その告白は勘違いです

雨宮里玖

文字の大きさ
34 / 76
4 期末テスト

4-9

しおりを挟む
「おい、七沢っ」

 有馬は階段下のスペースで、俺を壁に追いつめ、やたらと怖い顔で俺を睨みつけてくる。

 なに?
 なんで有馬怒ってんの?

「お前、なんなの。今度はあいつにすり寄るつもりなのか?」
「えっ?」

 思いもよらないことを言われて俺は目を見開く。

「今度は佐久間に勉強教えてくれって頼むのかよ。俺にしたみたいに、あいつにも『なんでもする』って言って、隣でにこにこして、甘えて……っ」

 なんで?
 なんで俺が佐久間にそんなことする話になってるんだ?

「ダメ。佐久間はダメだ。勝てる気がしない。あいつに近づくな。佐久間のこと好きにならないで」

 有馬は必死だ。切なそうな顔で、俺に強い視線をぶつけてくる。
 それが俺には信じられない。

 有馬、もしかして嫉妬してる……?

「ど、どうしたの、有馬」

 俺がなだめようとするのに有馬は止まらない。壁に手をつき俺をさらに追いつめる。

「待てって、なんのことだよ。俺、そんなつもりないし」
「じゃあ佐久間に何をお願いしようとしたんだよ」

 うわ、聞いてたんだ! 俺と佐久間の会話!
 俺、本当にそんなつもりはないよ。今の俺の心の中には、有馬しかいない。

「……有馬に会いたかったから」

 観念して俺は白状する。

「期末テスト終わってからもさ、自宅学習期間で学校なかったしさ。今日だって有馬と話したいのに、全然隙がないし」

 メッセージのやり取りはしたけど、それじゃさみしいんだ。直接会って話したいことだってたくさんあった。

「そしたら佐久間に偶然会ったから、佐久間に有馬を呼んできてくれるように頼みたかったの! 佐久間がいるなら、有馬もこの店にいるかもしれないって思って。だっていつも有馬と佐久間は一緒にいるし」

 俺が事情を説明するなり、有馬は腕を下ろした。
 有馬はもう怒っていなかった。
 むしろ、なんかちょっと嬉しそう……?

「なんだ。そうだったんだ」

 有馬は胸を撫で下ろす。

「俺を、呼び出したかっただけなんだ」
「そうだよ。有馬以外のやつにそんなこと頼むわけないじゃん。俺には有馬だけ」

 有馬はそんなこともわからないのか。
 今の俺が、どれだけ有馬に感謝しているか。ここ最近、有馬と話せなくてどれだけ悶々としていたか。

「それにさ、有馬のほうがいい男だ。有馬が佐久間に勝てないなんてことないよ。……俺はそう思うけど」

 佐久間がモテるのは知っている。でも、有馬のほうが断然上だ。

 俺は一緒にいるなら絶対に有馬がいい。

「七沢、お前って本当にさぁ……」

 有馬は俺を見て、表情を柔らかく崩す。
 よかった。もう怒ってない。誤解が解けたみたいだ。
しおりを挟む
感想 185

あなたにおすすめの小説

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。

俺の彼氏は真面目だから

西を向いたらね
BL
受けが攻めと恋人同士だと思って「俺の彼氏は真面目だからなぁ」って言ったら、攻めの様子が急におかしくなった話。

陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。

陽七 葵
BL
 主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。  しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。  蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。  だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。  そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。  そこから物語は始まるのだが——。  実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。  素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪

彼氏の優先順位[本編完結]

セイ
BL
一目惚れした彼に告白されて晴れて恋人になったというのに彼と彼の幼馴染との距離が気になりすぎる!恋人の僕より一緒にいるんじゃない?は…!!もしかして恋人になったのは夢だった?と悩みまくる受けのお話。 メインの青衣×青空の話、幼馴染の茜の話、友人倉橋の数話ずつの短編構成です。それぞれの恋愛をお楽しみください。

モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)

夏目碧央
BL
 兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。  ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?

【完結済】俺のモノだと言わない彼氏

竹柏凪紗
BL
「俺と付き合ってみねぇ?…まぁ、俺、彼氏いるけど」彼女に罵倒されフラれるのを寮部屋が隣のイケメン&遊び人・水島大和に目撃されてしまう。それだけでもショックなのに壁ドン状態で付き合ってみないかと迫られてしまった東山和馬。「ははは。いいねぇ。お前と付き合ったら、教室中の女子に刺されそう」と軽く受け流した。…つもりだったのに、翌日からグイグイと迫られるうえ束縛まではじまってしまい──?! ■青春BLに限定した「第1回青春×BL小説カップ」最終21位まで残ることができ感謝しかありません。応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。

美澄の顔には抗えない。

米奏よぞら
BL
スパダリ美形攻め×流され面食い受け 高校時代に一目惚れした相手と勢いで付き合ったはいいものの、徐々に相手の熱が冷めていっていることに限界を感じた主人公のお話です。 ※なろう、カクヨムでも掲載中です。

付き合って一年マンネリ化してたから振られたと思っていたがどうやら違うようなので猛烈に引き止めた話

雨宮里玖
BL
恋人の神尾が突然連絡を経って二週間。神尾のことが諦められない樋口は神尾との思い出のカフェに行く。そこで神尾と一緒にいた山本から「神尾はお前と別れたって言ってたぞ」と言われ——。 樋口(27)サラリーマン。 神尾裕二(27)サラリーマン。 佐上果穂(26)社長令嬢。会社幹部。 山本(27)樋口と神尾の大学時代の同級生。

処理中です...