超人気乙女ゲームの悪役令嬢に転生した事務方OLが~この世界を平和に導きます~

山美ハル

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世界は私の手の中に

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フラミス王国には6大貴族と言われる大貴族がこの国の政治を動かし、時には裏で暗躍してきた歴史がある
まさしく王国の歴史は六大貴族の歴史と言えるだろう、ここにも六大貴族の一つリール家の豪邸がある

「平和ですわ」

金色の髪・銀色の瞳、周りからは絶世の美女と言われリール家のご令嬢のノエル・フォンリールである

「お嬢様 紅茶でございます」

「ラーマついでに紅茶に合うお菓子を持ってきて頂戴」

ラーマと言われる女性はノエルとさほど年の変わらない彼女専門のお世話係である

「かしこまりましたお嬢様」

「まったく、気が利かないわね、何時も言ってるでしょ紅茶には甘いお菓子と」

「次持ってこなかったらあなたの家族がどうなっても知らないわよ」

ノエルは冷たい瞳でラーマを睨む

「申し訳ございません、家族だけは・・」

ラーマは父親の借金が原因でリール家に売られてしまったのだ、そのために何かあるたびにノエルに無理難題を押し付けられたりしている

「まったく使えない使用人ね」

ノエルは気晴らしに紅茶を飲みながら外の景色を見る

「早く ハッカスに合いたいわ」

ハッカスと言われる人物はリール家につかえる騎士の一人で勉学・剣術に秀で将来の騎士団長候補の一人でノエルが今一番夢中な男性である

「お待たせしま キャア」

その時ラーマの足元に猫が横切る 

猫に足を取られお皿に盛りつけられたケーキがノエルの顔面に直撃した

ぐちゃ

その時 ノエルは声も出さずに頭を抱えていた

普段なら怒り狂いもしかしたらラーマを叩いていただろう、だができなかった

彼女の本当の記憶がよみがえってくる


「私は」

「早中ことみ」

「短大卒業後、過労死株式会社の事務の仕事をしていた」

「月の勤務時間が370時間を超えPCの前で倒れた・・」

「申し訳ございません お嬢様」

ラーマが無我夢中でひたすら頭を下げる

「大丈夫よ」

「へぇ お嬢様?」

ラーマはノエルから発せられた言葉に思わず凍り付く、あのお嬢様が気にいしていない?、どんな罰を与えられるか考えたくもない、こんな状況で・・

「お着換えを用意してくれませんか?」

「か かしこまりました」

ラーマは急ぎ入浴の用意、着替えを用意する

「ノエル ラーマ この景色 この服装」

「乙女爽快夢想恋物語の世界?」

乙女爽快夢想恋物語とは早中ことみが夢中になって遊んでいた乙女ゲームである、美男美女が架空の国フラミス王国を舞台に恋に遊びに様々な事に挑戦できる世の女性たちを夢中にさせた大ヒット乙女ゲームである

「気のせいよね・・」

早中ことみはほっぺをつねったり、周りを見渡したり、ケーキが顔についていようが気にせず回りの物をさわり

顔についたケーキお手に取り口に入れる

「美味しい、こんなケーキOL時代に食べたことがないわ・・ね」

良いか悪いか別としてこの世界は乙女爽快夢想恋物語の世界のようだ

「お待たせしましたお嬢様」

「ラーマ この国の名前は?」

「フラミス王国です」

「通貨は何かしら?」

「セルクですが・・」

どうやらラーマは警戒しているようだ、それは普段からのノエルの言動が原因である

「やっぱり・・」

ことみは理解した、この世界が乙女ゲームの世界だと

「ねぇ 私の名前は?」

「ノエル様です」

「六大貴族の?」

「はい リール家のご令嬢です」

何度言葉を変えて聞いてもたどり着く答えは一緒である

「ラーマ・・いつもありがとう」

「わがまま いって ごめんなさい」

ことみは涙を流しながらラーマに頭を下げ謝罪をする

「そ そんな どうしたんですか?」

「どこか痛むのですか?」

「大丈夫よ ラーマは私のわがままを聞いてくれて、最後まで私のそばにいてくれたわね」

「最後?」

「革命がくるぅぅぅ!!!!」

「ど どうしたんですか?」

乙女爽快夢想恋物語には革命イベントがあり、悪の令嬢ノエルは民衆の手で処刑されるのだ、ラーマ―はノエルをかばうも一緒に処刑される、このシナリオは賛否があるがユーザーにはおおむね好評である、この時にラーマのセリフ
「ノエル様の死は私の死です」は乙女爽快夢想恋物語の泣き所として有名である

「革命なんて おこりませんよ 旦那様がこの地方 ノースンをしっかりと収めておりますよ!!」

「甘いわね 一族の浪費のせいでお金が底をつきそうになり父は「民衆から集めればそれで解決」とか意味の分からない理論で民の税をあげたのよ・・」

「・・・(否定できない)」

「とりあえず 入浴の準備ができてますので 入浴してはいかがですか 気分も優れますよ」

「そうね」

ことみは気分転換と頭の中を整理するためにお風呂場に行く

「立派なお風呂場ね」

生まれた時よりこの入浴場を使っている記憶があることみだが本当の記憶を思い出してしまった為に大きすぎる入浴場が落ち着かない

「はぁ~ 気持ちいい」

足を延ばしても足が浴槽にくっつく事もなく、ラベンダーの香りが脳をリラックスさせてくれる

「とりあえず情報収集ね」

「たしかイベントでは財政を悪化させてだめ、無駄遣いは絶対にだめ」

「今日のケーキいくらかかったんだろう・・」

「美味しかったな」

独り言をつぶやきながら自分の置かれた立場やお金について考えることみ、この世界が夢なら幸せだけど、そうではない、自分のゲームの記憶を思い出しながら考える

「ふぅ 気持ちよかった」

浴槽を出ようとするとラーマがタオルを持ち待っている

「な 何」

「身体をお拭きにまいりました」

「あ どうも」

ふきふき

「ありがとう(ラーマは最後まで私の味方でいてくれたから信頼できるわね)」

「旦那様が帰宅さております」

「そう」

着替えを終わらせ父親に会いに行く

「おかえりなさいませ お父様」

「おう ただいま元気だったかい?」

中年の男がノエルに近づく、ノエルの父親でリーク家の当主のアック・フォンリールである

「はい 元気です お父上は?」

「元気だよ ノエルに合えて元気になったよ」

一見中のような親子だがことみから見たら、ゲームの中のキャラの一人である

「お土産にブローチを買ってきたんだ」

アックは美しく装飾された箱をノエルに手渡す

「あ ありがとうございます」

箱の中身はエメラルドのブローチだった

「気に入らないかね・・」

「いえ とってもきれいです・・」

「(しまった、OL時代の癖で高級なものには嫌悪感をいだいてしまう、どうしよう・・)」

ことみは下を向く

「気に入らないかね」

ことみは恐る恐るアックの方を見る

「やはり私の娘にはこんな安物なんか、すぐに分かるな!! ハハハ」

「え」

「すまないね ノエル意地悪をしたんだ、これは安物なんだよ」

アックスは謝りながら、カバンから同じような箱を取り出しノエルに渡す。渡された箱の中身は先ほどのエメラルドのブローチに似ているが

「(違いが分かんないわ)」

「やはり私の娘は優秀だな」

周りのメイドたちがうなずく

状況があまり分からない、ことみはアックにある質問する

「お父様こちらのブローチはおいくらするのでしょうか?」

革命を阻止する為にことみは財政についてのデーターをとっていくことを風呂場で決めたのだ

「うーん いくらぐらいだったかねセバスチャン?」

「こちらはですね」

セバスチャンと呼ばれる男性はアックよりも年が上でリール家に代々使える家系の男性であり、アックの旅行や仕事の際にも同伴している

「20000セルクです」

「まぁ (高い高いわよ、たかが小娘のお土産に買う必要なんてないわよ)」

これからの事に強い不安が押し寄せてくる、あまりの事にことみは膝をつく

「大丈夫ですかお嬢様」

「大丈夫よ」

周りの人達がことみに近づく

「やはり安物過ぎてことみはショックだったのか」

アックは安物のブローチをカバンに戻す

「そっちの値段ですか?」

「さようですお嬢様、本当のお土産のブローチの値段は300000セルクです」

「オェェェ」

先ほど食べたケーキが口からあふれ出す

「ノエル!!!」

アックはノエルの背中をさすり優しく声をかける

「医者を早く!!」

ノエルは立ち上がり涙目になりながら大きな声で叫ぶ

「お前だいい加減にしろやーーわざとやってんの? 私を死刑台に連れていきたいの? 死刑台までのエスカレーターかお前だは!!!!」

「どうしたんだ ノエルいったい」

「財政改革!!!」

「財政改革?」

「お金なら困ってないぞ?」

「この前ノエルが欲しがっていた服を買ってあげただろう?」

ノエルが身に着けている服は3日ほど前にノエルがわがままを言って作らせてオーダーメイドの服である

「はぁはぁ この服?」

「そうだよ」

ことみの記憶がよみがえる

「このレザインじゃなくちゃいやですお父様」

「しかたないなノエルこれにしようか」

「ありがとうございますお父様」

ことみの顔に汗が伝う

「600000セルクの服だよ」

「ブクブク」

ことみは口から泡を吹きその場で倒れる

「ざい 財政 改 革」

その言葉を言いことみは気を失った


「ここは」

「目が覚めましたかお嬢様?」

どうやら私は気を失ってしまいここに運ばれたようだ・・・

「旦那様が心配しておりましたよ」

「心配かけてごめんなさい」

「どうされたんですかお嬢様」

「色々とね」

「もしよろしければお話ください」

ラーマはことみに顔を近づける

「うん」

「実は」

ことみはすべての事を話す、この世界の事を

「そんな・・冗談ですよね」

「本当よ」

「信じられませんよ」

「私の事をからかっているんでしょう?」

ラーマの顔色が変わっていく、当たり前の事だろう、この世界が偽物の世界と言われ信じたくない気持ちはわかるだがこれが真実なのだ

「ノエル様はどうされるのでしょうか?」

「できる事はやってみるわ」

「おひとりで?」

「そうね 誰にも頼れないし」

「私がいます!!!」

「ラーマ?」

「すみません大きな声を出してしまい・・」

「いいのよ」

「でも私はあなたにひどい事をしてきたわ」

「だからこそノエル様が私たちを救ってください」

「ラーマ・・・」

「もしかしたら危険な目に合うかもしれないわよ?」

「大丈夫です」

「私が死んでも自分を・・責めないでね?」

「ノエル様の死は私の死です」

ラーマはそう言うと笑顔でノエルに話す

「分かったはラーマ、頑張るわ」

「はい」

こうしてシナリオにはない物語が幕を開けた




















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