おもいでにかわるまで

名波美奈

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第三章

第百三十四話

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昼休みが終わり、5年生の勇利が体育の授業を受ける為にグランドに向かっていると、明人らしくない風貌の明人と遭遇し目を疑った。

明人はここ最近では勇利の記憶に無い柔らかい表情をしていた。しかもリラックスをした様子で一緒に歩いているつれあいと会話をし、更には脇にグローブまで抱えて不可思議な部分しか見当たらない。

「おっす明人。何、今から一足先に球技大会の練習?」

「はは。大体そんなとこ。」

明人は爽やか度をアップさせて笑いながら去っていき、そして勇利はその明人の振る舞いの全てが信じられない。

「さっきのあれ、長谷川君なんかいつもと雰囲気違くない?」

「思った思った!ちょっとポイント高いよね今の。」

女子は目ざとく、そしてこの世の男と女の単細胞さに勇利はうんざりした。ただ、勇利も明人の素顔が隠れイケメンだと堀田の家で発見し終わっているのだった。

高専では留年すると結局そのまま退学して行く学生が多く、その為勇利達元同級生は明人を心底心配していた。だから皆、明人が無事に生存している姿を見ると嬉しかったし、なんなら今の方が楽しそうに見えたりもした。

自分達のクラスに無くて、今の明人のクラスにあるものが何かあるのだろうか・・・?と勇利は思った。

勇利が再び歩き出すと、またグローブを持った団体とすれ違い、そして最後は水樹と会った。そしてその水樹も不可解にグローブを持っていて、当然小走りに勇利の方にやって来たのだった。

水樹の顔は汗が光り、年頃の女の子が汗をかいている姿はおかしいけれどかわいくもある。勇利にとってはもちろん水樹はかわいい後輩で、だから、水樹が毎度色々構ってくる事は、そこまで迷惑でもなかった。

そして勇利は本日のそれに身構えた。

「あ、勇利さんこんにちはっ。今日は結構暑いですね。ではまたっ。」

なんとあの水樹がそのまま走り去ったのだ。

「今日はおしるこちゃんさっぱりしてんね。いつもの ‘勇利さーん。’ っていうトロけそうな甘い声ないじゃん。」

「とうとう親離れじゃない。残念だったな勇利ー。ははは。」

いつもは少し重いくらいに自分にひっついてくる水樹なのに、今日は断然淡白に感じた。
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