婚約者変更で傲慢アルファの妃になりました

雨宮里玖

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35.初夜のやり直し

 本当の初夜は一年前の今日だ。
 それなのに、ハルは湯浴みをしながらまったく緊張がとれない。
 ゼインと心を通わせてから、今日が初めての夜だ。
 今までゼインは、オルフェウスと結婚させるためにハルを抱くことをしなかった。だがふたりは本当の気持ちを確かめ合った。もしかしたらゼインはハルのことを抱こうとするかもしれない。

「どうしよう、どうしよう……」

 なぜか初夜のとき以上に落ち着かない。
 でも部屋に戻らなければならない。先に湯浴みを終えているゼインが待っているかもしれない。
 いつもの室内着を着て、そろそろと寝室の扉を開け中に入る。寝室には黒色の室内着を着たゼインが立っていて、静かに窓の外を眺めていた。
 ゼインはハルが入ってきたことに気がついて、こちらを振り向いた。
 ふたりはぎこちない雰囲気だったが、なんとなく近づいて、向かい合わせになる。

「あのっ」
「あっ……」

 ふたり同時に話し出そうとして、「ゼ、ゼインさまからどうぞっ」とハルはゼインに譲る。

「ハル。ひとつ提案があるのだが」
「な、なんでしょう?」
「初夜のやり直しをしないか?」
「えっ?」

 今、ゼインはなんと言った?

「俺たちは一年も前から婚姻関係にあったが、俺の中では今日が事実上の初夜ではないかと思っていて……」
「は、はい……」

 初夜という単語を聞いただけでハルは恥ずかしくなり、顔が熱くなってしまう。

「そ、それで、あの……ハルにお願いが……」
「お願い、ですか?」
「一年前、初めての夜のとき、ハルが身につけていた服を着ていただきたく……」
「んっ?」

 一年前来ていた服というのはなんの話だろう。

「……あ、あの、透け透けの艶かしい服だ」
「ええっ!」

 そこまで言われて思い出した。初夜だからとハルは張り切って、透け透けの服を着てゼインに「抱いてください」と迫ったのだ。
 あれはハルの黒歴史と化していたのに。

「無理にとは言わない。ただ、本当に惜しいことをしたと思っていて……あのときのハルを思い出して何度も抜……」

 ゼインは急に「なんでもない」とそれ以上の言葉を濁した。

「ゼ、ゼインさまがお望みならっ。……決して笑わないでくださいね」
「いいのかっ?」
「着替えてきますので、少しお待ちください」

 ハルは部屋の奥に行き、引き出しの奥にしまい込んでいた例の服を取り出す。
 この服を着るには一度全裸にならないといけない。チラッとゼインのほうを見ると、ゼインはちゃんと後ろを向いてくれていたので、その隙にハルは着替えを終える。
 着てみて思い出した。生地は透けているし、身体を覆う布地も最低限といってもいいくらいの服だ。下半身なんて太腿が露わになっていて、前を隠す生地をちょっと捲られただけで大切な部分が丸見えになる。

「ゼインさま、着替えました。いかがでしょうか」

 ハルの呼びかけに、ゼインが振り返る。

「綺麗だ……」

 ゼインはハルの全身を眺めている。頭からつま先まで熱い視線を感じて、ハルは恥ずかしくてたまらない。

「あんまり、見ないで……」

 羞恥のあまりにどこかに隠れたくなってきた。こんな格好をして、本当にゼインは喜んでくれるのだろうか。

「ハル」

 ゆっくりと近づいてきたゼインは、ハルの手を取った。

「このまま抱いてもいいか?」

 ゼインからの眼差しに心を射抜かれたようだった。
 ずっと、ゼインに触れたかった。この身体に触れてほしかった。
 心臓はうるさいし、緊張で手が震えている。アルファとオメガが実際に何をするかもあまりよくわかっていない。
 でも、ゼインと愛し合いたい。ゼインの特別になりたい。
 ハルはこくんと頷き、ゼインに身を寄せる。ゼインはハルの腰を抱き寄せ、もう片方の手でハルの髪を撫でた。

「ハル。愛している。ずっと一緒にいよう」

 ゼインはハルを抱きしめ、ハルのつむじに何度もキスをする。

「はい。ゼインさま……」

 ハルは顔を上げる。すぐ近くにゼインの顔があって、ゼインはハルを愛おしげに見つめている。
 見つめ合ううちに、どちらからともなく唇を重ねる。自然にふたりのキスは深くなっていく。

「ん……っ、は……ぁ……」

 ゼインの情熱的な舌がハルの口内を犯していく。ゼインとのキスはどうしてこんなに気持ちがいいのだろう。よすぎてゼインのことしか考えられなくなる。
 ゼインの手は、ハルの身体を丁寧に愛撫する。生地が薄いから布越しでも熱を感じてしまうし、肌の露出が多いから、露わになっている太腿に触れられて、ハルはビクッと反応してしまう。

「これはそそられるな」

 ゼインは太腿からハルのもっと内側へと手を這わせてくる。内腿を撫でられたあと、ゼインの手はハルの薄布の服の隙間から侵入してきてハルの尻に触れた。

「あっ……ゼインさま、いけません、そんなところ……っ」

 ハルはたまらずゼインに抱きついた。感じてしまう自分が怖くて、恥ずかしくて、何かにしがみついていたくなった。

「ハル、すまない。これはとても興奮する。もう我慢ができない」
「わっ!」

 ゼインに抱きしめられたと思ったら、抱き合った格好のままベッドに倒された。その勢いで簡単に服がめくれてしまったので、ハルは慌てて前を隠す。

「ハル……可愛い……」

 ゼインはハルの肩にあった布を下げ、ハルの胸を露わにする。ハルの胸の小さな蕾をゼインは口に含む。もう一方の膨らみはゼインの指で弄られ、ハルは甘い声を洩らす。

「あっ……あぁ…っ……」

 そんなところを触られたことなんてない。ゼインに指でつままれ、一方は舌で転がされ、身体が次第に熱を帯びていく。

「あっ、そこっ……んっ……あぁぁっ……」

 ゼインの手が、ハルの股間の中央の膨らみに触れた。ハルのそこはさっきからの愛撫ですっかり反応を示している。それをなけなしの布の上から触れられ、感じてしまってハルは腰を揺らした。

「あっ……だめそんなことしたら……!」

 ゼインはハルの前を隠していた布をめくり上げ、手のひらでハルの硬くなったものを包み込み、上下に扱き始めた。
 そこに触れられると、腰の奥のほうからじわじわと快感が襲ってくる。ハルは快感を逃そうと身をよじるが、ゼインの手は容赦なくハルを攻めてくる。

「うぅっ…ん……あっ、あぁぁっ……」

 これは抗えない。気がつけばハルは腰を揺らして快感に身を委ねていた。

「ハル、こっちも濡れてる」

 ゼインの手は今度はハルの後孔にのびる。感じやすくなっているのか、オメガの秘蕾はすでにぐちゃぐちゃに濡れそぼっていた。

「ゼインさま、見ないで……」

 アルファを欲しがっているみたいで、とても恥ずかしい。

「どうして? 今のハルはとても可愛い。こんな姿を見せられたら、ハルのことをもっと好きになる」
「あっ……あぁん……っ」

 ゼインはハルの身体を愛撫する。
 今のハルはゼインに脇腹をちょっと触れられただけでも感じてしまう。
 下半身を濡らして、ゼインに愛撫されるたび身体をビクンビクンと震わせて、乱れた服は腰に少し巻きついている程度。こんな卑猥な姿をゼインに見られたくない。

「身体が熱い。ラットを起こしそうだ……」

 ゼインはガバッと身につけていた服を取り払った。
 ゼインの裸体を見るのは初めてだ。
 アルファ然とした引き締まった身体だ。ゼインは戦いに身を投じているせいか、無駄のない筋肉質な身体のつくりをしている。逞しい腕、すらりと伸びた脚、ゼインの鍛え上げられた肉体に思わず見惚れてしまう。

「ハル、苦しかったら言え」
「あ、あ、あぁっ……」

 ゼインの指がヒクつく蕾をこじ開けてきた。身体の内側から弄られる、慣れない感覚にハルは身体をわななかせる。
 ゼインの指の本数が増え、圧迫感を感じる。うねる内壁がゼインから与えられる刺激に反応して、甘い疼きがハルに襲いかかってくる。
 ゼインがそこを弄るたびに、ぐちゅぐちゅと卑猥な音が聞こえる。ハルも自分の内部から愛液が漏れ出ているのを感じる。ゼインの指にそこを侵されるたび、ハルはびくんと跳ねる。

「あっ……! そこ、なに、あぁぁぁっ!」

 ゼインがある場所に触れた途端、ハルの身体を猛烈な快感が襲う。こんなに気持ちがいいものは、今まで感じたことがない。

「ハルはここが好きなのか」
「あっ、あぁっ、だめだって、そこ、おかしくなる……!」

 ハルは前を触られてもないのに、達してしまった。ゼインの目の前で白濁を思い切り放ってしまって、あまりの恥ずかしさに身悶える。

「ハルは感じやすいんだな」

 ゼインはハルの唇にチュッとキスをしたあと、ハルの膝を掴んで脚を大きく広げた。そしてゼインは自らの屹立をハルの後孔に押し当てた。

「あ、あ、あぁぁぁーーっ!」

 オメガの後孔にゼインのものを突き立てられ、あまりの刺激にハルは大きく背中を仰け反らせる。
 大きい。さっきまでの指とくらべものにならない。
 絶対に無理だと思うのに、オメガの身体はアルファのそれをゆっくりと吞み込んでいく。

「あっ、あっ、すごい……っ、はぁっ…ぁ……んっ」

 ゼインの雄がハルの身体をひらくたび、蕩けそうになるくらいの甘い刺激がハルを襲う。

「あっ、んっ、んうっ……」

 いい。よすぎて我慢なんてできない。
 理性なんて吹き飛んで、ハルは淫らに脚を大きく開いてゼインを受け入れる。
 ほしい。もっとほしい。ゼインとひとつになりたい。

「はぁっ、はぁっ……ハルっ……!」

 ゼインがゆっくりと腰を動かし始めた。そのたびにハルの身体の奥が疼き、ハルも嬌声を上げる。
 ゼインのもので内壁を擦られるたび、言い知れぬ快感がハルの身体を駆け巡る。
 今、ゼインと繋がっている。最愛のアルファとひとつになっている。
 ゼインの身体は汗ばんでいる。ハルの身体を貪りながら、時々甘い吐息を洩らす。そんなゼインにセクシュアルなものを感じて、あのゼインがハルで気持ちよくなってくれていると思うと愛おしくてたまらない。

「ゼインさま、好き……好き……」
「はぁっ……ハル、ハル、好きだ。大好きだっ」

 愛を囁かれ、ハルを求めるように身体を揺さぶられる。

「あぁぁぁっ……ゼインさま、そこ、気持ちいい……っ、なにこれ、あぁーーっ!」

 ハルの身体に電流のような甘い刺激が走る。足の指の先までピクピクさせて、下半身から襲う快感に何度も身を震わせた。

「くっ……ハル……俺もイく……っ!」
「あぁっ、はぁっ……!」

 ハルの中にどぷりとアルファの精が放たれた。ドクンドクンと脈打つゼインの陰茎の存在を感じながら、ハルは初めての精を受け止める。

「はぁっ……はぁっ……」

 繋がったままゼインが身体を倒してハルを抱きしめてきた。荒い呼吸が落ち着くまで、ゼインとハルはしばらく抱き合っていた。

「ハル……大丈夫か?」

 ゼインはハルのことを気遣ってくれる。どんなときでも、セックスのときでも、ひとつひとつの行動にゼインの優しさを感じる。

「はい……ゼインさまの精液、お腹の中……いっぱいで、妊娠しちゃいそうです……」

 オメガはヒート期間にアルファの精を受けるとほぼ確実に妊娠する。だがそれ以外のときは妊娠するのは稀だ。
 でも、妊娠してしまいそうなくらい気持ちよかった。たくさん感じてしまった。

「そ、そうか……」

 不思議なのは、ハルがそう言った途端に、ハルの中のゼインの雄がぐんと元気になったことだ。
 アルファの精力は果てしないと聞くが、ゼインもそうなのだろうか。

「ハルは俺の子を産んでくれるのか?」
「もちろんです。ゼインさまとの子どもが欲しいです」

 ハルがおねだりすると、ゼインの陰茎がさらに大きくなった。

「ハル。もう一回しよう。ハルに煽られて収まらなくなった」
「あ、煽るっ?」

 ハルは別に煽ったつもりなどない。王太子妃なのだからそれは当然の仕事だと思っただけだ。

「たくさん子作りしような、ハル」
「えっ? あっ……待っ……」

 さっきお互いの熱を吐き出したばかりなのに、ゼインは再びハルを感じさせようとする。ハルの前を握って扱きながら腰を動かし始めた。
 達したばかりのハルの身体は感じやすくなっていて、触れられるだけですぐに快感を拾ってしまう。

「ゼインさま、今は無理っ……あぁぁーっ!」

 そうしてハルはゼインの手によってひと晩で何度も絶頂を迎えることとなった。
 
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