友人Aの思い込み~どうせ脇役なので脇役らしく過ごしていたらBLのキャラが絡んでくる~

いちごあん

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7.ヤンキー先輩の本性を知る

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雰囲気の変わったヤンキー先輩への対応方法を思いつけずに、私はただ自分へと伸びてくる手を眺めていた。

そして、その手の先に、茶色の物体を見た。
手の先――と言うのは、私の肩、白い制服のシャツの上。

蜂だ。

「ぎゃああああああああああああああ」

私が体をこわばらせて、反射的に女子力皆無な声で叫ぶとブーーンと蜂が羽根を擦る鳥肌が立つあの不快な音を大きくして飛び立った。

ヤンキー先輩が、自身が着ていたパーカーをさっと脱ぎ、振り回して蜂を追い払った。

叫びすぎて喉が若干痛い。虫には反射的に変な声を出させる能力があるとつくづく思う。冷や汗が止まらない。虫は苦手だ。年々苦手になっている気がするのは気のせいだろうか。

「最近やたら多いよな~。」
とパーカーを着直しながら先輩が話す。

「・・・あ・・・ありがとうございます。」
呼吸を整えながら、お礼を伝える。そして、自分なりに先輩の行動の辻褄つじつまが合ってきたようなので、正解かを確認してみようと思った。

「先輩、もしかして、昨日もなんか虫かなんか、私に付いてました?」
「あん?」
先輩は昨日の様子を思い出してかどうでもよさそうな顔をしている。いや、大事だから。それ。先輩の誤解を解くカギだから。
「最初に先輩が押さえていた女性にも、何かついていたんじゃないですか?」
なんだか、名探偵にでもなった気分で推理を披露する。
「そして、女性の人は先輩に襲われそうになっていると勘違いして、助けを求めた。そこに登場したのが私。その女性についていた何かが、私に付き――先輩は取ろうとしてくれていた。が、私も、不二君も先輩が私を襲っていると勘違いした。というところでしょうか。」

「あれな、蛙だったわ。」
「あ、蛙でしたか・・・」

「・・てことは、正解ですか?蛙がついていたから、取ろうとしてくれていたんですか?」
「まーね、そんなこと」

先輩は、私の先輩の無実を証明する華麗な推理を聞いても飄々ひょうひょうとしている。
「・・・勘違いして、すみませんでした。」
「うん?はは、いーよ、別に。」
と私の謝罪に対して先輩は軽く笑った。なぜか少し腹が立った。もっと怒ってくれたって良い。
「でも、言ってくれたらよかったじゃないですか!蛙がついてたんだよ、誤解すんなよって!あのままだったら、こっちは先輩のこと誤解したままだったじゃないですか!ていうか、なんなら昨日の女の人だって、不二君だってきっと誤解したままです。」
「だから、別にそれでいいって」
「よくないですよ!なんでですか!」
と言葉がなぜか、止まらない。
「いや~。俺、割とよくあーゆー事あるんだわ。なんか勘違いされやすい体質っていうの?でも、なんか俺が敵役になって、周りが仲良くなったり上手くいくこと多いからさ~。ま、いいかなって」

そう言われると妙に納得してしまった。仲間だと思った。私は友人Aなら、敵役Bのような先輩がいるのも当然なのかもしれない。さっき自分が先輩に対して、諦めているような返答に腹が立ったのは、まるで自分のようだと思ったからなのだろう。でも、私は友人Aだから、せいぜい失恋とか当て馬とかそんな程度で、明らかな敵意を向けられることはほとんどない。だけど、先輩は敵役B・・・思わぬ敵意をその身に受けて過ごしていると思うと何だか切なくなった。そして、それを受け入れている先輩も、尊敬すると同時に少し哀しく思えた。

「私は、友人Aですが・・・友人Aだからこそ、先輩の事信じます。」

先輩は「友人エーって何?俺たち友達になったの?」と笑った。
「なりましょう。先輩、名前を聞いても?」
「俺?九頭谷くずだに九頭谷くずだに 一也いちや。」
「九頭谷先輩、私は影山かげやまです。影山かげやま 友子ともこです。よろしくお願いします。」
「友子ちゃん。よろしく。ってか友達ってこんな感じでなるんだっけ。お見合いみたいだな?別に友達と言わずに付き合ってもいいんだけど?」
「そういうこと言うから、すぐ勘違いされるんです」
先輩のチャラい部分も垣間見えて、自業自得の部分もあるだろうな・・と思う。敵役との友人同盟・・早まったか・・・?


「影山さん?」
と突然、後ろの方から声がして、びくりと体が震えた。

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