ヒ・ミ・ツ~許嫁は兄の親友~(旧:遠回りして気付いた想い)[完]

麻沙綺

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番外編

細川修平

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  球技大会の後の事。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


  あいつ……鞠山亜耶。メチャ可愛かった。
  ただ、俺の事を知らないってのには、落ち込んだ。
  まぁ、高橋さんが姉貴の婚約者なんだから、彼女は俺がもらえばいい。そう思いながら、親父の書斎の前を通った。

  ドアが少し開いてて、中から親父の怒鳴り声が聞こえてきた。
  何があったんだ?
  普段穏和な親父がこんな時間に罵声を上げる事に疑問がわいた。

  俺は、気になってドアの隙間から覗き込んだ。



「お前のせいで、首が回らなくなっただろうが!!」
  親父が姉貴に怒鳴り付けてる。
  首が回らないとは?
「そんなの知らない。」
  姉貴が、口を尖らせて言う。
「お前が、鞠山財閥の社長令嬢の悪口を社長否会長にまで筒抜けに成ったせいで、鞠山財閥との仕事全部キャンセルさせられた。」
  はぁ?
  うちの仕事の大半は、鞠山財閥から仕事を請け負ってるはず。
「そんなの私の所為じゃない。向こうが勝手に切ったんでしょ。」
  姉貴は、自分よがりの考えを親父に言う。
    ちょっと待って……。
  それってさぁ、姉貴の所為で仕事が無くなって、社員さんに迷惑かけてるってことだろ。何で、姉貴は気付かないんだ。
「それに、遥さんに相応しいのは、私ですもの。」
  うっとりとした顔付きで自信満々で言う。
「高橋さんとの婚約は、解消しただろうが! お前では、彼を支えることなんて無理だ。」
  親父が言う。
  えっ……。
  婚約解消になってたなんて、俺知らなかった。

「それに、修平の新入生代表、お金を積んだんだってな。その金どこから出した?」
  はっ、俺の代表挨拶って、姉貴がお金で買ったのか……。
  俺は、自分の実力でとれたものだと思ってた。
「それは、お父様の預金から……。いいじゃない。修平が代表で挨拶して、細川家に箔がついたなら……。」
  意気揚々として言う姉貴に対して、怒り心頭の親父。
  あっ…。何?
  俺にぬか喜びさせたわけ?
  新入生代表と言えば、入試で一番成績が良かった人がやるんだろ。
「最初に決まってたのは、鞠山亜耶さん。鞠山財閥の令嬢だった。それをお金で買って、修平にやらせるって……、お前は何を考えてるんだ!」
  親父の言葉に驚愕し、姉貴に対して怒りがわいてくる。
「いいじゃない。修平だって、喜んでたんだし。」
  何、それ。
  俺だけ、何も知らずにノホホンとしてたのか……。
  俺は、姉貴に信じてもらえてなかったのか?
「お前こそ、何もわかってない。修平の気持ちも何もわかってないだろ!」
  親父の声が、落胆してる。
「修平の気持ちなんて、知る必要ない。早く、遥さんと婚約パーティー進めないと……。」
  姉貴が、夢心地で嬉しそうな顔で言う。
  何で、そんな顔が出来るんだよ。
  俺の気持ちは、姉貴には関係ないんだ……な。
  俺は、書斎のドアを開けた。
「修平! お前、今の話聞いて……。」
  親父が、驚いた顔で聞いてきた。
「あぁ。全て聞いた。俺、金輪際姉貴を赤の他人と思うことにします!」
  俺は、そう断言した。
「俺の為にしたことは、全部姉貴の見栄なんだろ。そんな姉貴は必要ない。」
  俺は、自分の思いをぶちまけた。
「何よ。私はあんたの為にやったのよ!」
  鬼の形相で俺の襟元を掴み言う姉貴。
  俺は、その手を振り払い。
「それは、姉貴のエゴだろ。俺は、嬉しくもなんともない!!」
「ゆかり。高橋さんの婚約者は、鞠山亜耶さんだ。それは、一度足りとも覆す事はない。高橋さんは、元々鞠山会長の唯一認められてる人物。ゆかりが入る隙なんか無い。」
  親父が、その一言を告げると姉貴が足元から崩れた。
「私が、遥さんの婚約者なんだから……」
  何かの糸が切れたのか、その場で泣き崩れた。

  あぁ、やっぱり彼女は俺の手に入ることはないんだなぁ。

「修平。お前、会社の建て直し、手伝ってくれるか? 学生との両立大変だと思う。ゆかりの尻拭い頼めるか?」
  親父が、俺に頼むって事は、よっぽどの事だ。
「俺で手伝えることがあるなら、手伝わせてくれ。」
  俺は、精一杯手伝うつもりだ。


  姉貴が仕出かしたことは許せないが、会社が潰れるのは阻止したい。
  社員の事を考えたら、今俺が出来ることで返すしかない。

   これから忙しくなるだろうが、やるしかないと腹を括った。


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