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第三十七話 いつだってそれは突然訪れる
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何気ない朝、迅達らの宿にハヤトとミサキが尋ねてくる。
「おはようございます。迅さん、今日何してますか? 」
「おはようっ 特になにもないけど……」
「ちょっと付き合ってもらえませんか」
ハヤトとミサキにつきあい向かった先はエボルート人がお世話になっている療養所。
あの戦い以降来たことのないはじめての場所だった。
「どうかしたのかい」
「ええ。ちょっと迅さんに話があるようです」
通されたフロアのような広いスペースで待っていると五人のエボルート人がやってくる。
ひとしきりあいさつやら今回のお礼をいわれたあと、年配の一人の男性が話し始める。
「実は私達は祖国へ帰るつもりでおります。帝国、そしてナマリの解放後からそれとなく連絡を送っていました。それで昨夜、やっと返事が返ってきまして……」
「ちょ。ちょっと待ってください。ごめん、話が見えないです。祖国って、あの帝国だった人国じゃないんですか」
「……はい。失礼しました。迅さまには正直にお話しますが、私達の先祖は海の向こうからやってきました」
「海……海果ての国ですかっ!? 」
「はい。そう呼ばれておるようですが。その国はこちらの世界と一切遮断しておりますゆえ。なぜか……私達は身をもってこの世界と関わる危険を知りました。……誰もみつけることは出来ませぬ。それに文明がこちらの世界よりも遥かに進んでおります。想像できないほどに」
「連絡って……テレパシーとかですか? 」
「はい。それで迅さまのお連れ様にキクリというお嬢様がいるとお聞きしましたので。彼女は私達の国の要人のご息女です。……二十日後、国から迎えに参りますので、私達全員とともにキクリ様もご一緒に。ということでございます」
「えっ。きゅ、急ですね……」
「はい。迎えにはキクリ様のお父上母上もいらっしゃるそうです」
えーーーっ。話が急展開すぎる。……でもそうか。キクリにとっては待ち望んでいたことか。
「は、話はわかりました。一旦戻って仲間とキクリに話します。いいですよね。……でもなんで俺呼ばれたんですか。キクリと一番保護者に近いのはレンカとマーナですけど」
「迅さまが異世界からこちらの世界にこられた話を伺いました。それに祖国が関わっているからです」
なーーーーー。そーーゆうことか。
はっきりとはわからないが、漠然とそうだったんだ、と理解する。高度な文明。エボルート人のチカラ。キクリの危機。女神のいっていたもうひとつの存在。
そこで繋がるか……とにかく戻って皆に話さないと……
迅らは急ぎ宿に戻り、一部始終を皆に話す。
皆一様に驚いた後は様々な反応を示した。
レンカはすぐにキクリを抱きしめ、自分のことのように喜び
「キクリっ。よかったね。よかったね。パパママに逢えるよ。よかったね」
「うん。……パパママ逢いたい……」
とキクリは珍しく顔にいっぱいの笑みを浮かべる。その顔をみてレンカはもう一度
「よかったぁ……ホントに」
と抱きしめていた。続くようにミクル、ラオも
「よかったね、キクちゃん。よかったー」
マーナも微笑みあふれる顔でよかった。と呟く。レンカが確認するように訊く。
「迅さん二十日後ね」
「はい。それまでには海までいってそこで待機になります」
「うん。わかった。……ちょっと出てくる……」
というとレンカはキクリの頭を撫でたあと部屋を出て行く。迅がどこ行くんですか? と訊こうとしたがマーナが目で制する。
……鈍感すぎるぞ俺……そうか……
キクリはミクルとラオ、そしてマーナからたくさんの声を掛けてもらっていた。迅も顔を緩め、キクリとあった出来事を振り返る。本当に凄いコだったな……
◇
中々戻らないレンカの様子をちょっと見に外に出ると、建物の片隅にレンカはいて泣いていた。声が出ないようにしているのか、体を震わせている。迅はしばらくの間、その後姿を見守る。
ころあいをみて声を掛ける。
「レンカさん、みんな心配しますよ」
「迅さん……あたし……キクリが親元帰れるの嬉しいんだよ。でも……」
「わかってますよ。レンカさんずっと一緒でしたもん。キクリもレンカさんのおかげでここまで来れたんじゃないすか。キクリが一番よくわかってますよ。……さあ、戻りましょ」
「うん……」
翌朝、迅達とハヤト、ミサキ、そしてエボルート人全員が待ち合わせをして海方面へと出発する。何故わざわざ海なのか。テレポート的なことはできないのか訊いたが、チカラはそんな便利に使えるものではないということと、先方の国が少しでもこちらの世界にチカラの痕跡を残したくないとのことだ。
確かに今回の件では、帝国が無くなったとはいえ、海果ての国全体から抗議、その他、戦争まで行かなくとも制裁的なことがあっても不思議ではない。
そこを、こちらの世界からの完全なる断絶。という決断で納めているのだろうか。
いずれにしてもこの世界、国、民族の問題に口を出すつもりは迅には毛頭なかった。
驚いたのは、ハヤトとミサキはこちらに残るのだそうだ。皆を見送った後、迅らと旅に同行したいと。確かに冗談半分で誘いはしたが、今は状況が変わってる。
それに今回出立を見送れば、海果ての国は永遠にこちらの世界に関与しない考えとのこと。つまるところキクリとも今生の別れになる。そう考えるとレンカまでいかなくとも寂しい。
永遠にもう逢えないというのは、本当に切ない……
「おはようございます。迅さん、今日何してますか? 」
「おはようっ 特になにもないけど……」
「ちょっと付き合ってもらえませんか」
ハヤトとミサキにつきあい向かった先はエボルート人がお世話になっている療養所。
あの戦い以降来たことのないはじめての場所だった。
「どうかしたのかい」
「ええ。ちょっと迅さんに話があるようです」
通されたフロアのような広いスペースで待っていると五人のエボルート人がやってくる。
ひとしきりあいさつやら今回のお礼をいわれたあと、年配の一人の男性が話し始める。
「実は私達は祖国へ帰るつもりでおります。帝国、そしてナマリの解放後からそれとなく連絡を送っていました。それで昨夜、やっと返事が返ってきまして……」
「ちょ。ちょっと待ってください。ごめん、話が見えないです。祖国って、あの帝国だった人国じゃないんですか」
「……はい。失礼しました。迅さまには正直にお話しますが、私達の先祖は海の向こうからやってきました」
「海……海果ての国ですかっ!? 」
「はい。そう呼ばれておるようですが。その国はこちらの世界と一切遮断しておりますゆえ。なぜか……私達は身をもってこの世界と関わる危険を知りました。……誰もみつけることは出来ませぬ。それに文明がこちらの世界よりも遥かに進んでおります。想像できないほどに」
「連絡って……テレパシーとかですか? 」
「はい。それで迅さまのお連れ様にキクリというお嬢様がいるとお聞きしましたので。彼女は私達の国の要人のご息女です。……二十日後、国から迎えに参りますので、私達全員とともにキクリ様もご一緒に。ということでございます」
「えっ。きゅ、急ですね……」
「はい。迎えにはキクリ様のお父上母上もいらっしゃるそうです」
えーーーっ。話が急展開すぎる。……でもそうか。キクリにとっては待ち望んでいたことか。
「は、話はわかりました。一旦戻って仲間とキクリに話します。いいですよね。……でもなんで俺呼ばれたんですか。キクリと一番保護者に近いのはレンカとマーナですけど」
「迅さまが異世界からこちらの世界にこられた話を伺いました。それに祖国が関わっているからです」
なーーーーー。そーーゆうことか。
はっきりとはわからないが、漠然とそうだったんだ、と理解する。高度な文明。エボルート人のチカラ。キクリの危機。女神のいっていたもうひとつの存在。
そこで繋がるか……とにかく戻って皆に話さないと……
迅らは急ぎ宿に戻り、一部始終を皆に話す。
皆一様に驚いた後は様々な反応を示した。
レンカはすぐにキクリを抱きしめ、自分のことのように喜び
「キクリっ。よかったね。よかったね。パパママに逢えるよ。よかったね」
「うん。……パパママ逢いたい……」
とキクリは珍しく顔にいっぱいの笑みを浮かべる。その顔をみてレンカはもう一度
「よかったぁ……ホントに」
と抱きしめていた。続くようにミクル、ラオも
「よかったね、キクちゃん。よかったー」
マーナも微笑みあふれる顔でよかった。と呟く。レンカが確認するように訊く。
「迅さん二十日後ね」
「はい。それまでには海までいってそこで待機になります」
「うん。わかった。……ちょっと出てくる……」
というとレンカはキクリの頭を撫でたあと部屋を出て行く。迅がどこ行くんですか? と訊こうとしたがマーナが目で制する。
……鈍感すぎるぞ俺……そうか……
キクリはミクルとラオ、そしてマーナからたくさんの声を掛けてもらっていた。迅も顔を緩め、キクリとあった出来事を振り返る。本当に凄いコだったな……
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中々戻らないレンカの様子をちょっと見に外に出ると、建物の片隅にレンカはいて泣いていた。声が出ないようにしているのか、体を震わせている。迅はしばらくの間、その後姿を見守る。
ころあいをみて声を掛ける。
「レンカさん、みんな心配しますよ」
「迅さん……あたし……キクリが親元帰れるの嬉しいんだよ。でも……」
「わかってますよ。レンカさんずっと一緒でしたもん。キクリもレンカさんのおかげでここまで来れたんじゃないすか。キクリが一番よくわかってますよ。……さあ、戻りましょ」
「うん……」
翌朝、迅達とハヤト、ミサキ、そしてエボルート人全員が待ち合わせをして海方面へと出発する。何故わざわざ海なのか。テレポート的なことはできないのか訊いたが、チカラはそんな便利に使えるものではないということと、先方の国が少しでもこちらの世界にチカラの痕跡を残したくないとのことだ。
確かに今回の件では、帝国が無くなったとはいえ、海果ての国全体から抗議、その他、戦争まで行かなくとも制裁的なことがあっても不思議ではない。
そこを、こちらの世界からの完全なる断絶。という決断で納めているのだろうか。
いずれにしてもこの世界、国、民族の問題に口を出すつもりは迅には毛頭なかった。
驚いたのは、ハヤトとミサキはこちらに残るのだそうだ。皆を見送った後、迅らと旅に同行したいと。確かに冗談半分で誘いはしたが、今は状況が変わってる。
それに今回出立を見送れば、海果ての国は永遠にこちらの世界に関与しない考えとのこと。つまるところキクリとも今生の別れになる。そう考えるとレンカまでいかなくとも寂しい。
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