警護者キリュウ

どらんくうざ

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十三才 夜の会話と初めて見た降霊

02

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 キリュウはミエナを連れてリリポットまでやってきた。
彼女にサナエの名前を出すと素直についてきたのだった。

「で、サナエさんといつ会えるの?」

 彼はため息を吐くと、彼女の両肩を掴む。
カエアが参加する傍聴にも参加するんだとダメ出しを行った。
彼女は笑うと、分かってると言う。
そのため、彼は筋肉のついた柔らかい肩から手をどかした。

 二人は黙々とそれからうるさくリリポットに入った。
詰め所を通り過ぎてキリュウとサナエの暮らす寮に向かった。
踏み固められている雪道を歩いていく。

 サナエは女子寮に暮らしているために、キリュウは別れて玄関で待つことにした。
寮の廊下に消える彼女の姿を見ながら、何故あれほどミネアが喜ぶのか考えていた。
しかし、すぐに裁判に意識がとんだ。女同士の絆に関心がもてなかったからだった。

「キリュウ、終わったわ」

 夢心地のように頬を染めながらミネアが戻ってきた。
彼女の後ろにサナエがゆっくりと歩いてきていた。
年上の女性は年少の少女の方に飛び切りの笑顔を見せていた。
キリュウはミネアを宿まで送り届けようとした時に、サナエが一言。

「ミエナちゃん、またね」

 政治的な中心地には高等審判所があり、各所に簡易審判所が置かれていた。
審判所では刑事事件以外の地域の訴訟などの揉め事の仲裁もしていた。

 裁判当日。 
キリュウとミネアは待ち合わせをして審判所まで向かった。
サナエは式典に出席するために数日前にリリポットを発っていた。
キリュウにとって、その事が彼女に絡まれないですむという慰めだった。

 簡易審判所は都市ポロポロの隅に建つ建造物。
法定の中の奥に審議場が設けられていた。
中は扉のすぐ外側に傍聴席が並んでいた。
通常の判決は、陪審者に選ばれている人物たちの多数決で決められていた。
重大な犯罪の時には全会一致を原則にしていた。

 キリュウは傍聴席にミネアと並んで座った。
他にひとりだけ傍聴席に人が座っていた。
法廷の審議場と傍聴席は木製の柱で中が見えるように仕切られていた。

「緊張するなあ」

 裁判の議事進行役及び判決を口述する判事が入廷した。
彼は白と黒色の二色からなる法服を着ている。
背は高く綺麗に刈り込まれた髪型と髭を生やしていた。
その後に続いて被告人と弁論人さらに犯罪を訴追する警護者が続く。
一番最後に真っ白な服を着こんだ少女が入ってきた。
少女はカエアであり、真っ白な服は正式な時に使われている祭服なのであろう。

 キリュウは開廷される前から緊張してきていた。
目は審議場を凝視していた。
時間が経つのに気づかなかったので、隣のミネアに叩かれた時に驚いてしまった。

「ミネア、何だよ」

「そんな気を張り詰めてると疲れちゃうわよ。
リラックスしてましょ」
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