118 / 145
高校生編と再婚約の条件
勉強会の後…亜耶
しおりを挟む「亜耶ちゃーん、これ教えて?」
そう言ってきたのは、龍哉くん。
只今、図書室の隣に設置されてる自習室で、勉強会です。
「何処?」
私は、龍哉くんの手元を見た。
「これ……。」
そう言って、シャープペンの先端で、問題集の番号をトントンって叩く。
「うんとねぇ……。」
私は、解りやすいように丁寧に説明し、考えさせる。
「亜耶、これは?」
梨花ちゃんが呼ぶ。
皆がそれぞれ苦手分野をやっている。
梨花ちゃんが古文、龍哉くんが数Ⅰ、愛美ちゃんユキちゃんが化学、和田くん田中くんが地理と……。
って、私何気にボッチだ。
だってね、丸い机に男女交互に並んでるんだもの。
左から、梨花ちゃん、龍哉くん、愛美ちゃん、和田くん、ユキちゃん、田中くんって順に……。
これって、どう考えても付き合ってる者同士って感じだよね。……で、私だけが溢れてる感じがする。
まぁ、こんな所に遥さんを入れるわけにはいかないし……。あっ、でも、遥さん教免持ってるって言ってたから、入っても教えてもらえるかな。
いや、あんなイケメンの先生が居たら、皆黙ってないよね。
うーん、複雑。
「鞠山さん、これ……。って、鞠山さん聞いてる?」
「あっ、ごめん。どれ?」
物思いに耽ってる場合じゃない。
私は、私に出来ることをしないと……。
成績は、落とさないようにしなきゃ……。
初めての中間テストなのにそんな風に思ってしまうのは、可笑しいかな?
何て思いながら、教え続けた。
「今日は、ここまでだな。」
龍哉くんがそう言うから、腕時計に目をやる。
午後六時三十分。
妥当な所だね。
勉強してる間、遥さんの事を忘れられた。
それだけ、集中してたってことだよね。
「そうだね。ところでさぁ、もしかしてだけど、三組とも付き合ってるのかな?」
私の言葉に梨花ちゃんがキョトンとした顔をする。愛美ちゃん、ユキちゃんは顔を赤らめ、男子三人はおどおどして三組同時に顔を見合わせて、軽く頷いたかと思ったら。
「えっと……。梨花と俺が付き合ってることは、知ってるんだよね?」
龍哉くんが確認するように聞いてきた。
「梨花ちゃんが、最初に教えてくれたしね。」
梨花ちゃんも私の言葉に頷く。
「僕たち、同じ中学で、仲が良かったんだよ。で、自然と、な。」
照れながら、田中くんがユキちゃんを愛しそうに見ている。ユキちゃんが、俯きながら頷く。
「鞠山さんも、彼氏居るんだよね?」
愛美ちゃんが、聞いてきた。
「何で?」
梨花ちゃんにしか話してないのに、何で解ったんだろう?
「その腕時計、ペアだよね。」
愛美ちゃんが、私のしている腕時計を指差して言う。
腕時計で気付くとは……。
「う~ん。正確に言うと彼じゃなくて婚約者が居るかな。」
何となくだけど、このメンバーなら話しても大丈夫じゃないかって、思えたんだ。
信頼できるメンバーって感じがして、その中の入れてもらえたんだって思える。
「「「「「えーっ!」」」」」
見事なハモりですね。
そんなに驚くことかなぁ?
「B組の彼?」
梨花ちゃんが、すかさず聞いてきた。
私は、首を横に振ると驚いた顔をする。
「婚約者は、社会人なんだ。この学校のOBになるのかな。」
私は、ごく普通に話してた。
「そういえば、この間の大会で、亜耶ちゃんを応援しに行った時、チラッと見たんだけど、応援席で話してた人? あの人、亜耶ちゃんが緊張してた時に応援席から叫んでいたよね。」
えっ、あ、あれ見てたんだ。今になって、恥ずかしくなってきた。
遥さんが、あのとき叫んだ言葉って。
『だいすきだー!!』
あー、恥ずかしい。
穴があったら、入りたいよ。
「あれ、亜耶。顔が真っ赤」
梨花ちゃんが、揶揄ように言う。
もう、どうしよう……。
動揺を隠せない、私。
それでも。
「あれね、私の緊張を解く魔法の言葉なの。私が緊張しだすとそうやって、解してくれるの。だから、集中も出来るし、普段の調子で走ることが出来たの。」
なんだかんだ言って、何時も支えてくれたんだよね、遥さん。だから、今度は、私が支えたいって思っても、可笑しくないよね。
「今の話からすると、長い付き合いって感じがするんだけど……。」
ユキちゃんが、真顔で聞いてきた。
「今年で、九年目。婚約者となって、何年だろう?」
自分で、首を傾げてしまった。
私が知らない内に婚約が決まってたし、な。でも、確か、遥さんが高校卒業した時に言われたような気もするから……八年?
「何、その曖昧な言葉は?」
「えっと……、私の知らない内に決められていたから、正確なことはわからないんだ。」
和田くんの言葉に、そう言うしかなかった。
「じゃあ、今付き合ってるB組の彼は、どうするの?」
梨花ちゃんの鋭い指摘にどう答えたらいいかわからず、黙っていたら。
「鞠山さんが、やってる事、酷いと思うよ。」
ユキちゃんが、ポツリと言う。
そういう風に捉われても仕方がない、事情を知らないのだから……。
「加藤。亜耶ちゃんを責めるな。やむえない事情があるんだろ。しかも相手は社会人だ。それなりの理由がなきゃ、亜耶ちゃんだってそんなことしないだろ。」
龍哉くんが、ユキちゃんを諌めた。
「もしかして、龍哉くんは知ってるの?」
私の言葉に頷く。
そっか……知ってるんだね。
「亜耶、この際だから全部吐き出しちゃいなよ。さっきの悩みって、この話が関わってるんでしょ?」
梨花ちゃんに背中を押される感じで、全てを告白した。
「それじゃあ、亜耶は元に戻すために彼に話をつけようとしてるとこなのね。で、どう話そうかと悩んでいた訳か……。」
全てを打ち明けた後、梨花ちゃんが言った。
「知らなかった事とはいえ、酷いこと言ってごめんなさい。」
ユキちゃんの言葉に首を横に振って。
「ううん。気にしないで……」
と告げた。
「ねぇ、もうでないと門閉められちゃうよ。」
愛美ちゃんの声で、時計を見た。
七時五分前 。
「急いで出よう。」
誰が言うでも無しに鞄を掴み部屋を出る。
「俺、鍵を返しに行くから、梨花鞄宜しく。」
龍哉くんが、ドアに鍵をかけ職員室に向かった。
「亜耶、私たちも急ぐよ。」
梨花ちゃんに促されて、下駄箱に向かう。
「さっきの話、ここだけにしておいてね。」
私が釘を差すと。
「う、うん。言わないよ。頑張ってね。」
愛美ちゃんが、言う。
応援されても何を頑張ればいいのか……。
「あのさぁ、私の事亜耶って呼んでくれないかな?」
私は、自分からそう告げた。
「うん。わかった。」
愛美ちゃんもユキちゃんも頷いてくれた。
「僕たちは、“亜耶ちゃん”って呼ぶな。」
田中くんがそう言う。
「うん、これからも宜しくね。」
私は、笑顔で言ったのだった。
入学当初は相談できる人たちが出来るなんて、思いもしなかった。
信頼の置ける仲間ができた瞬間だった。
0
あなたにおすすめの小説
とっていただく責任などありません
まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、
団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。
この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!?
ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。
責任を取らなければとセルフイスから、
追いかけられる羽目に。
【完結】モブ令嬢としてひっそり生きたいのに、腹黒公爵に気に入られました
22時完結
恋愛
貴族の家に生まれたものの、特別な才能もなく、家の中でも空気のような存在だったセシリア。
華やかな社交界には興味もないし、政略結婚の道具にされるのも嫌。だからこそ、目立たず、慎ましく生きるのが一番——。
そう思っていたのに、なぜか冷酷無比と名高いディートハルト公爵に目をつけられてしまった!?
「……なぜ私なんですか?」
「君は実に興味深い。そんなふうにおとなしくしていると、余計に手を伸ばしたくなる」
ーーそんなこと言われても困ります!
目立たずモブとして生きたいのに、公爵様はなぜか私を執拗に追いかけてくる。
しかも、いつの間にか甘やかされ、独占欲丸出しで迫られる日々……!?
「君は俺のものだ。他の誰にも渡すつもりはない」
逃げても逃げても追いかけてくる腹黒公爵様から、私は無事にモブ人生を送れるのでしょうか……!?
苦手な冷徹専務が義兄になったかと思ったら極あま顔で迫ってくるんですが、なんででしょう?~偽家族恋愛~
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「こちら、再婚相手の息子の仁さん」
母に紹介され、なにかの間違いだと思った。
だってそこにいたのは、私が敵視している専務だったから。
それだけでもかなりな不安案件なのに。
私の住んでいるマンションに下着泥が出た話題から、さらに。
「そうだ、仁のマンションに引っ越せばいい」
なーんて義父になる人が言い出して。
結局、反対できないまま専務と同居する羽目に。
前途多難な同居生活。
相変わらず専務はなに考えているかわからない。
……かと思えば。
「兄妹ならするだろ、これくらい」
当たり前のように落とされる、額へのキス。
いったい、どうなってんのー!?
三ツ森涼夏
24歳
大手菓子メーカー『おろち製菓』営業戦略部勤務
背が低く、振り返ったら忘れられるくらい、特徴のない顔がコンプレックス。
小1の時に両親が離婚して以来、母親を支えてきた頑張り屋さん。
たまにその頑張りが空回りすることも?
恋愛、苦手というより、嫌い。
淋しい、をちゃんと言えずにきた人。
×
八雲仁
30歳
大手菓子メーカー『おろち製菓』専務
背が高く、眼鏡のイケメン。
ただし、いつも無表情。
集中すると周りが見えなくなる。
そのことで周囲には誤解を与えがちだが、弁明する気はない。
小さい頃に母親が他界し、それ以来、ひとりで淋しさを抱えてきた人。
ふたりはちゃんと義兄妹になれるのか、それとも……!?
*****
千里専務のその後→『絶対零度の、ハーフ御曹司の愛ブルーの瞳をゲーヲタの私に溶かせとか言っています?……』
*****
表紙画像 湯弐様 pixiv ID3989101
フリーランスエンジニアの優しすぎる無償の愛
春咲さゆ
恋愛
26歳OLの木崎茉莉は人生のどん底にいた。上手くいかないことに慣れ、心を凍らせることで自分を守る毎日に絶望した茉莉は、雨の夜に思わず人生の終わりを願ってしまう。そんな茉莉に手を差し伸べたかっこいい彼。茉莉は、なぜか無償の愛のような優しさをくれる不思議な男性に少しずつ救われ、前を向いていく。けれど、疑ってしまうほど親切な彼には、親切であり続ける理由があって……。雨の夜の出会いがもたらした、優しくも切ない物語。
【完結】俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜
椿かもめ
恋愛
「こはる、俺の妻になれ」その日、大女優を母に持つ2世女優の花宮こはるは自分の所属していた劇団の解散に絶望していた。そんなこはるに救いの手を差し伸べたのは年上の幼馴染で大企業の御曹司、月ノ島玲二だった。けれど代わりに妻になることを強要してきて──。花嫁となったこはるに対し、俺様な玲二は独占欲を露わにし始める。
【幼馴染の俺様御曹司×大物女優を母に持つ2世女優】
☆☆☆ベリーズカフェで日間4位いただきました☆☆☆
※ベリーズカフェでも掲載中
※推敲、校正前のものです。ご注意下さい
扉の先は異世界(船)でした。~拾ったイケメンと過ごす異世界航海ライフ~
楠ノ木雫
恋愛
突然異世界の船を手に入れてしまった平凡な会社員、奈央。彼女に残されているのは自分の家とこの規格外な船のみ。
ガス水道電気完備、大きな大浴場に色々と便利な魔道具、甲板にあったよく分からない畑、そして何より優秀過ぎる船のスキル!
これなら何とかなるんじゃないか、と思っていた矢先に私の好みドンピシャなイケメンを拾い上げてしまった。目覚めたと思ったら、首を絞められる寸前となり絶体絶命!
何とも恐ろしい異世界ライフ(船)が今始まる!
※大幅に改稿しました。(旧題:異世界でイケメンを引き上げた!〜突然現れた扉の先には異世界(船)が! 船には私一人だけ、そして海のど真ん中! 果たして生き延びられるのか!)
それは、ホントに不可抗力で。
樹沙都
恋愛
これ以上他人に振り回されるのはまっぴらごめんと一大決意。人生における全ての無駄を排除し、おひとりさまを謳歌する歩夢の前に、ひとりの男が立ちはだかった。
「まさか、夫の顔……を、忘れたとは言わないだろうな? 奥さん」
その婚姻は、天の啓示か、はたまた……ついうっかり、か。
恋に仕事に人間関係にと翻弄されるお人好しオンナ関口歩夢と腹黒大魔王小林尊の攻防戦。
まさにいま、開始のゴングが鳴った。
まあね、所詮、人生は不可抗力でできている。わけよ。とほほっ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる