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ぺんぎんものがたり
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そうこうしているうちに水族館に到着した。
んひっ
まるこは自然とにやけてしまう。
だってだって久しぶりなのだ。
約1ヶ月ぶり?
嬉しいいい
そんなことを思いながらようちゃんのうしろをついて行く。
「ようちゃん、ようちゃんっ。ペンギンいるかな!?ペンギン!!」
「んー、たぶん?いると思うけど。それにまるがペンギンペンギンって騒ぐから今日は来たんだよ」
相変わらずぶっきらぼうだなぁ。と
まるこは頬をぷくりとふくらます。
でもいーもん分かってるもん。そんな言い方するけど本当はちゃんと考えてくれてたってわかってるもん。
まるこは自分自身に言い聞かせる。
水族館はまあ、週末ということもあって少しだけ混雑していた。
ようちゃんの後ろ姿を視界に収めながらたくさんの生き物たちを目にする。
「ねえようちゃん!これあれだよ!にもだよ!にも!」
はしゃぎながら伝えるとようちゃんは少し照れたような顔で「クマノミだろ?」と笑ってくれた。
ようちゃんにそっとお願いしてみる。
「ねえようちゃん、手、繋ぎたい…かも。」
「かもってなんだ、かもって。」
そう言って笑うとようちゃんは
ん。
と手を差し出してきた。
まるこは初めからましてや自分から恋人繋ぎをする勇気なんてなくてふっつーに手を繋ぐ。
ふっつーにだ。
するとようちゃんが
「恋人ってこうでしょ?」
と微笑みながら恋人繋ぎってやつをしてくれた。
これだ、こういうとこなのだ。
ようちゃんはいつだってまるこのきもちの半歩先を先回りしてくれる。
こういうところがまるこは大好きなのだ。
「あっ、ぺんぎん!!!」
まるこはペンギンを飼いたい、いや食べたい。あ、間違えた。でも、そのくらいペンギンが好きだった。
なんだかあのよちよち歩きがたまらない。
可愛すぎて涙が出そうだ。
そんなまるこにきづいたようちゃんが
「ペンギンでは、泣くなよ。」
先手を打ってくる。
ちくしょう……バレてたか。
まるこはずるるっと鼻を啜った。
ひととおり周り終えるとようちゃんが「魚見た事だし、魚食べようか。」と、なんとも可愛くない言葉をかけてきた。
「もしかして魚見ながらずっと美味しそうって思ってた?」
「んー、んん、んー、半分?」
そう答えるようちゃんを見てああ、これはほぼ100%思ってたな。とまるこは確信する。
ほんとにロマンもムードもない彼氏だぜ、そんな悪態をつきながらもまるこもお腹が空いていた。
2人で隣接する寿司店に入るとそこはあまり混んでいなかった。
席についてずずっと熱いお茶を飲む。
「そういえばまるこに話があるんだけど。」
何だ、普段まるってよぶくせに、怖いぞ。
そう思いながら「なーに?」と、まるこは首を傾げる。
「俺、異動することになった。」
「……へ?」
まるこが素っ頓狂な声を上げる。
「そんなに遠くないんだけど、まあ、隣の県に。だいたい電車で1時間半くらいのとこ。新しい店舗を出すらしくてさ。今のとこはまあまあ下の子たちも育ってきたしね。」
飄々と言ってのけるようちゃんにまるこはなんだか悲しい気持ちになってきた。
もちろん、嬉しいことだ。
なんてったってようちゃんの実力が認められたんだから。
でも。
それじゃあ今よりもっと会えなくなるじゃないか。
悶々としているとようちゃんが「浮気の心配?」
などと聞いてきた。
「んーん、違う。」
そう言って首を振る。
「じゃあ……?」
首を傾げるようちゃんを少しだけ、ほんの少しだけ涙の滲んだ目で見つめる。
「今より、会えなくなっちゃう。今だって本当はいってないだけで、ほんとは、ほんとのほんとはもっと沢山会いたいよっ」
いまのまるこにはこれ以上に適切な言葉が見つからなかった。
あーあ、せっかく元気ににっこりデート楽しみたかったのに。
ようちゃんはまるこから視線を逸らすと熱いお茶をずずっと啜った。
「これからどうしていくかは、また、まるが落ち着いた時に話し合おうか。」
わかってるのだ。ようちゃんには。
いままるこが冷静に話ができない状況だということが。
そんなの、冷静になれるわけないじゃんか。
まる子は言い訳のように心の中で唱えた。
んひっ
まるこは自然とにやけてしまう。
だってだって久しぶりなのだ。
約1ヶ月ぶり?
嬉しいいい
そんなことを思いながらようちゃんのうしろをついて行く。
「ようちゃん、ようちゃんっ。ペンギンいるかな!?ペンギン!!」
「んー、たぶん?いると思うけど。それにまるがペンギンペンギンって騒ぐから今日は来たんだよ」
相変わらずぶっきらぼうだなぁ。と
まるこは頬をぷくりとふくらます。
でもいーもん分かってるもん。そんな言い方するけど本当はちゃんと考えてくれてたってわかってるもん。
まるこは自分自身に言い聞かせる。
水族館はまあ、週末ということもあって少しだけ混雑していた。
ようちゃんの後ろ姿を視界に収めながらたくさんの生き物たちを目にする。
「ねえようちゃん!これあれだよ!にもだよ!にも!」
はしゃぎながら伝えるとようちゃんは少し照れたような顔で「クマノミだろ?」と笑ってくれた。
ようちゃんにそっとお願いしてみる。
「ねえようちゃん、手、繋ぎたい…かも。」
「かもってなんだ、かもって。」
そう言って笑うとようちゃんは
ん。
と手を差し出してきた。
まるこは初めからましてや自分から恋人繋ぎをする勇気なんてなくてふっつーに手を繋ぐ。
ふっつーにだ。
するとようちゃんが
「恋人ってこうでしょ?」
と微笑みながら恋人繋ぎってやつをしてくれた。
これだ、こういうとこなのだ。
ようちゃんはいつだってまるこのきもちの半歩先を先回りしてくれる。
こういうところがまるこは大好きなのだ。
「あっ、ぺんぎん!!!」
まるこはペンギンを飼いたい、いや食べたい。あ、間違えた。でも、そのくらいペンギンが好きだった。
なんだかあのよちよち歩きがたまらない。
可愛すぎて涙が出そうだ。
そんなまるこにきづいたようちゃんが
「ペンギンでは、泣くなよ。」
先手を打ってくる。
ちくしょう……バレてたか。
まるこはずるるっと鼻を啜った。
ひととおり周り終えるとようちゃんが「魚見た事だし、魚食べようか。」と、なんとも可愛くない言葉をかけてきた。
「もしかして魚見ながらずっと美味しそうって思ってた?」
「んー、んん、んー、半分?」
そう答えるようちゃんを見てああ、これはほぼ100%思ってたな。とまるこは確信する。
ほんとにロマンもムードもない彼氏だぜ、そんな悪態をつきながらもまるこもお腹が空いていた。
2人で隣接する寿司店に入るとそこはあまり混んでいなかった。
席についてずずっと熱いお茶を飲む。
「そういえばまるこに話があるんだけど。」
何だ、普段まるってよぶくせに、怖いぞ。
そう思いながら「なーに?」と、まるこは首を傾げる。
「俺、異動することになった。」
「……へ?」
まるこが素っ頓狂な声を上げる。
「そんなに遠くないんだけど、まあ、隣の県に。だいたい電車で1時間半くらいのとこ。新しい店舗を出すらしくてさ。今のとこはまあまあ下の子たちも育ってきたしね。」
飄々と言ってのけるようちゃんにまるこはなんだか悲しい気持ちになってきた。
もちろん、嬉しいことだ。
なんてったってようちゃんの実力が認められたんだから。
でも。
それじゃあ今よりもっと会えなくなるじゃないか。
悶々としているとようちゃんが「浮気の心配?」
などと聞いてきた。
「んーん、違う。」
そう言って首を振る。
「じゃあ……?」
首を傾げるようちゃんを少しだけ、ほんの少しだけ涙の滲んだ目で見つめる。
「今より、会えなくなっちゃう。今だって本当はいってないだけで、ほんとは、ほんとのほんとはもっと沢山会いたいよっ」
いまのまるこにはこれ以上に適切な言葉が見つからなかった。
あーあ、せっかく元気ににっこりデート楽しみたかったのに。
ようちゃんはまるこから視線を逸らすと熱いお茶をずずっと啜った。
「これからどうしていくかは、また、まるが落ち着いた時に話し合おうか。」
わかってるのだ。ようちゃんには。
いままるこが冷静に話ができない状況だということが。
そんなの、冷静になれるわけないじゃんか。
まる子は言い訳のように心の中で唱えた。
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