ヒ・ミ・ツ~許嫁は兄の親友~(旧:遠回りして気付いた想い)[完]

麻沙綺

文字の大きさ
15 / 145
中学生と婚約解消

婚約者の存在…悠磨

しおりを挟む


 塾が終わり、そのまま合流すると通り道のコンビニに寄る事になった。

「なぁ、悠磨。亜耶ちゃんにプレゼント渡すのか?」
 コンビニ入り、彼女たちと別行動になりオレは、飲み物を物色中に順一が声を掛けてきた。
「一応、準備はしてあるが、渡せるかどうか……。」
 彼女に渡せるタイミングがあるかだよなぁ。
 ちょっと奮発して買ったから、もらって欲しい気持ちはあるんだが……。
「……そうか。俺たちが時間を作ってやるか。」
 義之がオレの肩に手を廻して、意味有り気に順一とアイコンタクトをとりだす。
 亜耶を見れば、三人で楽しそうにお菓子を選んでいる。
 あの笑顔をオレが護りたいなんて思いながら……。


 コンビニを出て、順一の家に向かってる途中で。
「ねぇ、亜耶。さっきから気になってたんだけど、荷物多くない?」
 斎藤が、亜耶に聞いてるのが聞こえてきた。
 確かに、オレもそこは不思議思っていたことだ。パーティーのプレゼントにしたって、最低一つあれば十分な筈なのだが、4つもの大小様々な紙袋を手にしている。
「えっ、あぁ。お兄ちゃんにね。」
 と微かに聞こえてくる。
 そういや居たなぁ。
 あのカッコいい人。
 体育祭の時に亜耶に話しかけていた人を思い出す。
「お兄ちゃん。来年の春に結婚するんだ。だから、そのお祝いの品だよ。」
 結婚するんだ。
 あんだけカッコいいのだから、相手が居たって可笑しくないか。

 それにしても多くないか?

 何て思っていたら。
「亜耶! 何してるんだ!」
 突然の怒声に一瞬魚籠ついた。
 辺りをキョロキョロ見渡せば、目の前から身成を整えたスーツを着た男の人が大股で、亜耶に近付いて行く。声は何処かで聞いたこと有るが、スーツ姿がやたらとカッコ良くて、思い出すことが出来ない。
「こんな時間に何してるんだ?」
 その声音は、とても心配してるという声だった。
 だが、一向に誰かわからずに居るオレ。
 会ったことある筈だ。少し離れたところで二人のやり取りを見る。
「何って、これから皆でパーティーをしようと……。」
 亜耶が、動揺しながらも普通に説明してるのだ。
「パーティー?」
 それを聞いた男の人は眉間にシワを寄せて、鸚鵡返しするように口にする。
 何で、彼女の行動を逐一把握しようとしてるのか、わからない。
 彼女の自由じゃないのか?
 何て思うのだが。
「大丈夫、終わったら直ぐ帰るから……。」
 亜耶が、ひどく怯えたように告げると、こっちに向かってきた。
 何とか逃げてきたみたいだ。
 相手を見ると心配そうな顔で、亜耶の事を見ている。
 何って、切な気で彼女の事を見てるんだ。
 オレは、目が逸らせれなかった。

 こっちに来た亜耶に。
「亜耶。さっきの人ってこの間の人だよね。」
 水口が亜耶に確認するように聞いてる。
「う、うん。そうだよ。」
 亜耶は、その言葉を肯定した。
 ってことは、高橋さんなのか?
 全然違う。
 雰囲気とかも何もかもが大人の雰囲気で、とてもオレに敵いそうもない。
「凄い心配性だね。」
 斎藤が、溜め息を付きつつ言う。
 オレは、その言葉に同意する。
 オレの背中に、ずっと鋭い視線が伝わっているのだから。
 亜耶の気持ちは、婚約者あいつに向いてるのか?
 疑問に思いつつ歩みを進めた。









しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

10年引きこもりの私が外に出たら、御曹司の妻になりました

専業プウタ
恋愛
25歳の桜田未来は中学生から10年以上引きこもりだったが、2人暮らしの母親の死により外に出なくてはならなくなる。城ヶ崎冬馬は女遊びの激しい大手アパレルブランドの副社長。彼をストーカーから身を張って助けた事で未来は一時的に記憶喪失に陥る。冬馬はちょっとした興味から、未来は自分の恋人だったと偽る。冬馬は未来の純粋さと直向きさに惹かれていき、嘘が明らかになる日を恐れながらも未来の為に自分を変えていく。そして、未来は恐れもなくし、愛する人の胸に飛び込み夢を叶える扉を自ら開くのだった。

俺を信じろ〜財閥俺様御曹司とのニューヨークでの熱い夜

ラヴ KAZU
恋愛
二年間付き合った恋人に振られた亜紀は傷心旅行でニューヨークへ旅立つ。 そこで東條ホールディングス社長東條理樹にはじめてを捧げてしまう。結婚を約束するも日本に戻ると連絡を貰えず、会社へ乗り込むも、 理樹は亜紀の父親の会社を倒産に追い込んだ東條財閥東條理三郎の息子だった。 しかも理樹には婚約者がいたのである。 全てを捧げた相手の真実を知り翻弄される亜紀。 二人は結婚出来るのであろうか。

先生

藤谷 郁
恋愛
薫は28歳の会社員。 町の絵画教室で、穏やかで優しい先生と出会い、恋をした。 ひとまわりも年上の島先生。独身で、恋人もいないと噂されている。 だけど薫は恋愛初心者。 どうすればいいのかわからなくて…… ※他サイトに掲載した過去作品を転載(全年齢向けに改稿)

俺様系和服社長の家庭教師になりました。

蝶野ともえ
恋愛
一葉 翠(いつは すい)は、とある高級ブランドの店員。  ある日、常連である和服のイケメン社長に接客を指名されてしまう。  冷泉 色 (れいぜん しき) 高級和食店や呉服屋を国内に展開する大手企業の社長。普段は人当たりが良いが、オフや自分の会社に戻ると一気に俺様になる。  「君に一目惚れした。バックではなく、おまえ自身と取引をさせろ。」  それから気づくと色の家庭教師になることに!?  期間限定の生徒と先生の関係から、お互いに気持ちが変わっていって、、、  俺様社長に翻弄される日々がスタートした。

出逢いがしらに恋をして 〜一目惚れした超イケメンが今日から上司になりました〜

泉南佳那
恋愛
高橋ひよりは25歳の会社員。 ある朝、遅刻寸前で乗った会社のエレベーターで見知らぬ男性とふたりになる。 モデルと見まごうほど超美形のその人は、その日、本社から移動してきた ひよりの上司だった。 彼、宮沢ジュリアーノは29歳。日伊ハーフの気鋭のプロジェクト・マネージャー。 彼に一目惚れしたひよりだが、彼には本社重役の娘で会社で一番の美人、鈴木亜矢美の花婿候補との噂が……

お嬢様は地味活中につき恋愛はご遠慮します

縁 遊
恋愛
幼い頃から可愛いあまりに知らない人に誘拐されるということを何回も経験してきた主人公。 大人になった今ではいかに地味に目立たず生活するかに命をかけているという変わり者。 だけど、そんな彼女を気にかける男性が出てきて…。 そんなマイペースお嬢様とそのお嬢様に振り回される男性達とのラブコメディーです。 ☆最初の方は恋愛要素が少なめです。

【完結】育てた後輩を送り出したらハイスペになって戻ってきました

藤浪保
恋愛
大手IT会社に勤める早苗は会社の歓迎会でかつての後輩の桜木と再会した。酔っ払った桜木を家に送った早苗は押し倒され、キスに翻弄されてそのまま関係を持ってしまう。 次の朝目覚めた早苗は前夜の記憶をなくし、関係を持った事しか覚えていなかった。

イケメンエリート軍団??何ですかそれ??【イケメンエリートシリーズ第二弾】

便葉
恋愛
国内有数の豪華複合オフィスビルの27階にある IT関連会社“EARTHonCIRCLE”略して“EOC” 謎多き噂の飛び交う外資系一流企業 日本内外のイケメンエリートが 集まる男のみの会社 そのイケメンエリート軍団の異色男子 ジャスティン・レスターの意外なお話 矢代木の実(23歳) 借金地獄の元カレから身をひそめるため 友達の家に居候のはずが友達に彼氏ができ 今はネットカフェを放浪中 「もしかして、君って、家出少女??」 ある日、ビルの駐車場をうろついてたら 金髪のイケメンの外人さんに 声をかけられました 「寝るとこないないなら、俺ん家に来る? あ、俺は、ここの27階で働いてる ジャスティンって言うんだ」 「………あ、でも」 「大丈夫、何も心配ないよ。だって俺は… 女の子には興味はないから」

処理中です...