘は何故簡単に彼の側にいるの?
あの娘が居なければ…。
いいえ、わたくしが不甲斐ないからよ。
そんなネガティブな考えが段々と頭を占領してゆく。ゆっくりと空を見上げて自由に飛び、愛しい人の元にも行ける鳥が羨ましい。
『エル…ザ…。』
ハッとした。微かにだが確かに声が聞こえた。
暗い考えを一掃して、誰も居ないはずの屋上を見回す。
すると、振り向いた形になる場所で、空をふわふわと浮かぶ青年がいた。
誰?いえ、背後が透けて見えているわ。
コレが噂の幽霊?何故こんなところに。
咄嗟に魔法具を取り出し、警戒しながら構えていつでも戦えるようにする。
「アンデットが何か様かしら?」
その言葉に、青年、レオは慌てた様子で首をブンブンと横に振っている。アンデット系のモンスターはこんなに理性的ではない。少しだけ警戒を緩めれば、それが分かるのかホッとしたように息を吐き、ぎこちない笑みを浮かべてきた。
その笑みは、中々のイケメンである。生きていたらモテてたでしょう。
『君には見えるんだな?』
「貴方の姿という意味ならイエスよ。」
『泣き虫な姫さん。武器をおろしてくれないか?この服を見ればわかるだろうが、君の先輩だ。』
そう、レオの服はかつてのこの学園にあった騎士クラスの物だ。今は学園から別れて分校として存在しているため見ることは殆どない。
わたくしは兄が通っていたこともあって知っているが。
ああ、だから騎士が魔法学校に怨みを持ってさ迷っているなんて噂が立つのね。
ここは今は魔法学校だから。
「その様ね。でも、その制服、五年前に廃止されてるの。」
『えっ、マジ?』
「本当よ。貴方は何者?」
『…その警戒心は賛美に値する。けど、そうか、もう無いのか。君以外にははっきり見えないみたいで指摘されなかったよ。』
「害は無いのならいいけど。」
『害?まさか、だって触れはし…な…い…?』
レオは試してみただけだと思うけど、その手はわたくしのたわわな胸を掴んでいた。そう触れているのだ。
その揉まれた様な感触を感じた瞬間に魔法具で呆然としている変態を殴り飛ばした。が、スカッと空を切ってしまった。そこで、直ぐ様空いている手でビンタをお見舞いすれば、今度は良い音と共に変な声をあげて軽く飛んでダウンする。
「害が有りまくりですわね。」
『ほ、本当に君以外は触れない。最初に触ったのがEのたわわ。ラッキー。』
「変態!」
それが、レオとの(最低な)出逢いだった。
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