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58.初恋 ※
「久我さんの初恋はいつだったんですか?」
「初恋?!」
「はい。これ読んでたら、なんか気になって……」
久我に『初恋』という文字が表紙に書かれた本を見せた。寝る前に冬麻はリビングのソファで初恋をテーマにした本を読んでいて、久我に初恋の話を聞いてみようかなと思い立ったのだ。
「俺の初恋は冬麻だよ」
久我は冬麻のすぐ隣に座り、冬麻の膝を撫でてきた。
「もう! そういうのはいいですから。幼稚園の先生とか、中学校の同級生とか、俺に出会う前に何かないんですか?」
久我が冬麻と出会ったのは二十歳のときだったと聞いた。冬麻としてはそれ以前の久我の恋愛遍歴を聞いてみたかった。
「ない。恋愛とかよくわからなかったな。俺と陽向が生きていくことだけで精一杯だったから」
「そっか。久我さん、陽向くんの面倒をずっとみてたんでしたね……。でも、モテたでしょ?」
学生時代の久我もきっとかっこよかったに違いない。それで特定の相手がいなかったのなら、モテモテだったのではないか。
「俺のそんな話、聞きたい?」
「はい。すごく」
隣に座る久我に視線をむけると、久我は「冬麻が知りたいなら」と微笑んだ。
「今はもう慣れたけど、出会った人に俺はほとんど好意を持たれるんだ。学生のときは修学旅行の班が同じだとか、一緒に学級委員をやったとか、そんなことだけですぐに告白された」
久我と修学旅行で京都の街を観光して歩いたり、放課後ふたりきりで委員会活動をしていたら、久我に惚れてしまうかもしれない。
「仕事を始めてからもそうだ。こっちは真面目にビジネスの話をしているのに、まともに取り合ってもらえない。質問はありますかって聞くと俺のプライベートのことばかり聞かれて辟易したよ」
たしかに。こんなに仕事ができてかっこいい人に出会えることなんて滅多にない。仕事そっちのけで婚活にはしりたくなる気持ちもわからなくもない。
「みんなに好かれる久我さんに選んでもらえた俺は幸せ者ですね」
冬麻が久我の肩に寄りかかると、久我は冬麻の背中に腕を回して冬麻を抱き寄せた。
「違う。俺が冬麻に選んでもらえたんだ。冬麻とこうしていられる時間が一番幸せだ」
たまらないといった様子でぎゅっと抱き締められる。久我はいつもいい匂いがする。この人のそばにいるとすごく安心する。
「久我さん、ファーストキスはいつだったんですか?」
久我の腕の中で身体を回して、冬麻は久我の膝の上にまたがる体勢で、久我の表情を伺う。
「え?!」
「それも聞きたいです。言うと俺は久我さんです。久我さんからされたのが、初めてでした……」
久我と初めてキスをしたとき冬麻は二十歳だった。初めてが男同士のキスで、そのあとも冬麻は久我以外の人とそういったことはしていない。
「今日の冬麻はどうしたの? 俺の話なんて聞いてもつまらないでしょ?」
「久我さんは、俺とするよりも前に、他の人とキスしたことあるんですか……?」
久我はあのとき三十歳。二十歳だった冬麻とは違い、いろんな色恋沙汰は既に経験済みだったのではないか。
恋人はいなくとも、一夜限りの行きずりの相手やセフレ。風俗、それに性接待——。
「ないよ。ない。その話はおしまい」
久我は何かを振り払うように首を横に振り、それからいきなり冬麻の唇にチュッとキスをする。
「俺には冬麻だけ」
久我はそのまま冬麻の唇を何度も奪う。
「待っ……んっ……はぅ……」
久我にもっと話を聞きたかったのに、久我に唇を塞がれてしまい、それは叶わなかった。
キスをしながら久我が冬麻の下半身に手を触れた。
「あっ……」
服の上からでも、敏感なところを撫でられるとそこがどんどん反応を示してくる。
「冬麻。ここでしてもいい?」
久我にそう囁かれ、羞恥で顔がほてってくる。リビングは明るいし、広すぎてそういうことをするにはなんだか落ち着かない。
そう思っているのに、久我の手が服の中に侵入し、久我が肌を撫でると冬麻の身体は何かを期待する。久我の巧みなテクニックで性感帯を攻められるとつい吐息が漏れる。
「昨日、散々苛めたから、ここはやめておこうか」
久我の指が冬麻の後孔に触れた。そこに触れられるといつも身体がビクッと震える。
「いえ、大丈夫です……」
久我に酷くされたことなと一度もない。昨日みたいに激しくされてもたまにはいいのにな、と思うくらいだ。
「無理しない。そういうことしなくても、冬麻のことちゃんと気持ちよくしてあげるから」
冬麻が久我の上にまたがってマウントをとっていたのに、呆気なく久我に返された。
ソファの上に押し倒され、下に履いていたものをすべて剥ぎ取られる。久我は冬麻の下半身に顔を埋め、冬麻のそれを口に含んだ。
「あっ、駄目っ……はぁん……」
いつもそうだ。久我主導で、冬麻は久我の手によって快楽に沈められていく——。
「初恋?!」
「はい。これ読んでたら、なんか気になって……」
久我に『初恋』という文字が表紙に書かれた本を見せた。寝る前に冬麻はリビングのソファで初恋をテーマにした本を読んでいて、久我に初恋の話を聞いてみようかなと思い立ったのだ。
「俺の初恋は冬麻だよ」
久我は冬麻のすぐ隣に座り、冬麻の膝を撫でてきた。
「もう! そういうのはいいですから。幼稚園の先生とか、中学校の同級生とか、俺に出会う前に何かないんですか?」
久我が冬麻と出会ったのは二十歳のときだったと聞いた。冬麻としてはそれ以前の久我の恋愛遍歴を聞いてみたかった。
「ない。恋愛とかよくわからなかったな。俺と陽向が生きていくことだけで精一杯だったから」
「そっか。久我さん、陽向くんの面倒をずっとみてたんでしたね……。でも、モテたでしょ?」
学生時代の久我もきっとかっこよかったに違いない。それで特定の相手がいなかったのなら、モテモテだったのではないか。
「俺のそんな話、聞きたい?」
「はい。すごく」
隣に座る久我に視線をむけると、久我は「冬麻が知りたいなら」と微笑んだ。
「今はもう慣れたけど、出会った人に俺はほとんど好意を持たれるんだ。学生のときは修学旅行の班が同じだとか、一緒に学級委員をやったとか、そんなことだけですぐに告白された」
久我と修学旅行で京都の街を観光して歩いたり、放課後ふたりきりで委員会活動をしていたら、久我に惚れてしまうかもしれない。
「仕事を始めてからもそうだ。こっちは真面目にビジネスの話をしているのに、まともに取り合ってもらえない。質問はありますかって聞くと俺のプライベートのことばかり聞かれて辟易したよ」
たしかに。こんなに仕事ができてかっこいい人に出会えることなんて滅多にない。仕事そっちのけで婚活にはしりたくなる気持ちもわからなくもない。
「みんなに好かれる久我さんに選んでもらえた俺は幸せ者ですね」
冬麻が久我の肩に寄りかかると、久我は冬麻の背中に腕を回して冬麻を抱き寄せた。
「違う。俺が冬麻に選んでもらえたんだ。冬麻とこうしていられる時間が一番幸せだ」
たまらないといった様子でぎゅっと抱き締められる。久我はいつもいい匂いがする。この人のそばにいるとすごく安心する。
「久我さん、ファーストキスはいつだったんですか?」
久我の腕の中で身体を回して、冬麻は久我の膝の上にまたがる体勢で、久我の表情を伺う。
「え?!」
「それも聞きたいです。言うと俺は久我さんです。久我さんからされたのが、初めてでした……」
久我と初めてキスをしたとき冬麻は二十歳だった。初めてが男同士のキスで、そのあとも冬麻は久我以外の人とそういったことはしていない。
「今日の冬麻はどうしたの? 俺の話なんて聞いてもつまらないでしょ?」
「久我さんは、俺とするよりも前に、他の人とキスしたことあるんですか……?」
久我はあのとき三十歳。二十歳だった冬麻とは違い、いろんな色恋沙汰は既に経験済みだったのではないか。
恋人はいなくとも、一夜限りの行きずりの相手やセフレ。風俗、それに性接待——。
「ないよ。ない。その話はおしまい」
久我は何かを振り払うように首を横に振り、それからいきなり冬麻の唇にチュッとキスをする。
「俺には冬麻だけ」
久我はそのまま冬麻の唇を何度も奪う。
「待っ……んっ……はぅ……」
久我にもっと話を聞きたかったのに、久我に唇を塞がれてしまい、それは叶わなかった。
キスをしながら久我が冬麻の下半身に手を触れた。
「あっ……」
服の上からでも、敏感なところを撫でられるとそこがどんどん反応を示してくる。
「冬麻。ここでしてもいい?」
久我にそう囁かれ、羞恥で顔がほてってくる。リビングは明るいし、広すぎてそういうことをするにはなんだか落ち着かない。
そう思っているのに、久我の手が服の中に侵入し、久我が肌を撫でると冬麻の身体は何かを期待する。久我の巧みなテクニックで性感帯を攻められるとつい吐息が漏れる。
「昨日、散々苛めたから、ここはやめておこうか」
久我の指が冬麻の後孔に触れた。そこに触れられるといつも身体がビクッと震える。
「いえ、大丈夫です……」
久我に酷くされたことなと一度もない。昨日みたいに激しくされてもたまにはいいのにな、と思うくらいだ。
「無理しない。そういうことしなくても、冬麻のことちゃんと気持ちよくしてあげるから」
冬麻が久我の上にまたがってマウントをとっていたのに、呆気なく久我に返された。
ソファの上に押し倒され、下に履いていたものをすべて剥ぎ取られる。久我は冬麻の下半身に顔を埋め、冬麻のそれを口に含んだ。
「あっ、駄目っ……はぁん……」
いつもそうだ。久我主導で、冬麻は久我の手によって快楽に沈められていく——。
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