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1章 再び時空を超えて

第1話 ちい、また時空を超える

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 ちいは急いで自分の部屋に戻ると、イヤリングをつけ、布団に入った。
興奮こうふんしていたが、イヤリングの力が強いのか、意識が薄れ、次第に
眠りについた。

 気づくと、町の外れの建物の奥にいた。ちいは、キューとコング達を探した。
町はにぎやかで大道芸人がパントマイムや手品をしていた。
「キュー?コングー?どこなのー?」
ちいはみんなを呼んで探した。
「ちい?ちいじゃないの?」金髪の女性が話しかけた。サリーだった。
「サリー―!やっと会えた!みんなはどこ?」
ちいが尋ねた。
「私はこの町、ピエール王国の町に住んでいるの。フルームとバーバラは元の町に帰ったわ。魔女も西のお城へ帰った。コングはまだこの町にいるわよ。キューは王子として、お城にいるわ。ジルもいるわよ」
「早く会いたい!みんなに!」
「うん。行きましょう」
サリーとちいは、宿屋に向かった。

 大きな男がベッドで横になっていた。
「コング!久しぶりね!」ちいは声をかけた。
「ん?ちい?ちいじゃないか!よく来た!」
コングはムクッと起き上がった。
背の高さは3メートルあり、毛むくじゃらのマウンテンゴリラのような男。
「ちい。無事で良かった。元気かい?」ジルもいた。
小柄で耳がとんがった、ホビット族の男。
「ジル!みんな、みんな、会えてうれしい!」
「アルフレッド、キューも呼んでくるわ」サリーが言った。
「キュー・・」ちいはどきどきした。
「ちいと離れて、1年が立っているな・・」ジルが言った。
「うそ?私、アーリーからイヤリングをもらって、すぐ来たよ」
「うん。たしか、大魔道士ドルゾ―も、時を超えるのにこのイヤリングだと1年の誤差があると言っていた」
「えー。ややこしいわ。時間差があるのね」
「コングとジルはずっとここにいるの?」ちいが聞いた。
「俺はやっと神の国へ行ける方法が分かったんだ。ドラゴンのいる場所も」とコング。
「へ~。やっと行けるのね。コング!」ちいが言った。
「俺は神の国へ行くか、違う旅をするか、迷い中だ」ジルは笑った。
「一緒に行こうぜ!ジル」
「キューを連れてきたわよ」サリーが帰ってきた。
立派な服装で、少し凛々しくなった少年、キューがいた。
「キュー・・ありがとう。イヤリング・・」ちいは顔を赤らめた。
「ちい!やっと会えたね。もう会えないかと心配だったんだ。元気?」
「うん。すぐ来たのだけどね。1年かかるらしいの。来るのに」
「え!1年も!」
「実はね。ちい。これはイヤリングを送ったあとで、ドルゾーが言ってたのだけど、こっちに1年かかって到着し、また次の戻るタイミングが1年後になるそうなんだ」とジル。
「え?タイミングって?」
「つまり、1年はここにいなきゃいかんと言うこと。しかし、戻った時は、ちいの世界では1日もたっていないそうだ。行方不明などは心配いらないそうだ。」
「1年・・ここに・・知らなかった」ちいは困惑した。
「みんな、神の国へ行こうぜ!ちいも行こう。1年もいるんだから」
「俺も行くよ。コング」ジルが言った。
「僕も行く!ちいも行こうよ!」とキュー。
「王子なのに良いのか?」コングが聞いた。
「大丈夫。特にやることがないんだ」
皆は笑った。
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