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7 一緒にいたいから
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文化祭の熱もすっかり落ち着き、高三はすっかり受験モードに入っていった。そんな少し慌ただしいころの土曜日の夕方。
有馬が俺の家にやってきた。
「ありまぁ、いらっしゃい!」
エプロン姿で有馬を玄関まで一番に迎えに出たのは結月だ。
ちなみに結月は、普段、お手伝いはあまりしないんだけど、このお気に入りの猫のキャラクターの絵柄のエプロンをすると張り切って手伝ってくれる。お仕事モードになるみたいだ。
結月が有馬を「ありま」呼びしてしまっているのは、まぁ、ごめんなさい。俺のせいです。
「有馬、上がれよ。もうお好み焼きパーティーの準備できてるよ」
「ありがとう。お邪魔します」
有馬は爽やかな笑顔で俺と結月に挨拶をする。それから靴を脱いで、丁寧に靴を揃えて端に置く。
その所作がいちいち綺麗なんだよな。なんか、しつけがしっかりされた、いい家の子って感じが伝わってくる。
「これ、母からです」
丁寧にお辞儀と挨拶をしたあと、有馬はリビングにいた俺の母さんに手土産を渡している。
うちはそんなに畏まるような家じゃないんだけど、有馬んちはさすがだな。
ほどなくして、お好み焼きパーティーが始まった。
俺の得意料理、お好み焼きをずっと有馬に食べてもらいたかったんだ。それが叶うなんて思いもしなかったな。
俺と母さんと結月、有馬の四人で、ホットプレートを囲み、俺が率先してお好み焼きを焼く。
「キャベツの切り方と混ぜ方にもコツがあるし、一番は焼き方なんだよ!」
俺はドヤ顔で有馬にこだわりを語ってみせる。有馬はそれを「へぇ、すごいな」「それで?」と相槌を打ちながら聞いてくれている。
「にいに、話ながいー。つまんないよ」
「へっ?」
素直な気持ちで結月にツッコまれ、俺はハッとする。
だよな。俺のこだわりなんて聞いても有馬はつまらないよな!
「結月ちゃん、俺はこの話を聞くの初めてなんだ。だから、すごく楽しいよ。それに、こんなに張り切ってる七沢を初めて見た」
有馬は俺の長い話もものともせずに、結月と俺に笑顔を見せる。
本当にいいやつだな、有馬って。
「焼けた! はい。有馬」
俺のこだわりたっぷりのお好み焼きを切り分け、有馬に差し出す。ちなみにソースやマヨネーズ等々はセルフでやってもらってる。
「おいしい。七沢、マジでうまい」
「よかったぁ」
俺の作ったお好み焼きを有馬が食べてくれてる。
嬉しいな、素直に嬉しい。
「俺も。七沢の手料理食べられるとは思わなかった」
「料理って言ってもお好み焼きだけどな」
「お好み焼きは手料理だろ。こんなにこだわってるなら、俺は真似できないな」
「食べたくなったら俺が作ってやるから、いつでも遊びに来いよ」
「うん」
有馬は頷き、それから俺のお好み焼きをめっちゃ食べてくれてる。
当然だけどそこには結月も母さんもいて、有馬と親しげに会話を楽しんでいる。
なんか、不思議な感じだ。
いつもの俺の日常に、有馬がいる。
少し前までは、ただのクラスメイトだった有馬が、こうして俺の生活の一部みたいに溶け込んでいく。
それって本当は、奇跡みたいな確率なんじゃないだろうか。
「七沢、そろそろひっくり返さなくていいの?」
「えっ? あ、本当だやっば!」
あっぶな、有馬ばっかり見てて手元がおろそかになってたよ。
「にいに、ありまばっかり見てるー」
「はっ、はぁっ?」
待って、やばいって、それ、結月にまでバレてるのっ?
そんなに俺、有馬のこと見てるんだ……。
「しょうがないだろ、有馬がうちに来てくれるなんて初めてのことなんだから!」
俺は結月に意味のわからない言い訳をして、お好み焼きをひっくり返しにかかる。
あれだけ得意だと豪語していたくせに、見事にひっくり返すことに失敗し、お好み焼きを台無しにしたことは、ご愛嬌。
有馬が俺の家にやってきた。
「ありまぁ、いらっしゃい!」
エプロン姿で有馬を玄関まで一番に迎えに出たのは結月だ。
ちなみに結月は、普段、お手伝いはあまりしないんだけど、このお気に入りの猫のキャラクターの絵柄のエプロンをすると張り切って手伝ってくれる。お仕事モードになるみたいだ。
結月が有馬を「ありま」呼びしてしまっているのは、まぁ、ごめんなさい。俺のせいです。
「有馬、上がれよ。もうお好み焼きパーティーの準備できてるよ」
「ありがとう。お邪魔します」
有馬は爽やかな笑顔で俺と結月に挨拶をする。それから靴を脱いで、丁寧に靴を揃えて端に置く。
その所作がいちいち綺麗なんだよな。なんか、しつけがしっかりされた、いい家の子って感じが伝わってくる。
「これ、母からです」
丁寧にお辞儀と挨拶をしたあと、有馬はリビングにいた俺の母さんに手土産を渡している。
うちはそんなに畏まるような家じゃないんだけど、有馬んちはさすがだな。
ほどなくして、お好み焼きパーティーが始まった。
俺の得意料理、お好み焼きをずっと有馬に食べてもらいたかったんだ。それが叶うなんて思いもしなかったな。
俺と母さんと結月、有馬の四人で、ホットプレートを囲み、俺が率先してお好み焼きを焼く。
「キャベツの切り方と混ぜ方にもコツがあるし、一番は焼き方なんだよ!」
俺はドヤ顔で有馬にこだわりを語ってみせる。有馬はそれを「へぇ、すごいな」「それで?」と相槌を打ちながら聞いてくれている。
「にいに、話ながいー。つまんないよ」
「へっ?」
素直な気持ちで結月にツッコまれ、俺はハッとする。
だよな。俺のこだわりなんて聞いても有馬はつまらないよな!
「結月ちゃん、俺はこの話を聞くの初めてなんだ。だから、すごく楽しいよ。それに、こんなに張り切ってる七沢を初めて見た」
有馬は俺の長い話もものともせずに、結月と俺に笑顔を見せる。
本当にいいやつだな、有馬って。
「焼けた! はい。有馬」
俺のこだわりたっぷりのお好み焼きを切り分け、有馬に差し出す。ちなみにソースやマヨネーズ等々はセルフでやってもらってる。
「おいしい。七沢、マジでうまい」
「よかったぁ」
俺の作ったお好み焼きを有馬が食べてくれてる。
嬉しいな、素直に嬉しい。
「俺も。七沢の手料理食べられるとは思わなかった」
「料理って言ってもお好み焼きだけどな」
「お好み焼きは手料理だろ。こんなにこだわってるなら、俺は真似できないな」
「食べたくなったら俺が作ってやるから、いつでも遊びに来いよ」
「うん」
有馬は頷き、それから俺のお好み焼きをめっちゃ食べてくれてる。
当然だけどそこには結月も母さんもいて、有馬と親しげに会話を楽しんでいる。
なんか、不思議な感じだ。
いつもの俺の日常に、有馬がいる。
少し前までは、ただのクラスメイトだった有馬が、こうして俺の生活の一部みたいに溶け込んでいく。
それって本当は、奇跡みたいな確率なんじゃないだろうか。
「七沢、そろそろひっくり返さなくていいの?」
「えっ? あ、本当だやっば!」
あっぶな、有馬ばっかり見てて手元がおろそかになってたよ。
「にいに、ありまばっかり見てるー」
「はっ、はぁっ?」
待って、やばいって、それ、結月にまでバレてるのっ?
そんなに俺、有馬のこと見てるんだ……。
「しょうがないだろ、有馬がうちに来てくれるなんて初めてのことなんだから!」
俺は結月に意味のわからない言い訳をして、お好み焼きをひっくり返しにかかる。
あれだけ得意だと豪語していたくせに、見事にひっくり返すことに失敗し、お好み焼きを台無しにしたことは、ご愛嬌。
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