上 下
8 / 41
2章 記憶のないブタ

第8話 仲間になる

しおりを挟む
 ちいが聞いていた。
「わたし、コングと行きたい、連れて行ってよ」
「俺は危険きけんな所も行くのだぞ」とコング。
「だって、わたしね、気づいたのだけど、こっちの世界に来る時、いつもコングのそばにいるの。
きっとコングと一緒に旅をすることにきまっているのよ」
「確かにちいが現れる時、いつもそばにいる」コングも認めた。
「私も連れて行ってください。足手まといかもしれませんが、外の世界も見たいのです」
キューが言った。
観光かんこうガイドじゃないのだぞ」コングは困り果てこまりはてた。
 「とりあえず、ここから南にしばらく行くとペトンの町がある。
そこへ行ったらどうかね。それでも足手まといなら、戻ってくるがいい」魔女はコングに提案した。

「うむ。仕方がない。邪魔だったら、いつでもここに戻るぞ!」コングは睨みつけた。
「ブヒー。よろしくお願いします」
「わたし、じゃましないよ」ちいも力強く言った。
「あんたは武器ぶきを持ってないのかい?」魔女がコングに尋ねた。
「ここに来る前にゾンビたちにおそわれて、うっかり落としてしまったのだ。あわてて逃げてきた」
「剣を失ったのだね。私の剣を持っておいき。
マスターブレードと言ってまじないで清められている。ちいとキューを守ってくれると思うよ。
武器としても素晴らしいよ」魔女は剣を差し出した。金色の剣でとても美しく輝いている。
オーラのある剣だった。
「何から何まで悪いな。もらっていくぞ」コングは剣を持った。
剣を肩にしょって、扉をコングは開けた。外はとても晴れていて、風がそよそよ吹いていた。
生暖かい温度だった。
ミンクー達が気持ちよさそうに、数匹飛び回っていた。
しおりを挟む

処理中です...