あんたは俺のモノ

麻沙綺

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  朝の目覚め、スッキリ。
  ベッドの上に体を起こし、延びをする。


「今日も一日頑張るぞ!」


  気合いをいれ、出勤準備に取りかかった。

  しかし、昨日の自分、凄かったなぁ。
  父の首を締め付けれる(この細腕にあったんだろうか)は、隠密スキル発動(?) するは、私、一体何者って自分で突っ込みたくなる。


  けど、昨日の父といい、兄といい、何隠してるんだろう?
  あの慌てようは、ただ事ではなかったと思う。
  今まで婚約の事を隠してたのも、気になる。


  悶々と考え事をしてたら、既に会社の入り口に到着していて、頭を仕事モードに切り替えた。



  午前の仕事を終え、食堂で昼食を摂っていると、スマホが震えだした。慌ててタップして出れば。
『やっと出た。お前何やってるんだ! 心配しただろうが‼』
  突然の怒鳴り声。
  あはは、心配させちゃった。
「ゴメン、」
  私は、直ぐに謝った。
『まったく。今は、大丈夫なのか?』
  心配そうな声で聞いてくる彼に。
「うん、大丈夫。心配させてゴメン。あの後、何とか家を抜け出して帰ってきたから。」
『そうか…。ならいい。何かあったら直ぐに連絡寄越せよ。』
  彼はそう言って通話を切った。
  よっぽど心配してくれたんだなぁ。
  今の今まで気付かなかったけど、着信履歴、メールボックス共に彼 "蒼汰" の名前で埋め尽くされていたのだから。


  今度会った時にお礼しなきゃ何て思いながら、残りのご飯を食べた。

  午後になり、プロジェクト会議から始まった。
  お互いの意見、意識の共用を示し合わせながら、論争を繰り広げていた。
  気付けば、窓から西日が入ってきていた。

「今日は、これまでだな。」
  主任の言葉に解散となった。


「"カモ" 今日、ちょっと付き合え。」
  主任からのお誘いを無下にする訳にもいかず、二つ返事を返す。
「そう警戒するな。別にとって食おうとしてる訳じゃないから。」
  苦笑を浮かべる主任を怪しむように睨み付ける。
「今日の分を終わらせたら、下で待ってろ。」
  主任はそう言うと足早に横を通り抜け、さっさと行ってしまった。



  全く。
  あの人は、食えぬ。
  一体何処で嗅ぎ付けてきたのやら。
  まぁ、仕方ないか……。社内で、唯一私の事情を知ってる人だし。


  さぁて、私も仕事を片しますか。


  足を自分のデスクに向けて歩き出した。






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