ヒ・ミ・ツ～許嫁は兄の親友～（旧:遠回りして気付いた想い）［完］

中学生と婚約解消

本の一時の戯れ事…悠磨

  

 月曜日の朝、教室内は受験モード一色の中。
 オレは、義之達と話していた。
 亜耶は、担任に呼ばれて教室には居ない。

「なぁ、悠磨。卒業旅行に行かねぇか？」
 突然話をふられた。
「いいけど……。親の許可取ってからな。」
 オレは、そう答えるしかなかった。
 一応未成年だし、親の許可無いと行けないだろう。旅行先でなにかあった時の為にもさ。
「姫。悠磨、行くってさ」
 義之が、近くに居た水口に言う。
 未だ、きちんとした返事じゃねえだろ。
「本当？ 後は、亜耶だけだね。」
  って……やけに嬉しそうじゃないか。
  ん？ 
 後は、亜耶だけって？
 気になって。
「メンバーは？」
 オレは、問いかけてた。
 それに答えたのは。
「俺と姫、順一、留美ちゃん、悠磨と亜耶だよ」
 義之が平然と言う。
 ふ～ん。
 気心知れた仲間だけで行くのか？
 それは楽しそうだな。
「なぁ、悠磨。亜耶ちゃんと付き合い始めたって本当か？」
 順一が聞いてきた。
 また、唐突に話が飛んだなぁ。
「えっ、ああ。合格発表の日に告白したら、OKしてくれたんだ」
 照れ笑いを浮かべた、オレ。
「よかったな。やっと報われたんだな。」
「長い片想いだったな。」
 二人が、自分の事のように喜んでくれた。
 まぁ、亜耶の事何だかんだ言って二年ぐらい相談にのってもらってたからな。
「そうなんだけど……。なんかシックリこないんだよなぁ。」
 オレの独り言を水口が拾っていて。
「何が？」
 聞いてきた。
「何がって言われても、言いにくいんだよ。」
 そう返すと不思議そうな顔をする水口。
 そんな所に亜耶が戻ってきた。
「皆で集まって、何してるの？」
 亜耶が、不思議そうな顔をして聞いてきた。
「……ん。あぁ、このメンバーで、卒業旅行へ行こうって話してたの。ほら、悠磨くんと亜耶だけ別の学校じゃん。だから、思い出を作ろうって、話をしてたの」
 斎藤が、亜耶に説明する。その言葉を聞いて。
 ああ、そっか……。
 オレと亜耶は、学力で選んだから他の奴等と違うんだ。
 オレと亜耶、何時も学年順位を争ってたからな。
「……で、亜耶は、行けるの？」
 斎藤が続けて亜耶に聞いてる。
「う～ん。日程次第かな」
 少し考えてから言葉を濁すように言う亜耶。
 オレは、不思議に思った。
 何か予定が在ったのだろうか？
 あっ、そうか。思い出した。
 お兄さんの結婚式があるのか……。
「じゃあ、亜耶がダメな日は？」
 水口が聞けば。
「卒業式の後の土日は、外してくれれば、後は大丈夫だよ」
 って、亜耶が答えてた。
「元々土日は、混むから平日にって考えてるし……。俺等、卒業式後に受験だから、その後にしか行けない。」
 義之が大体の予定として答える。
 まぁ、推薦組のオレ等と違って、まだこれからだったな。
「そっか。じゃあ、返事は明日するね。泊になるなら、親の許可を取ってからじゃないと無理だから……。」
 亜耶が、少し寂しそうな顔をする。
 何で、そんな顔をするんだ？
 皆で楽しもうって思わないのか？
 亜耶は、何を考えているんだ？
「うん。わかった。行けるといいね。」
 斎藤のそんな言葉を聞いていた。