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5 初デート
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駅の改札前には、待ち合わせで壁際に立っている人たちがチラホラいる。俺はその中で、ひときわ目立つ長身の男を見つけた。
なんだあの立ち姿は。ファッションモデルのスナップショットになりそうなほど絵になる男だ。
そして俺はあることに気がつく。
有馬は、浴衣じゃない。白Tシャツに黒色のチノパン姿だ。
有馬が俺に気がついた。
俺を見つけた瞬間、有馬は頬を緩ませ、わかりやすく嬉しそうな顔になる。
「有馬っ」
「七沢、お前、浴衣っ?」
俺の格好を見るなり、有馬は驚嘆の声をあげた。
「なんだよ、だって、夏祭りって言ったら浴衣だろ?」
「いや、そうだけど、近所の神社のお祭りに行くだけだし。下駄に巾着袋、背中にうちわ! コーディネート完璧」
有馬があまりにもニヤニヤするから、「着替えてくる」と俺が引き返そうとすると「ダメ」と即座に有馬に止められた。
「お願い、写真撮らせて」
「はぁっ?」
「予想外のラッキーだ。浴衣の七沢を拝めるとは思わなかった」
「拝めるって……」
「可愛い。最高。よく似合ってる」
「なっ……!」
矢継ぎ早に褒め言葉をくらって、俺は返す言葉を失う。
頬が熱い。これ絶対にやばい顔してる。
なんで、なんで有馬に言われると、こんなに俺は過剰に反応してしまうんだろう。
「ほ、ほら、行くぞ!」
俺は背中の帯にさしていたうちわを取り出し、この恥ずかしい顔を半分隠すように扇ぎながら、神社の方角へとさっさと歩き出す。
「七沢、今日はありがとう」
「なにが」
下駄に慣れていない俺は、急いでるつもりが全然速くない。あっという間に有馬に追いつかれた。
「俺の願いを叶えてくれて」
俺の隣を歩く有馬は、この上なく爽やかな笑顔をみせる。
何が願いだよ。
俺、有馬とのデートだったらいくらでもついていくけどな。
だって楽しいもん。有馬と一緒にいるの。
「なんでもするって言ったの俺だし。有馬はちゃんと約束守って俺に勉強教えてくれたし」
「そうだよな。これは、いわゆる対価交換だもんな」
「有馬めちゃめちゃ損してる」
毎週、俺に付き合ったぶんのお返しがデートだなんて対等とは思えない。
だってこれじゃ俺ばっかり得してる。
「損をしたとは思ってない。浴衣デートは男のロマンだ」
「意味わかんねぇ、お前浴衣じゃないじゃん」
「俺はいいの! 七沢さえ浴衣着てくれればそれでいい」
「それって浴衣デートって言うのかよ」
お互い浴衣を着てこそ浴衣デートなんじゃないのかと思ったけど、俺はそれ以上ツッコむことをやめた。
有馬が喜んでるならいいか。
俺たちは人の流れに沿って、駅から神社までの道を歩く。神社までは徒歩七分くらい。地元では有名な、かなり敷地の広い神社だ。
「七沢はお祭りに行って、いつも何食べる?」
「俺? 俺ね、とりあえずかき氷はいくね。シロップかけ放題の店が好きでさ、あるかな、今日」
「いいね。あったら行こう」
「あぁ。有馬は? 有馬はお祭りでいつもどこ行く?」
「俺は射的かな。なんだかんだ毎回やってる。実は俺、結構当てるんだ」
有馬が珍しく自慢げに話してくるけど、そこは俺も譲れない。
「へぇ。悪いけど、俺もうまいんだよなぁ、射的」
「七沢がっ?」
有馬はめちゃくちゃ驚いている。
おい、お前、それってかなり失礼じゃね?
なんだあの立ち姿は。ファッションモデルのスナップショットになりそうなほど絵になる男だ。
そして俺はあることに気がつく。
有馬は、浴衣じゃない。白Tシャツに黒色のチノパン姿だ。
有馬が俺に気がついた。
俺を見つけた瞬間、有馬は頬を緩ませ、わかりやすく嬉しそうな顔になる。
「有馬っ」
「七沢、お前、浴衣っ?」
俺の格好を見るなり、有馬は驚嘆の声をあげた。
「なんだよ、だって、夏祭りって言ったら浴衣だろ?」
「いや、そうだけど、近所の神社のお祭りに行くだけだし。下駄に巾着袋、背中にうちわ! コーディネート完璧」
有馬があまりにもニヤニヤするから、「着替えてくる」と俺が引き返そうとすると「ダメ」と即座に有馬に止められた。
「お願い、写真撮らせて」
「はぁっ?」
「予想外のラッキーだ。浴衣の七沢を拝めるとは思わなかった」
「拝めるって……」
「可愛い。最高。よく似合ってる」
「なっ……!」
矢継ぎ早に褒め言葉をくらって、俺は返す言葉を失う。
頬が熱い。これ絶対にやばい顔してる。
なんで、なんで有馬に言われると、こんなに俺は過剰に反応してしまうんだろう。
「ほ、ほら、行くぞ!」
俺は背中の帯にさしていたうちわを取り出し、この恥ずかしい顔を半分隠すように扇ぎながら、神社の方角へとさっさと歩き出す。
「七沢、今日はありがとう」
「なにが」
下駄に慣れていない俺は、急いでるつもりが全然速くない。あっという間に有馬に追いつかれた。
「俺の願いを叶えてくれて」
俺の隣を歩く有馬は、この上なく爽やかな笑顔をみせる。
何が願いだよ。
俺、有馬とのデートだったらいくらでもついていくけどな。
だって楽しいもん。有馬と一緒にいるの。
「なんでもするって言ったの俺だし。有馬はちゃんと約束守って俺に勉強教えてくれたし」
「そうだよな。これは、いわゆる対価交換だもんな」
「有馬めちゃめちゃ損してる」
毎週、俺に付き合ったぶんのお返しがデートだなんて対等とは思えない。
だってこれじゃ俺ばっかり得してる。
「損をしたとは思ってない。浴衣デートは男のロマンだ」
「意味わかんねぇ、お前浴衣じゃないじゃん」
「俺はいいの! 七沢さえ浴衣着てくれればそれでいい」
「それって浴衣デートって言うのかよ」
お互い浴衣を着てこそ浴衣デートなんじゃないのかと思ったけど、俺はそれ以上ツッコむことをやめた。
有馬が喜んでるならいいか。
俺たちは人の流れに沿って、駅から神社までの道を歩く。神社までは徒歩七分くらい。地元では有名な、かなり敷地の広い神社だ。
「七沢はお祭りに行って、いつも何食べる?」
「俺? 俺ね、とりあえずかき氷はいくね。シロップかけ放題の店が好きでさ、あるかな、今日」
「いいね。あったら行こう」
「あぁ。有馬は? 有馬はお祭りでいつもどこ行く?」
「俺は射的かな。なんだかんだ毎回やってる。実は俺、結構当てるんだ」
有馬が珍しく自慢げに話してくるけど、そこは俺も譲れない。
「へぇ。悪いけど、俺もうまいんだよなぁ、射的」
「七沢がっ?」
有馬はめちゃくちゃ驚いている。
おい、お前、それってかなり失礼じゃね?
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