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塔の中の一日
しおりを挟む幽閉塔には多くのメイドが働いている
多くのメイドや使用人はこの暑い中床掃除にいそしんでいる
最上階には私の主人のマーガレット様が暮らしている、最上階には私以外のメイドがいないので掃除洗濯家事全般は私の仕事だ
「これで後半分」
自分を鼓舞しながら床掃除のモップをかける
「この仕事が終わればお昼ご飯の仕込みをしなければ」
「あらキャサリンごきげんよう」
今掃除が終わったばかりの床をマーガレットが歩いていく
「おはようございます」
キャサリンはマーガレットが通り過ぎるまでお辞儀をする
「ちょっとまってくださいよ」
キャサリンは慌ててマーガレットを呼び止めた
「どうしたのキャサリン?」
美しい金髪を揺らしながらマーガレットが振り向く
「どうしたじゃありませんよ幽閉されているのですよ」
幽閉されている者は部屋の中から外にでる事を許されていないはず
「そうよだからだから私はここにいるのよ」
不思議そうにマーガレットは答えた
「普通幽閉されている人間は自由に部屋から出てきませんよ」
「第一鍵がかかってますよね?」
キャサリンは鍵をポケットから取り出してロザリーに見せた
「あぁ私も持っているから戸締りは大丈夫よ」
マーガレットは首にかけている鍵を見せる
「それなら大丈夫ですね」
キャサリンは頷きそうになるが
「何で持ってるんですか!!!」
キャサリンはモップを床に投げつけた
「何でって・・知りたいの?」
「どうせマーガレット様が魔法か何かで作ったんでしょ」
キャサリンは決めつける
「違うわよ」
「違うんですか?」
「うん」
「じゃ何で鍵を持っているのですか?」
キャサリンの問いに真顔でマーガレットは答える
「もし王子が無実の罪で幽閉された時の為に作っておいたのよ」
キャサリンは声を出さずに床掃除を始めた
そんなキャサリンの見てマーガレットは質問した
「今日のお昼は何かしら?」
「何時もと同じパンとスープです」
「味気ないわね」
マーガレットは不服そうにする
「こればっかりは仕方がないです」
床掃除をしながらキャサリンは答える
「たまにはお肉が食べたいね」
「はい」
マーガレットと一緒に幽閉されてしまったキャサリンはマーガレットと同じ食事を食べている
「たまには私もお肉が食べたいです」
キャサリンはため息をついた
「お昼はお肉にしましょう」
「そんなお肉ここにはありません」
「何とかなるわよ」
「なりませんよ」
「ところでマーガレット様は何しに外に出てきたのですか?」
肝心な事を聞き忘れる所だった
「これを探していたのよ」
壁の一部を指で叩く
「なんですかいったい?」
「押してみなさい」
マーガレットに言われキャサリンは壁を押す
がガガガ
壁の一部が動く
「あわわ 壁が勝手に」
キャサリンはマーガレットの後ろに隠れる
「やっぱりここだった」
マーガレットは壁が移動し空洞になっている場所に手を伸ばす
「見つけた」
マーガレットは壁の穴から手を取り出す
右手に指からあふれるぐらいの袋が握られていた
「なんですか?」
マーガレットは袋をキャサリンに渡した
「開けてみなさい」
キャサリンは袋の中をのぞく
「えええええぇぇ」
袋の中には指輪や首飾り硬貨がぎっしり詰まっていた
「これはいったい」
「さっき話したでしょ王子に何かあった時に逃亡する際に使うつもりで隠していたのよ」
「・・・」
キャサリンはあっけにとられ一度休憩を取るために休憩場に向かった
休憩場はメイドや調理師などが休憩するために使われている
「すごい」
「おいしそう」
「おっきいね」
部屋の中に多くのメイドたちが集まっている
「どうしたの?」
「あらキャサリン見てよこれ」
休憩場の真ん中の机に肉の塊が置かれている
「肉だ どうしたのこれ?」
「町の収穫祭の物だしいのよ」
「私たちも食べていいのかな?」
「メイドも幽閉されている人も食べていいんだって」
「ハハハ」
「どうしたのキャサリンお肉好きでしょ?」
他のメイドたちに聞かれても笑う事しかできないキャサリンだった
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