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3 好きなのかな
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「そうだよな。あのとき七沢が隣にいてくれたら、英語の発表のときみたいに俺を助けてくれたんだろうな」
有馬は俺に微笑みかけてくる。
そのときの有馬の笑顔になぜか俺の胸が跳ねた。
なんだろう。
なんて言えばいい?
感覚みたいなものなんだけど、有馬が心から笑ってくれた気がしたんだ。
やばい。
俺、今の笑顔、めっちゃ好き。
「俺、あのとき本当に英文が頭からふっとんだんだ。次に何を言うべきだったのか、最初の一文字も出てこない。おじさんとチーズケーキの絵しか浮かんでこなかったんだ」
それって裕太の考えた英文がアホすぎたせいなんじゃ……有馬の中にはない理解を超えたアホセンスだったのかも。
「怖かった。手が震えた。でも、七沢のおかげで失敗せずに済んだ。ありがとう」
「違うって、俺が困ってたのを有馬が助けてくれたんだ。あんな短時間で英文丸暗記しろってなって、あれだけのクオリティで話せる有馬のほうがすごい。ホント尊敬、マジ尊敬」
「あはは。七沢はいいな」
有馬は声を出して笑って、目の前の改札に定期券をかざす。そのピピッ音に話が遮られたようだった。
「何? 有馬っ、俺の何がいいんだよっ」
俺は慌てて有馬についていく。
「俺、もっと早く七沢に出会いたかった」
「はぁっ?」
「なんでもないっ」
「はっきり言えよっ!」
「い、や、だ!」
有馬は無邪気に笑う。その姿は全然有馬らしくない。
でも、なんか有馬、さっきより元気になった……?
「七沢。さっきの話、黙ってろよ。俺の黒歴史なんだから」
有馬は俺にぐっと迫る。
なんだよ、そんな当たり前のことを俺に言って。俺がこんな大切なことを誰かに話すわけないだろう。
「話さないよ。有馬が俺の秘密を黙っててくれる限りはな」
「俺は言わない」
「だったら俺も言わない。当たり前だろ」
俺と有馬は互いに目を合わせたあと、フフッと笑う。
もしかしたら有馬は、俺の最大の秘密を知ってしまったから、代わりに自分の秘密も話してくれたのかもしれない。
学校で見る有馬と、俺とふたりでいるときの有馬はなんか違う。
俺は、放課後の有馬のほうが好きだ。
やがて満員電車が来て、俺たちはいつものように定員オーバーな車内に身体を潜り込ませる。
こんなふうにして何度も有馬と帰ってるんだけど。
俺はすでに気がついている。
有馬はいつも、俺を庇うようにして電車に乗っているんだ。俺を壁側にしてくれて、有馬が盾になってくれたり、俺がふらつかないように身体を支えてくれたり。
俺、男だから別に大丈夫って思うのに。
俺は長男で、一家を支えている自負がある。頼れる人なんていなくて、基本的に日々、孤軍奮闘してる。
だから、なんか、甘やかされると弱い。
電車が揺れるたび、俺を守るように伸びる有馬の手に、俺は惹かれる。
俺、ひとりで頑張ることに疲れているのかも。
電車から降りて、最寄り駅の改札を出たあと、俺と有馬は左右バラバラ。ここでお別れだ。
毎週金曜日だけ、有馬と過ごす放課後の終わり。
いつも名残惜しいんだよな……。
「あのさ、有馬」
去ってしまいそうになった有馬の腕を掴んで引き止める。
有馬は俺に微笑みかけてくる。
そのときの有馬の笑顔になぜか俺の胸が跳ねた。
なんだろう。
なんて言えばいい?
感覚みたいなものなんだけど、有馬が心から笑ってくれた気がしたんだ。
やばい。
俺、今の笑顔、めっちゃ好き。
「俺、あのとき本当に英文が頭からふっとんだんだ。次に何を言うべきだったのか、最初の一文字も出てこない。おじさんとチーズケーキの絵しか浮かんでこなかったんだ」
それって裕太の考えた英文がアホすぎたせいなんじゃ……有馬の中にはない理解を超えたアホセンスだったのかも。
「怖かった。手が震えた。でも、七沢のおかげで失敗せずに済んだ。ありがとう」
「違うって、俺が困ってたのを有馬が助けてくれたんだ。あんな短時間で英文丸暗記しろってなって、あれだけのクオリティで話せる有馬のほうがすごい。ホント尊敬、マジ尊敬」
「あはは。七沢はいいな」
有馬は声を出して笑って、目の前の改札に定期券をかざす。そのピピッ音に話が遮られたようだった。
「何? 有馬っ、俺の何がいいんだよっ」
俺は慌てて有馬についていく。
「俺、もっと早く七沢に出会いたかった」
「はぁっ?」
「なんでもないっ」
「はっきり言えよっ!」
「い、や、だ!」
有馬は無邪気に笑う。その姿は全然有馬らしくない。
でも、なんか有馬、さっきより元気になった……?
「七沢。さっきの話、黙ってろよ。俺の黒歴史なんだから」
有馬は俺にぐっと迫る。
なんだよ、そんな当たり前のことを俺に言って。俺がこんな大切なことを誰かに話すわけないだろう。
「話さないよ。有馬が俺の秘密を黙っててくれる限りはな」
「俺は言わない」
「だったら俺も言わない。当たり前だろ」
俺と有馬は互いに目を合わせたあと、フフッと笑う。
もしかしたら有馬は、俺の最大の秘密を知ってしまったから、代わりに自分の秘密も話してくれたのかもしれない。
学校で見る有馬と、俺とふたりでいるときの有馬はなんか違う。
俺は、放課後の有馬のほうが好きだ。
やがて満員電車が来て、俺たちはいつものように定員オーバーな車内に身体を潜り込ませる。
こんなふうにして何度も有馬と帰ってるんだけど。
俺はすでに気がついている。
有馬はいつも、俺を庇うようにして電車に乗っているんだ。俺を壁側にしてくれて、有馬が盾になってくれたり、俺がふらつかないように身体を支えてくれたり。
俺、男だから別に大丈夫って思うのに。
俺は長男で、一家を支えている自負がある。頼れる人なんていなくて、基本的に日々、孤軍奮闘してる。
だから、なんか、甘やかされると弱い。
電車が揺れるたび、俺を守るように伸びる有馬の手に、俺は惹かれる。
俺、ひとりで頑張ることに疲れているのかも。
電車から降りて、最寄り駅の改札を出たあと、俺と有馬は左右バラバラ。ここでお別れだ。
毎週金曜日だけ、有馬と過ごす放課後の終わり。
いつも名残惜しいんだよな……。
「あのさ、有馬」
去ってしまいそうになった有馬の腕を掴んで引き止める。
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