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第二章 辺境の村~7歳~
94 ブルゴリベア戦
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熊のように後ろ足で立ち上がったブルゴリベア。馬上から見上げる高さは、ギルダスさん二人分を軽く超える。
巨躯の魔物の頭には牛の角、はち切れんばかりに盛り上がった筋肉に黒い毛皮、丸太のような太い四つ足には鋭く尖った黒い爪がある。
牛とゴリラと熊なのか?
ブルゴリベア、どんな欲張りセットだ。
そうだ、ハンバーガーセット。このタイミングでレンの誕生日プレゼントを思いついた。
「ウホォォォーッ!」
「あああー」
うるさい。
牛の頭で鳴き声はゴリラっぽいとか。
高いところにある頭にツッコミを入れたい。
魔物が咆哮を繰り返すのは、威嚇によって相手を怖じ気づかせるためだろうか。二歩三歩と後ろへ下がろうとするブライアンの手綱を引いて、その場に留めて落ち着かせる。
「大丈夫だよブライアン、僕が必ず守るから」
「ブルルル……」
「ウホォォォーッ!」
「長方形で、光壁!」
長さ十メートル弱の光壁でブルゴリベアの頭を叩く。ただし残念ながら、座標を動かしながら光壁をぶつけると耐久性が著しく劣る。
相手にダメージを与えるほどの強打は、こちらも光壁の魔力をごっそり失ってしまうので加減が必要なんだ。もともと受けの魔法であって、攻めに使うには燃費が悪すぎるんだよね。
「ウホォォォーッ!」
ぺちっ!
「ウホォォォーッ!」
ぺちっ!
魔熊が叫ぶ度にしつこく頭にツッコんでいると、ギロリと血走った双眸で見下ろしてきた。
「ウホォォォーッ!!」
「あああー」
うるさい。
大変ご立腹のようだ。
「ブライアン来るぞ!」
「ヒヒィーン!」
ブルゴリベアは鋭爪光る右手を振り下ろそうと大きく後ろへ引く。その動きに合わせてブライアンを前進させ、魔熊の肘の内側に光壁を打ち当て初動で止める。
「ウホッ!?」
「よし、上手くできた」
後の先を取るなら出鼻を挫け。
ギルダスさんの教えのおかげだ。
これなら魔力の消費を抑えつつ、パワー系の魔物でも余裕を持って相手取れる。
「ウホォォォー……ウホッ!?」
「ウホォォォー……ウホッ!?」
右に左に両手で交互に繰り出そうとする攻撃の機先を制する。頭に血が上ったブルゴリベアは力任せの単調な攻撃を繰り返すだけで、こちらの思う壺だ。コツさえ掴めば、大振りの攻撃はもう怖くないな。
「ブライアンも、もう平気だろう?」
「ブルル、ブルル」
機嫌良く頭を上下に振るブライアン。
成功体験は自信に繋がるからね。
僕も度胸がついてきた。もちろん光魔法の研究を頑張ってきたからでもある。
光壁を覚えてまず透過について調べた。
次に四角形の大きさや、壁の形を変えた。
最近取り組んできたのは、光壁を展開したまま自在に座標を動かすこと。光壁を操るのに体の動きはいらないんだけど、イメージしやすいからまだまだ手を動かさないと精度が落ちる。
「さて、みんなはどうだろう」
ブルゴリベアの相手をする余裕が出てきたので、視界の端でみんなの様子を窺う。
フィーネたちのチームは、前衛のアイラさんが盾役をしながら隙を見て剣で攻撃。ユカさんとフィーネが素早い動きで撹乱しつつ、それぞれ弓矢と風魔法で攻撃を重ねているようだ。
ただ三人の攻撃力に対して、強靭な鋼の肉体を持つブルゴリベアの弱点は顔ぐらいしかないから、倒し切るには決め手に欠ける様子。
まだ時間が掛かりそうだ。
一方、きこり衆は丸太で戦ってた。
突然の襲撃で慌てて飛び出してきたのか。ちょうどサブさんたちが斧を届けるところだからもう大丈夫だろう。人数が多いとはいえ、脳筋パワータイプの相手と正面からぶつかり合える力はすごいと思う。
マッスルパワーは頼りになる。
誰も怪我してないといいけど。
「ブルルル!」
「ん? どうしたブライアン?」
ブライアンの声に意識を正面に戻すと、ブルゴリベアは爪による攻撃を諦めたようだ。
四つ足を地面につけてグッと体を沈めると、後方へ大きく飛び退いた。
「このまま魔の森へ帰ってくれないかな」
「ブルルル……」
「ウホォォォーッ!!!」
帰る気はなさそうだ。
地面に太い四つ足をつけて、クラウチングスタートのような体勢になった。さらに鼻息荒く、鋭い双角が生えた頭を低く下げる。
明らかに突進してくる雰囲気だ!
「ブライアン、前に出て距離を詰めるんだ!」
「ヒヒィーン!」
とっさに開いた距離を詰める。光壁を伸ばしてブルゴリベアの低い頭の下へ差し込むと、魔熊は同時に咆哮を上げて突進してきた。
「ウホォォォーッ!」
ブルゴリベアの体が光壁の上に乗った瞬間、湾曲させた光壁の端を持ち上げて、突進のベクトルを前方から上方、そして後方へ変える。
鉄棒の逆上がりと同じだ。
巨躯の魔熊は光壁の坂を駆け上がり、自らの勢いで空中へ飛び出すと、そのまま後方に二回転半して頭から地面に落ちてきた。
頭の双角が地面に突き刺さり、ドォーンッ! と両膝を地面に打ち付ける。大きな地響きを立てて辺りに土煙が舞い上がった。
「よっし! 上手くいったー!」
「ブルルル」
アクロバティックな土下座になって、膝と首がめちゃくちゃ痛そう。ん? 失神してる?
「ハルト様ー!」
「おーい! 助けに来たぞー!」
舞い上がった土煙が霧散していく中、レンとレダンの声が聞こえた。振り返れば、レンとレダンとミユカが馬で走ってくる。
「ああー、三人とも来ちゃったのか。ミユカとレダンはユカさんに怒られるぞ」
いや、下手をすれば僕のせいになるかも。
うーん、どうしよう……あ、そうだ!
ここはレダンに活躍してもらおう。
巨躯の魔物の頭には牛の角、はち切れんばかりに盛り上がった筋肉に黒い毛皮、丸太のような太い四つ足には鋭く尖った黒い爪がある。
牛とゴリラと熊なのか?
ブルゴリベア、どんな欲張りセットだ。
そうだ、ハンバーガーセット。このタイミングでレンの誕生日プレゼントを思いついた。
「ウホォォォーッ!」
「あああー」
うるさい。
牛の頭で鳴き声はゴリラっぽいとか。
高いところにある頭にツッコミを入れたい。
魔物が咆哮を繰り返すのは、威嚇によって相手を怖じ気づかせるためだろうか。二歩三歩と後ろへ下がろうとするブライアンの手綱を引いて、その場に留めて落ち着かせる。
「大丈夫だよブライアン、僕が必ず守るから」
「ブルルル……」
「ウホォォォーッ!」
「長方形で、光壁!」
長さ十メートル弱の光壁でブルゴリベアの頭を叩く。ただし残念ながら、座標を動かしながら光壁をぶつけると耐久性が著しく劣る。
相手にダメージを与えるほどの強打は、こちらも光壁の魔力をごっそり失ってしまうので加減が必要なんだ。もともと受けの魔法であって、攻めに使うには燃費が悪すぎるんだよね。
「ウホォォォーッ!」
ぺちっ!
「ウホォォォーッ!」
ぺちっ!
魔熊が叫ぶ度にしつこく頭にツッコんでいると、ギロリと血走った双眸で見下ろしてきた。
「ウホォォォーッ!!」
「あああー」
うるさい。
大変ご立腹のようだ。
「ブライアン来るぞ!」
「ヒヒィーン!」
ブルゴリベアは鋭爪光る右手を振り下ろそうと大きく後ろへ引く。その動きに合わせてブライアンを前進させ、魔熊の肘の内側に光壁を打ち当て初動で止める。
「ウホッ!?」
「よし、上手くできた」
後の先を取るなら出鼻を挫け。
ギルダスさんの教えのおかげだ。
これなら魔力の消費を抑えつつ、パワー系の魔物でも余裕を持って相手取れる。
「ウホォォォー……ウホッ!?」
「ウホォォォー……ウホッ!?」
右に左に両手で交互に繰り出そうとする攻撃の機先を制する。頭に血が上ったブルゴリベアは力任せの単調な攻撃を繰り返すだけで、こちらの思う壺だ。コツさえ掴めば、大振りの攻撃はもう怖くないな。
「ブライアンも、もう平気だろう?」
「ブルル、ブルル」
機嫌良く頭を上下に振るブライアン。
成功体験は自信に繋がるからね。
僕も度胸がついてきた。もちろん光魔法の研究を頑張ってきたからでもある。
光壁を覚えてまず透過について調べた。
次に四角形の大きさや、壁の形を変えた。
最近取り組んできたのは、光壁を展開したまま自在に座標を動かすこと。光壁を操るのに体の動きはいらないんだけど、イメージしやすいからまだまだ手を動かさないと精度が落ちる。
「さて、みんなはどうだろう」
ブルゴリベアの相手をする余裕が出てきたので、視界の端でみんなの様子を窺う。
フィーネたちのチームは、前衛のアイラさんが盾役をしながら隙を見て剣で攻撃。ユカさんとフィーネが素早い動きで撹乱しつつ、それぞれ弓矢と風魔法で攻撃を重ねているようだ。
ただ三人の攻撃力に対して、強靭な鋼の肉体を持つブルゴリベアの弱点は顔ぐらいしかないから、倒し切るには決め手に欠ける様子。
まだ時間が掛かりそうだ。
一方、きこり衆は丸太で戦ってた。
突然の襲撃で慌てて飛び出してきたのか。ちょうどサブさんたちが斧を届けるところだからもう大丈夫だろう。人数が多いとはいえ、脳筋パワータイプの相手と正面からぶつかり合える力はすごいと思う。
マッスルパワーは頼りになる。
誰も怪我してないといいけど。
「ブルルル!」
「ん? どうしたブライアン?」
ブライアンの声に意識を正面に戻すと、ブルゴリベアは爪による攻撃を諦めたようだ。
四つ足を地面につけてグッと体を沈めると、後方へ大きく飛び退いた。
「このまま魔の森へ帰ってくれないかな」
「ブルルル……」
「ウホォォォーッ!!!」
帰る気はなさそうだ。
地面に太い四つ足をつけて、クラウチングスタートのような体勢になった。さらに鼻息荒く、鋭い双角が生えた頭を低く下げる。
明らかに突進してくる雰囲気だ!
「ブライアン、前に出て距離を詰めるんだ!」
「ヒヒィーン!」
とっさに開いた距離を詰める。光壁を伸ばしてブルゴリベアの低い頭の下へ差し込むと、魔熊は同時に咆哮を上げて突進してきた。
「ウホォォォーッ!」
ブルゴリベアの体が光壁の上に乗った瞬間、湾曲させた光壁の端を持ち上げて、突進のベクトルを前方から上方、そして後方へ変える。
鉄棒の逆上がりと同じだ。
巨躯の魔熊は光壁の坂を駆け上がり、自らの勢いで空中へ飛び出すと、そのまま後方に二回転半して頭から地面に落ちてきた。
頭の双角が地面に突き刺さり、ドォーンッ! と両膝を地面に打ち付ける。大きな地響きを立てて辺りに土煙が舞い上がった。
「よっし! 上手くいったー!」
「ブルルル」
アクロバティックな土下座になって、膝と首がめちゃくちゃ痛そう。ん? 失神してる?
「ハルト様ー!」
「おーい! 助けに来たぞー!」
舞い上がった土煙が霧散していく中、レンとレダンの声が聞こえた。振り返れば、レンとレダンとミユカが馬で走ってくる。
「ああー、三人とも来ちゃったのか。ミユカとレダンはユカさんに怒られるぞ」
いや、下手をすれば僕のせいになるかも。
うーん、どうしよう……あ、そうだ!
ここはレダンに活躍してもらおう。
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