君がいる日常〜君と寄り添う日常

夢至 彼方

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第一章

17.予想してなかった幸運ってすごい嬉しいよな

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 帳は客が少ないので静かだから落ち着いて読書ができる。それに冷房も効いていて快適だ。

 少ないながら透と弘という客がいて話し声が聞こえるがあまり気にはならない。

 そんな風に俺がBLを楽しんでるとカランカランという音が帳の店内に響く。

「いらっしゃいませ。あっ、空か。どうだった何かいい本はあったか?」

 どうやら今入ってきたのはひびきの知り合いみたいだな。

「あ~えっと。今日はちょっといいのは見つけられなかったかな」

「そうか。それは残念だったな。」

「あっ、空君だ!やっほ~!」

「あれ?弘君もいたんだね」

 実弘とも知り合いって事は同じ学校の奴かもな。

「っ!」

 ん?なんか今一瞬後ろから視線を感じたな。状況的に今入ってきた奴か?さっき弘が空って呼んでたな。

 そんな事を考えていると視線を感じて少しだけ顔を上げた俺の視界にある光景が映った。左側にあるカウンターに向かって歩いてる弘と同じ制服を着た男がいた。

「うん。ちょっと響君と仲良くなりたいと思ってね」

「え?急だね。何かきっかけがあったの?」

 俺が上げた視界で空ってやつがカウンター席について弘と話し始める。

 俺の位置からどと横顔だから横顔しか見え見えてねぇけど、普通に人好きのするにこやかな笑顔をしている。どこか春樹に似てる様な気がするな。春樹みたいにどこか抜けてないといんだけどな

「さぁ、なんだろうね?」

「えぇ、教えてくれないの」

「えへへ。まぁ、僕とひびき君の秘密だよね~」

「さて俺には何の事かわからないな」

 ひびきと弘と空ってやつは和やかに会話が進んでいく。

 さっきの空ってやつの妙な視線は気になったけど別にいいか。

 そう考えて俺はBLな視線を戻して読書を再開する。

そう言えばさっき本屋って言ってたな。そろそろ新しいBL買うかなぁ。でもラノベも欲しいんだよな。どっちにすっかな。

 少し思考が逸れたがやっぱり今読んでるこれは面白いな。巻数が多いから長く楽しめるるのも結構嬉しいんだよな。

 BLは一巻だけで終わる作品が多いんだよな。そうじゃなくても2、3巻で殆どだよな。別に短いのはそれはそれで面白いけど長く続く作品は長く楽しめるからこのシリーズは俺的にはありがたい

(やっぱり、こういちゆっくりとお互いに少しづつ距離が縮んでいく様子っていいな。巻数が多いからその分心情の変化とかが丁寧に描かれてるのも結構いいんだよな)

 あっでも失敗したかもしれないな。こういうほのぼの系で安心して見れる奴を先に見ると今日家に帰ってから読もううと思ってたやつに手が伸びにくい事になりそうだな。

 ほのぼの系のあとにせつない系の物語を見ると落差が激しいから見るのが辛いんだよな。

 でも今読んでるのを読むのを止めるのも中途半端だし嫌なんだよな。

 どうっすかな~………ん?あれっまたか。

 さっき感じた視線を再び感じて気になった俺は視線の主がいるだろう場所に目を向ける。

「っ!?」

 俺が顔を上げた先ではさっき感じた視線の主と目があった。

 俺が顔を向けると思っていなかったのか、それとも目が合った事に驚いたのかひびきと弘の同じ学校に通うだろう空とやらが動揺していた。

 目に見えて慌てていて心配になってくるな。

「……すぅーはぁ。よし!」

 あっなんかわかんねーけど、覚悟を決めたのか深呼吸して落ち着いたな。そして空は俺の方に向かって歩きだした

 店に入ってきた時といい、今も俺の事見てたけど何のようだ?今日が初対面だし、そもそもまだ喋ってすらいないしな

 そして空は俺の目の前にまでやってきて俺に声をかけてきた

「あ、あの」

 さっき目があった時と違って今は落ち着いてるようだけど、声が震えているし見るからに表情が固くてあからさまに緊張しているのが目に見えて分かるな。手にも力が入ってるな。多分震えないように力を込めてるんだな

「どうしたんだ?なんか用なのか」

「えっと、その、あの」

「とりあえず落ち着けってさっきみたいに深呼吸しようぜ深呼吸」

 このままだと話が進まなくなりそうだからな。

「えっ?あっ、は、はい!すぅーはぁー。よしもう大丈夫です。」

「ならよかった」

 自分で言った通りさっきと違って表情が柔らかくなってるし、声も震えてない。それに強く握っていた手開いていて力が抜けてるのがわかるから本当に大丈夫そうだな。

「そんで急に俺に声をかけてきてどうしたんだ?俺ら初対面だよな。それに特に接点とかもないよし、強いて言うならひびき繋がりくらいだよな。弘と同じ学校の制服だからお前もひびきと同じ学校なんだろ?」

「う、うん。確かに僕も弘君とひびき君と同じ学校に通ってるけど僕が声をかけさせてもらったのはそれとら関係ないんだ。僕が個人的に君と仲良くなりたいと思ったからなんだ」

 え?余計に意味がわからないな。てっきりあいつら繋がりで気になったのかと思ったけど違うのか?そうなるとマジで繋がりがないだろ。

「えっと駆君って呼んでもいい?」

「あー、別にそれは構わねぇけど」

「よかったぁ」

 空はあからさまにホットした顔をする。だが次の瞬間には直ぐに真面目な表情になり喋り始める

「えっと、駆君!」

「お、おうなんだ?」

 急に大きな声を出されて俺は驚いてしまう。

「今読んでるその本ってもしかして『佐伯と宮崎』で合ってる?」

「え?」

 『佐伯と宮崎』を知ってるのか?でもってこんなに緊張してるってことはもしかしてこいつって

「あ、あぁ。それで合ってるな」

「駆君もそういうジャンルの本って読むの?」

 わざわざジャンルの具体的な名前の明言を避けてるって事は多分そういう事だよな。

「僕そういうジャンルの本をよく読むんだ。だから、その…もし、駆君もそういうジャンルの本をよく読むなら…その、仲良く…なりたい…と思って…」

 多分間違えないなこいつも腐男子なんだろうな。にしてもまさかこんな風に話しかけられるとはな。ってか時間が経って頭が冷静になったのか、勢いがなくなったな。

「あ、あの~」

「あー、悪いちょっと考え事してた。」

 悪い事をしたな。かなり不安そうな目をして俺のことを見てるな

「えーっと空で合ってるか?」

「え?あっ、う、うん!空で合ってるよ!木鈴空って言うんだ!空って呼んで!」

「あーじゃあ、空。」

「えっと何?」

 なんかめちゃくちゃ緊張してるな。別に俺が何かする訳じゃないのにな。

「『佐伯と宮崎』のアニメ化されたのがこの前最終話が終わったけど見たか?」

「え?………う、うん!見てたよ!最終話の12話でやっとか~って焦れたかったなぁ~って思ったけど時間がかかった分なんか凄く感動した」

 俺がアニメ化された『佐伯と宮崎』について聞くと空は嬉しいそうに語りだす。さっきまでの緊張していた様子を見ていたからかその姿がなんだか微笑ましく映る。

「ふっ」

「?えっと僕なにか変な事言っちゃったかな?」

 俺が急に笑ったからか空は不安そうな表情を浮かべる。

「いや、そういう訳じゃないから気にしないでくれ。俺も同じように焦れったく感じてたけど、その分心情の変化とかが丁寧に描かれていて俺的には結構満足だったな。」

 俺が『佐伯と宮崎』と宮野についての感想を言うとまた嬉しそうな表情を浮かべる。

「だよねだよね!僕もあれ結構満足だった!しかも2期が決まってる見たいな告知もあってそれもすっごく楽しみなんだ!」

「あぁ、俺も楽しみだ。まぁそういう感想が出るくらいには俺もあのジャンルの本を読んでるぞ」

 そう言うと空はぱあっと笑顔になる。その表情はさっき以上に明るいものだった

「俺が初めて読んだ作品は《群青の全部》って言う作品だったな」

「あっそれ僕も読んだことあるよ!あれいい作品だよね!タイトルみたいに青春って言う感じででも澄んだ青じゃなくて群青って言うのが深いよね」

 こいつ結構本好きっぽいな。タイトルに言及するところとか特にそう感じる。それに俺も同じような事を思ったんだよな

「それなんだよな。ちょっとしたきっかけから少しだけ変化が出た日常。でもってそれが原因で始まる物語は見ていて不安になったけど、最後は上手くまとまってホッとしたな。」

「本当そうだよね!最初に見ていた時は不安だったけど、その分最後は凄く安心したよね!」

 さっきと変わらずに嬉しそう喋り続ける空。ってか今更だけど

「とりあえず空座れよ。多分話長くなるだろ。というか俺もそうしたい」

「えっ?あ、そっそうだね!教えてくれてありがとうね」

 俺が座るように勧めると気がついた空は申し訳なさそうに座る。いやというよりも恥ずかしそうか?それとあとちょっと嬉しそうだな

 嬉しそうのはこういう話題が出来て嬉しいんだろうな。何せ俺と話しかけた最初の方と違ってかなり流暢に喋ってたからな。それに俺だって嬉しいんだからな

恥ずかしそうなのは多分立ちっぱなしになってるのに気づかないくるいテンションが上がっていたのに気づいたからか?

 別に気にする必要ないのにな

「なぁ、空が最初に読んだのはなんて言う作品だったんだ?」

 ハイテンションになった事を気にして喋らなさそうだったので俺から話しかけてみた。

「え、えっと僕が最初に読んだのは『彼のいる日常』っていうんだけど知ってる」

「いや、知らないな。どんなやつだ?」

「えっとちょっと待って」

 俺が空の言った作品のことを聞くと空は制服の胸ポケットから携帯を出して操作し出す。

「こういう感じだよ」

 そう言って空は俺に携帯を差し出す。空の携帯には出した作品の表紙らしき絵やランキングの数字らしきものが書かれていた。

「えっと評価サイトか?へぇ、こんなのがあるのか」

「あっ知らなかったんだね。このジャンルの作品のレビューが色々のってるからおすすめだよ。」

「へぇ、そうなのか。ふむふむ面白そうだな」

「うん!これ僕のおすすめなんだよね」

 あらすじを見た感じ結構面白ほうだな。大学デビューを目指す主人公と同居する事になった幼馴染っていう感じか。優良物件の幼馴染に彼女ができない理由を探す事になるけどそんな中で気になるセリフを言う幼馴染か

 あっ、へぇ、設定とかトーンも書かれてるんだな。えぇっと設定は《同級生 幼馴染み 片思い 再会 嫉妬 ルームシェア・同居   大学生》って細かいな!でもってめちゃくちゃ設定多くて気になってくるな!

 それでトーンの方はっと。《あまあま ほのぼの》か。これ結構安心して見れそうだな。

「これ結構気になるな」

 俺がそう言うと空は何かに気づいたような表情をした。

「あのさ、駆君。よかったら貸そっか?」

「え、いいのか?」

「うん!いいよ。こういう話できるのすっごい嬉しいし楽しいからね。」

 本当に嬉しそうな顔で俺にそう言う空。なんかここまで嬉しそうにされると俺もなんかしてやりたくなるな。あっそうだ

「じゃあ、俺もなんか貸すわ。」

「えっいいの!?」

「そりゃ俺も貸してもらうんだからいいに決まってるだろ」

 俺がそう言うと今日1番の笑顔を見せる空。こいつのこういう嬉しそうな笑顔今日だけでもう何度も見たな

「わぁ!僕こういう漫画の貸し合うのとか憧れてたんだよね。だからもう上手くいえないけど何か凄い嬉しいや」

「はは。そりゃよかった。じゃあとりあえず連絡先交換しようぜ。お互いに家に帰ってから持ってる作品を写真でもメールでもなんでもいいけど教え合おうぜ。でもってそこから見たい作品とかおすすめしたい作品を教え合おうその方が楽だろ。でもってまた帳で交換しようぜ」

「なるほど!頭いいね駆君!」

 空は俺のことをキラキラした目で見てくるが

「いや、別にそんな大したことじゃないだろ」

「え?そうかな」

「まぁ、それはいいから交換しようぜ」

「それもそうだね」

 そうして俺たちはお互いの携帯の連絡先の交換をした。

「それじゃあ、空の方はまだ時間はあるか?」

「うん。まだ大丈夫だよ」

「そうか。それじゃあ、もう少し話していようぜ。それと君付けじゃなくて駆でいいぞ」

「えっ、あっ、うん。分かった駆。僕も話したいなって思ってたんだ!」

 そうして俺と空は話を再開してBL談義に花を咲かせる。
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