103 / 267
第二章
第百二話
しおりを挟む
水樹を抱き締めたままでいると、水樹の鞄が振動した。そして聖也は我に返り水樹を自分から離した。
「お、大きくてきれいなお家ですね。」
「そっか?こっちがリビング。入んなよ。」
聖也はリビングのソファーに腰掛け、それから水樹の方はジャケットを脱いで畳んで床に置き、聖也の座っているソファーには座らずテーブルを挟んだ対面の床に正座した。
「家族の皆さんに、お土産を持ってきました。」
「そんないいのに。でもサンキュ。」
「それから一緒に食べようと思ってここの駅のパン屋さんで色々買って来たんです。」
無駄によく喋る水樹は荷物をテーブルに並べ出した。
「お客様に床は変だよね。水樹おいで。」
聖也が右腕を広げて水樹を招き入れるそぶりをすると、水樹はその行為を素直に受け入れ聖也の横にやってきた。
今日の水樹は聖也の予想と反する動きをする。でもまだ二人の体は遠慮がちに距離を保っていて、そして案の定の沈黙が起こった。
「さっき電話来てたろ?」
「電話ではないと思います。また後で確認しておきますね。」
「急用だと駄目じゃん。今返信しなよ。」
「そうですか。わかりました。」
水樹は携帯電話の操作をし終えると、自分から聖也の横に座った。
「誰だったの?なんて?」
「あ、同じクラスの友達です。旅行に行っていたみたいで、お土産を渡したいって書いてありました。」
「んでなんて返したの?」
「今日はデートだから遊べないよって・・・。」
「へえ。俺達の事って友達に隠してないんだ。」
「えっ?どうしてですか?」
「あ、いや、別に・・・。それよりなんか食う?」
「いえ、まだお腹が減っていなくて・・・。た、退屈なら何かして遊びますか?トランプとか?」
「それしないのわかってて言ってるでしょ。なあ、さっきの続きがしたい。もう一回触っていい・・・?」
「あ・・・はい・・・。」
聖也は水樹の方を向くと水樹に近寄り、そしてもう一度抱き寄せ自分の胸にうずめて強く思った。
水樹が好きだよ、心から。でもさ、好き過ぎるからこそ、だからどうしても聞かなきゃいけない事がある。聖也は水樹の言う、ちゃんとをやっておきたかった。ただ、聖也自身もどちらなのかはわかっていない。
「あの電話くれた日、あの日勇利となんかあったんだろ・・・?」
ビクッと水樹の肩が固まった。
「なんかって・・・なんですか?」
低くて抑揚の全くない声で水樹は答えた。
「お、大きくてきれいなお家ですね。」
「そっか?こっちがリビング。入んなよ。」
聖也はリビングのソファーに腰掛け、それから水樹の方はジャケットを脱いで畳んで床に置き、聖也の座っているソファーには座らずテーブルを挟んだ対面の床に正座した。
「家族の皆さんに、お土産を持ってきました。」
「そんないいのに。でもサンキュ。」
「それから一緒に食べようと思ってここの駅のパン屋さんで色々買って来たんです。」
無駄によく喋る水樹は荷物をテーブルに並べ出した。
「お客様に床は変だよね。水樹おいで。」
聖也が右腕を広げて水樹を招き入れるそぶりをすると、水樹はその行為を素直に受け入れ聖也の横にやってきた。
今日の水樹は聖也の予想と反する動きをする。でもまだ二人の体は遠慮がちに距離を保っていて、そして案の定の沈黙が起こった。
「さっき電話来てたろ?」
「電話ではないと思います。また後で確認しておきますね。」
「急用だと駄目じゃん。今返信しなよ。」
「そうですか。わかりました。」
水樹は携帯電話の操作をし終えると、自分から聖也の横に座った。
「誰だったの?なんて?」
「あ、同じクラスの友達です。旅行に行っていたみたいで、お土産を渡したいって書いてありました。」
「んでなんて返したの?」
「今日はデートだから遊べないよって・・・。」
「へえ。俺達の事って友達に隠してないんだ。」
「えっ?どうしてですか?」
「あ、いや、別に・・・。それよりなんか食う?」
「いえ、まだお腹が減っていなくて・・・。た、退屈なら何かして遊びますか?トランプとか?」
「それしないのわかってて言ってるでしょ。なあ、さっきの続きがしたい。もう一回触っていい・・・?」
「あ・・・はい・・・。」
聖也は水樹の方を向くと水樹に近寄り、そしてもう一度抱き寄せ自分の胸にうずめて強く思った。
水樹が好きだよ、心から。でもさ、好き過ぎるからこそ、だからどうしても聞かなきゃいけない事がある。聖也は水樹の言う、ちゃんとをやっておきたかった。ただ、聖也自身もどちらなのかはわかっていない。
「あの電話くれた日、あの日勇利となんかあったんだろ・・・?」
ビクッと水樹の肩が固まった。
「なんかって・・・なんですか?」
低くて抑揚の全くない声で水樹は答えた。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』
鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、
仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。
厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議――
最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。
だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、
結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。
そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、
次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。
同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。
数々の試練が二人を襲うが――
蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、
結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。
そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、
秘書と社長の関係を静かに越えていく。
「これからの人生も、そばで支えてほしい。」
それは、彼が初めて見せた弱さであり、
結衣だけに向けた真剣な想いだった。
秘書として。
一人の女性として。
結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。
仕事も恋も全力で駆け抜ける、
“冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
【完結】年収三百万円台のアラサー社畜と総資産三億円以上の仮想通貨「億り人」JKが湾岸タワーマンションで同棲したら
瀬々良木 清
ライト文芸
主人公・宮本剛は、都内で働くごく普通の営業系サラリーマン。いわゆる社畜。
タワーマンションの聖地・豊洲にあるオフィスへ通勤しながらも、自分の給料では絶対に買えない高級マンションたちを見上げながら、夢のない毎日を送っていた。
しかしある日、会社の近所で苦しそうにうずくまる女子高生・常磐理瀬と出会う。理瀬は女子高生ながら仮想通貨への投資で『億り人』となった天才少女だった。
剛の何百倍もの資産を持ち、しかし心はまだ未完成な女子高生である理瀬と、日に日に心が枯れてゆくと感じるアラサー社畜剛が織りなす、ちぐはぐなラブコメディ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる