わたくしは貴方を本当に…

SHIN

文字の大きさ
8 / 34

買い物は危険がいっぱい (後)

しおりを挟む


「いたいけな女性を襲うお前達の方が悪だろ。」


 突然現れたその人は男達の一人を地面に沈め、わたくしの側に来てくれる。その人はどこかで聞いた様な安心する低い声をしており。側に来るとわたくしを守る様に腕の中に囲う、彼は優しく私に笑いかけた後で、おそらく男達を睨み付けた。

 おそらくとつくのは、助けてくれた男の顔上半分が仮面が覆っていて判断つかないからだ。なので、本当に睨んだかもわからないが、雰囲気がピリッとしたので間違いないと思う。

 助けてくれた男、仮面の男はわたくしを片腕で抱き締めながら細身の剣を構える。
 良く見ると、仮面の男の姿はみたこともない騎士の姿だった。上質なそれは只者でない事を知らしめ、体型にぴったりと合っていて、彼が鍛え抜かれた人であることを知らしめている。

 凛としていて隙のないその姿に、何者かもわからないのに遠巻きに成り行きを見ている人々の中から感嘆の溜め息が漏れ聞こえてきた。

 分かります。とても格好いいですし、良い匂いがしますの。

 町民のその反応が気に入らないのか、男達が騒ぎ始める。


「ひ、いや、この人に何の恨みがあるのか知れんが退けのけ。」
「はっ!ナイト気取りかよ。確かにその女身体は良いからな。」


 男達の視線が町娘風の服装であるわたくしの身体に注がれている。嘗め回すように見られ気持ち悪くて仮面の男に身を寄せれば安心させるように抱き締めている手に力を込めてくる。
 町民もそれについて避難の声をあげてくれた。男達の視線が町民に向き、小さな悲鳴が上がる。


「下衆が。」


 町民に矛先が行きかけた所で、仮面の男が軽蔑を含んだ言葉を殺気と共に呟けば、先程まで軽口をたたいていた男達の動きが止まる。
 中には殺気に当てられた者も居て冷や汗を流しながら、固まっている。そんな人達はやっとどんな相手と対峙しているのか自覚したらしく足を小鹿の様に震わせ始めた。

 リーダー格の男は早々にその考えは思い付いているだろうに、後に引けなくなっているみたいでフーフーと興奮した風にまだ剣を向けている。もしかしたら、思わないようにしているのかも知れない。


「その女がどんな奴か知っているのか?」
「……。」
「そんな女より、こっちに付いたらがご褒美をくれるぜ。」


 可愛い、優しい、そして女性。
 そんな人がこんなことをしている黒幕らしい。


「こんな町中で人々を想って魔法を打てない優しい女性を襲うよう言う女が女神な訳無いだろ。馬鹿女に担がれたか。」
「なんだと?あの娘を馬鹿にするな!」
「えっあ、きゃっ。」


 リーダー格の男が剣を振りかぶり飛びかかって来た。
 仮面の男は片手で私を抱き上げると軽く後ろに飛んで、男の剣を避ける。剣は彼が居た場所の地面をえぐった。剣がさらに斬り上げようとするのを踏みつけて地面に固定してしまう。

 剣が使えなくなったのが分かると、あっさりと剣から手を離し、次の時にはナックルが拳に装着されていた。ナックルは淡く光り、パチパチと雷を帯びている。

 彼は剣士じゃなく魔法戦士だ。

 男がニヤリと嗤うと、雷の拳が迫る。
 仮面の男に当たると思った時には、リーダー格の男が吹き飛んでいた。
 えっ、と辺りが沈黙に包まれた。


「弱いなぁ。そんなバレバレの攻撃当たるかよ。」
「な、な、俺は、学園で一番の。」
「何だ。学生か。井の中の蛙ってな!」


 吹き飛ばされた男がそれでも身を起こすのはすごいと思いますが、力の差は歴然。
 止めとばかりに顔を蹴られ、今度こそ気絶した。

 その光景を見ていた他の男達は蜘蛛の子を散らすがの如く逃げていく。だが、誰もリーダー格の男を回収しようとはしない。


「もう、大丈夫だろ。」
「あ、ありがとうございます。」
「ほら、お母さんが待っている。行け。」


 仮面の男は私を地に降ろすと、こちらに青ざめた顔で向かってきている母の方に背を押して行くよう促す。

 わたくしの足が母の方に向くのを確認して、彼は笑って手を軽く振り、リーダーの男を担いで消えて行った。


 彼の姿がレオと重なって見えた気がした。
 おかしいわね。レオは幽霊なのに。









 
 

 
しおりを挟む
感想 24

あなたにおすすめの小説

婚約破棄で見限られたもの

志位斗 茂家波
恋愛
‥‥‥ミアス・フォン・レーラ侯爵令嬢は、パスタリアン王国の王子から婚約破棄を言い渡され、ありもしない冤罪を言われ、彼女は国外へ追放されてしまう。 すでにその国を見限っていた彼女は、これ幸いとばかりに別の国でやりたかったことを始めるのだが‥‥‥ よくある婚約破棄ざまぁもの?思い付きと勢いだけでなぜか出来上がってしまった。

【完結】広間でドレスを脱ぎ捨てた公爵令嬢は優しい香りに包まれる【短編】

青波鳩子
恋愛
シャーリー・フォークナー公爵令嬢は、この国の第一王子であり婚約者であるゼブロン・メルレアンに呼び出されていた。 婚約破棄は皆の総意だと言われたシャーリーは、ゼブロンの友人たちの総意では受け入れられないと、王宮で働く者たちの意見を集めて欲しいと言う。 そんなことを言いだすシャーリーを小馬鹿にするゼブロンと取り巻きの生徒会役員たち。 それで納得してくれるのならと卒業パーティ会場から王宮へ向かう。 ゼブロンは自分が住まう王宮で集めた意見が自分と食い違っていることに茫然とする。 *別サイトにアップ済みで、加筆改稿しています。 *約2万字の短編です。 *完結しています。 *11月8日22時に1、2、3話、11月9日10時に4、5、最終話を投稿します。

(完結)私が貴方から卒業する時

青空一夏
恋愛
私はペシオ公爵家のソレンヌ。ランディ・ヴァレリアン第2王子は私の婚約者だ。彼に幼い頃慰めてもらった思い出がある私はずっと恋をしていたわ。 だから、ランディ様に相応しくなれるよう努力してきたの。でもね、彼は・・・・・・ ※なんちゃって西洋風異世界。現代的な表現や機器、お料理などでてくる可能性あり。史実には全く基づいておりません。

婚約者から妾になれと言われた私は、婚約を破棄することにしました

天宮有
恋愛
公爵令嬢の私エミリーは、婚約者のアシェル王子に「妾になれ」と言われてしまう。 アシェルは子爵令嬢のキアラを好きになったようで、妾になる原因を私のせいにしたいようだ。 もうアシェルと関わりたくない私は、妾にならず婚約破棄しようと決意していた。

あなたの幸せを、心からお祈りしています

たくわん
恋愛
「平民の娘ごときが、騎士の妻になれると思ったのか」 宮廷音楽家の娘リディアは、愛を誓い合った騎士エドゥアルトから、一方的に婚約破棄を告げられる。理由は「身分違い」。彼が選んだのは、爵位と持参金を持つ貴族令嬢だった。 傷ついた心を抱えながらも、リディアは決意する。 「音楽の道で、誰にも見下されない存在になってみせる」 革新的な合奏曲の創作、宮廷初の「音楽会」の開催、そして若き隣国王子との出会い——。 才能と努力だけを武器に、リディアは宮廷音楽界の頂点へと駆け上がっていく。 一方、妻の浪費と実家の圧力に苦しむエドゥアルトは、次第に転落の道を辿り始める。そして彼は気づくのだ。自分が何を失ったのかを。

真実の愛がどうなろうと関係ありません。

希猫 ゆうみ
恋愛
伯爵令息サディアスはメイドのリディと恋に落ちた。 婚約者であった伯爵令嬢フェルネは無残にも婚約を解消されてしまう。 「僕はリディと真実の愛を貫く。誰にも邪魔はさせない!」 サディアスの両親エヴァンズ伯爵夫妻は激怒し、息子を勘当、追放する。 それもそのはずで、フェルネは王家の血を引く名門貴族パートランド伯爵家の一人娘だった。 サディアスからの一方的な婚約解消は決して許されない裏切りだったのだ。 一ヶ月後、愛を信じないフェルネに新たな求婚者が現れる。 若きバラクロフ侯爵レジナルド。 「あら、あなたも真実の愛を実らせようって仰いますの?」 フェルネの曾祖母シャーリンとレジナルドの祖父アルフォンス卿には悲恋の歴史がある。 「子孫の我々が結婚しようと関係ない。聡明な妻が欲しいだけだ」 互いに塩対応だったはずが、気づくとクーデレ夫婦になっていたフェルネとレジナルド。 その頃、真実の愛を貫いたはずのサディアスは…… (予定より長くなってしまった為、完結に伴い短編→長編に変更しました)

もしもゲーム通りになってたら?

クラッベ
恋愛
よくある転生もので悪役令嬢はいい子に、ヒロインが逆ハーレム狙いの悪女だったりしますが もし、転生者がヒロインだけで、悪役令嬢がゲーム通りの悪人だったなら? 全てがゲーム通りに進んだとしたら? 果たしてヒロインは幸せになれるのか ※3/15 思いついたのが出来たので、おまけとして追加しました。 ※9/28 また新しく思いつきましたので掲載します。今後も何か思いつきましたら更新しますが、基本的には「完結」とさせていただいてます。9/29も一話更新する予定です。 ※2/8 「パターンその6・おまけ」を更新しました。 ※4/14「パターンその7・おまけ」を更新しました。

とある婚約破棄の事情

あかし瑞穂
恋愛
「そんな卑怯な女を王妃にする訳にはいかない。お前との婚約はこの場で破棄する!」 平民の女子生徒に嫌がらせをしたとして、婚約者のディラン王子から婚約破棄されたディーナ=ラインハルト伯爵令嬢。ここまでは、よくある婚約破棄だけど……? 悪役令嬢婚約破棄のちょっとした裏事情。 *小説家になろうでも公開しています。

処理中です...