異世界ハプニング。蛇と鬼と猫とエルフと超人と~

金弓 矢

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第二十三話  リーサルウェポン

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「ごめんなさい、レンカ」
「ソラリス。どうゆうことだ! 」

 レンカが『深紅のレンカ』にモードチェンジしていた。


「ちょっと落ち着いてレンカ! 順追って話をするから聞いて! 今回の鉱山の件、同様なケースが他にも結構あるらしいの。それは今調査中よ」

「それはこちらでも聞いている」

「今回の痛ましい事件ともいえる事案は龍国でも大きな反響を巻き起こしたわ。でもね……現実問題として犠牲になったのは亜人。現時点で龍国人の犠牲は上がっていない……」


 マーナが『やはりね』と小さく呟き、ソラリスの話は続く



「……それなのに同盟に賛同するのは些か道理に合わないのではのではないか。というのが古くからの重鎮らの意見なの。もちろん亜人国と犠牲者に対して哀悼の意を捧げるとして…………それで……必要だったのよ! そのボケた重鎮らをも納得せざるを得ない、とっておきの切り札がね……」

「ソラリス。何が言いたいんだ。バカなあたしにもわかりやすくいってくれ! 」

 レンカが逸る気持ちでソラリスに突っ掛かる。


『迅さんよ』ソラリスが申し訳なさそうな、消え入りそうな声で告げる。

「なんだって?!!! 」

 興奮してたからか何なのか、聞き取れなかったのかレンカは声を荒げる。

「ごめんなさいね、レンカ。お父様に言っちゃった。でもそれが必要だったの! ブラックザクローマと迅さんの存在。これが龍国の重い腰を動かしたのよ! 」


 暫し沈黙の後、レンカが笑みをこぼしながら叫ぶように笑い出す。

「クックックックッ、アッハハハハっ!! ……そうか。なんとなく読めてきたよ。行ってきたんだな? 」

 突然大声で笑い出すレンカに、迅ら全員が思いっきりドン引く。

「ええ。前にあなたにきいてた場所に私も行ってきたわ。……想像以上に……泣きそうになったわ。あんなに巨大だったとはね。……ブラックザクローマの亡骸は朽ちながらもまだ残ってた。その亡骸跡は大きな湖のようだったわ。あれはザクローマのなかでも異種……よくあれを倒すなんて……でね。その事実をぶつけたのよ」

「おおっしっ! 」

 良くやった。といわんばかりに拳を握るレンカ。

「騒然としていたわ。山脈麓とはいえ、まぎれもなくあそこは龍国領土。しかも地形上あのままの流れでいけば、龍国中心地にぶつかっていたのは紛れもない事実。本来なら国の大半が蹂躙されていたわ」

「よぉっしゃよっしゃよっしゃよっしゃぁっ!! 」

 レンカのソラリスに対する相づちは、もはや笑えてしまう。いや、状況理解してないチビッコらは、すでにお腹を抱えて笑っていた。

「国を救った大英雄。その英雄が動くとあらばザルバール龍王国の誇りをもって全力で支援も賛同もする……とのことだわ……もちろん、なかにはその強大な力を敵にしたくはないって者がいたかもしれないけど、同じこと。……いくわよ、レンカ! 龍国参戦よ!! 」

「うおっし!! やったぜ、ソラリス。迅さんやったよ。はははっ……ってソラリス。それならそうと早くいってよ。はじめ、ダメっぽい言い方してなかった? 」

「フフフっ。話を盛り上げるにはね。演出が必要なのよ! 何でもね……」

「はあ。やられたね。とにかくわかったよ。ありがとう。また連絡する! 」

「はーい! 」

 ソラリスがそう返事をすると球体の光は落ち着いた色に変わる。

 ずっと球体に向けて一人話しかけ、時には立ち上がり、時には叫んだり、拳を握ったり、跳ね上がったりとレンカの独壇場のようだった。


 興奮していたレンカも『通常モード』に戻り、落ち着く為にも飲み物を交えながら話し合いは再開し、マーナが口を開く。

「レンカ、色々大変だったわね。お疲れ様。今度は私の番ね。こちらがまとまるまで、まだ日を要するでしょうから、今のうちにすぐにでも発つわ。子供たちをお願い」

「了解よ。迅さんとチビちゃん達と待ってるね! 」

「あら。迅さんも一緒に行くわよ」

 その時なぜかマーナの顔が勝ち誇ったかのような笑みを浮かべる。

「どうゆうことだ! エルフの国へは入れないだろう!! 」

 ありゃーレンカさんまた戻っちゃったよ……

「どうゆうことって、そうゆうことよ。ふふっ……」

『パキィ』

 見るとレンカの持っていたグラスが割れている。
 あわわわっ。どーすんの今そうゆうことしてる時では……

「ふふふっ。冗談よ、レンカ! 迅さんに来て貰うのは確かだけど……私にも必要なのよ。いざという時の一手が。だってあの国よ。鎖国みたいなんだから! 」

「まったく冗談キツイわ! でもしょうがないわよね。実はあたしもとっくに使っちゃてるし。アハっ」

「なんのこと? 」

 不思議がるマーナに対し、笑みを迅に向けながら話をする。

「ごめんね迅さん、色々使っちゃって。……考えてみてもおかしいでしょ。いくらあたしが元名の知れた軍人だからって、この部屋貸し切れるわけないじゃん」

「ふふふっ。わかったわレンカそうゆうことね」

「ちょっとさっきからわかんないですよ」

「猊下にね。言っちゃったの。……迅さんがこの国のシンボルともいえる『断罪の女神様』の加護持ちということと、先日の『ご降臨と対話』のはなしもね。もう偉い騒ぎだったのよ、この教会内。アハっ」

 悪びれもせず言い放つレンカに、迅は苦笑いをしつつ悪い気はしなかった。むしろもっと言ってくれ!! という気持ちだった。

 それもそのはず、迅の人生にとって『いざという時の一手』や『とっておきの切り札』扱いなど、今までなかったことなのだから。

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