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おまけ③
しおりを挟むとある島国の総代表者はわたくし達をソファーも机もない部屋に通されて、そのまま座ると目の前の床に緑茶というものと茶菓子というものを出して対面に座りました。
この部屋には靴を脱いで入るという決め事があるらしく、長旅で酷使した足が解放されて気持ちが良いです。
「いやぁ、腕のある旅の冒険者でよかったです。」
実は海を満喫し、魚介類をたくさん使った食事を堪能して、いざお土産を国に送ろうとした所で海からリヴァイアサンという大きな蛇の様な物がが現れ、人々が襲われていると騒ぎが起こったのです。
何も悪くない人々が襲われ、せっかくの海の綺麗な場所が穢れるのが許せなくて、わたくしとレオが駆けつけると、確かにそこには蛇のように長い生物が居ました。しかし、その肌はドラゴンの様な肌質で口からは煙を出している、見たこともないモンスターでした。
リヴァイアサンと言う名は、逃げる人を一人捕まえて事情を聞いたときに知りました。
リヴァイアサンはたまにこうして海から姿を現し、渦潮を作ったり、口から炎を吐いてきたりするらしいです。
数年に一回に男性の生け贄を出して鎮めるらしいのですが、今回の出現は早くそんな準備をしていないのだとか。
もしかしたら、カペルがわたくし達の国で暴れたことで何かが起こって早まってしまったのでしょうか。
「とりあえず、やるぞ。」
「はい。」
レオが剣を異空間から召喚するという離れ業を披露したあと、リヴァイアサンと向き合います。
リヴァイアサンはレオを視界に入れると、目を輝かせて。
ん?目を輝かせていますね。敵対の意思はなさそうかしら。
『今回の生け贄は超好み。番にしても良いかも。』
「は?」
「いや、嫁さん居るし。」
鋭い牙の間から漏れる声に、イラッときました。
前言撤回します。敵意処かわたくしの敵ですわ。何ですか。番ですって?そもそも生け贄じゃありません。
レオはわたくしの旦那様ですのよ。何年いえ、何千年生きているか分からないおばさんに色目を使われてもこまります。
わたくしは、上級の雷魔法を発動するため魔力を練り始めました。
できれば最上級魔法の方が良いのですが、さすがにわたくしの腕では制御できませんので。
ああ。前と違ってある程度魔法に精度がつけられるなんて、良いですわね。こうやってピンポイントで打てるのですから。
これは魔王とエリザベート様に感謝ですね。
手に集まる魔力がパチパチと火花を散らす。
レオが苦笑いしながら引き付けていてくれる所で、その魔力を相手に打つ。
『雷よ』
魔法を叫べば、一筋の青光がリヴァイアサンに目掛けて落ちる。
しかし、それは簡単に避けられてしまいました。
めげずに次なる魔法を準備すれば、リヴァイアサンに姿を見られて鼻で笑われた。
『あら、羽虫が煩いこと。』
「なっ!」
「私の愛しい妻を羽虫呼ばわりか。」
『こんなちんくしゃよりも大人の色気のあるわたしの方が良いでしょ?』
パチパチと火花がまた手に発生していた。
リヴァイアサンはまた同じ技かよと言うような蔑む様な目をこちらに向けてきている。
でも、残念です。
わたくしが避けられた同じ技を普通に使うわけないじゃないですか。
魔法の雷は放たれたと同時にリヴァイアサンは先ほどと同じ様に避けます。しかし、わたくしが狙っていたのはレオの方です。
レオに放たれた魔法は彼が持つその剣に吸収され、剣が雷属性を帯びる。彼の扱う剣は新婚旅行に行く際に父様から贈られた業物で、魔力に馴染みがあり魔法をコーティングすることができるのです。
魔力により切れ味が上がり、魔法で属性をつけられる。ただし、耐えきるのは中級魔法のみなのです。
その剣が、雷の余波を予想して避けたリヴァイアサンの胴を撫でるように斬りつける。予想では雷の余波でレオも待機状態だと思っていたでしょうが、わたくしの行動で何も言わずに連携してくれました。
わたくしはただ信じていただけです。
その結果、リヴァイアサンは咆哮を上げ、血を傷から吹き上げて雷に身体を硬調させて悶えていた。
未だに雷を帯びている剣をリヴァイアサンに向けてレオが情けの言葉を発する。
「撤退することをオススメするよ。」
『くっ。まあ、良いわ。覚えてなさいよ。』
リヴァイアサンはそう言って、海の沖の方に消えて行った。姿も気配も完全に消えたあとに大きなため息を吐き、安堵の笑みを洩らす。ここで素直に退散してくれて本当に助かりました。
あの最後の攻撃はちゃんと入った様に見えましたが、想像よりも浅くてこちらも困っていましたから。
それでも攻撃は可能かも知れませんが、相手がそれに気付いたら反撃がきたでしょう。その前に切り上げさせたレオは流石です。
「これで、ヘイトが私に向けば良いがな。」
「それはそれでわたくしが困りますわ。」
「まあ、私が何処の誰だか知らないだろうからこの広い世界をさ迷うだけだろうな。私達の国は海がないからな。」
確かに、もしレオにリヴァイアサンの注意が向いたら、この島の人々には平穏が訪れるでしょう。ですが、今の状態だとレオを守れませんわ。今回でもけっこうギリギリなのに。
「わかりましたわ。では、レオを守るためにわたくしは強くなりますわ。」
「ん?」
「絶体にあんなおばさんに渡しませんわ。」
ぐっと拳に力を込めて決意すれば、レオは何とも言えない表情で苦笑いを浮かべていた。
リヴァイアサンが消えた海が落ち着く頃。
おそらく島の人々が知らせたのだろう代表のかたが現れた。
そして、冒頭にもどります。
「もしも、またリヴァイアサンが現れたら、『お前をのした相手は北にいる』とお伝えください。」
にっこりとそう伝言を伝えれば、総代表者が顔を強張らせて、乾いた笑いを発していた。
にしても、リヴァイアサンは魔王と対立するきなのかしら。
『もうっ、痛いわ。』
「リヴァイアサン様、暴れないでください。」
とある洞窟に、一人の青髪の妙齢の女性とフード姿の者が一人いた。
声からしてフード姿の方は年若い男であろうか。
妙齢の女性は、あのリヴァイアサンであった。
脇に浅いが焼き斬られた傷痕がある。切られると同時に雷で焼かれた傷はじくじくと塞がることはない。
フードの男が治癒魔法をかけても治るところか塞がることは気配は見えなかった。しょうがないので昔ながらの糸で縫うということをするはめになってしまったのだ。
「リヴァイアサン様が怪我など珍しいですね。」
『聞いてよ。旦那にしたい男を見つけたんだけど羽虫が邪魔して。』
「ああ、貴女が殺した番の代わりを見つけたのですね。」
『うふふ、絶対手に入れてやるんだから。』
口元に弧を描いて笑う姿は男ならば欲してしまうほどの色かをかもちだしている。
フードの男は処置を終えるとその傷口に残った微かな魔力の気配に、身に覚えがあった。
それはある男が執着する極上の魂の持ち主。
こんなところで繋がりがあるとは。
リヴァイアサンの張り切りようは世界中を探しそうな勢いだ。さて、どうするか。
フード男の目に怪しい光が灯った。
「リヴァイアサン様、いい情報を教えましょう。」
闇が蠢き、また世界が世話しなく動き出す。
※とりあえず一端終わりにします。要望がありましたら続くと思います。
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