おもいでにかわるまで

名波美奈

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第四章

第二百五十一話

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「それにしてもさあ、桜咲きかけの超良い時期の日曜日にこんな凄い人数集めて、さすが堀田だよな。」

「ほんとそれ。なんか俺も結婚したくなってきたわ。でも勇利はもう子供までいるんだよね。お前完璧過ぎて嫌いだ。」

「あはは。俺持ってる男だからねー。」

「うわあ。リア充辛っ。」

「奥さんとどこで知り合ったの?」

「5年の夏休みにさあ、北海道でバイトしたんだよね。その時に出会ったの。驚いたのはさ、奥さんて俺が合格した大学通っててしかも年齢も同じで、更には後一つ超偶然な事があって。」

「それってもうひっつくしかないじゃん。」

「だろ?偶然が3つ重なると・・・それは運命だよね。」

「あつっ!」

友人達の冷やかしの中で明人だけは生真面目な顔をしていた。

「いいなあ。ちょっと古臭いけど、なんかわかるそれ。私もさあ、来月で29になるの。普段はあまり意識しないけど、こんな場所に来ると結婚したくなっちゃうね。」

「俺は早生まれだから28になったばっか。明人は?」

「俺の誕生日は8月だから、まもなく29だよ。」

「へえー。8月のいつなの?3日だったりして。」

「え?なんで?3日だよ。」

「まじで?関係ないかもしれないけどさあ、私達の卒業式の日に女の子用の指輪拾ったんだよね。そこにね、8月3日の刻印があってさ。だからなんとなく聞いてみただけ。」

「えっ・・・。」

「あの日卒業式でバタバタしたじゃん。届けようとして着物用の鞄に入れたんだけどそのまま卒業しちゃって。それから卒業旅行やらなんやらで忘れてた。」

明人の視線が揺れ動く。

「お前最低だなあ。」

「一番下の妹がね、大学の卒業式で鞄使うからって言って、その時鞄から見つけたの。それで今日皆集まるから聞いてみようと思って。」

「どうだった?」

「私達のではないんだよね。」

「うん。男子達はなんか知ってる?ほらこれだよ。」

明人の頭がズキッとした。廊下でぶつかって、食堂で代わりにお茶をかぶって、同じクラスになって、一緒にソフトボールをして、花火をしてキスをして、旅行に行って初めて抱き合って、それからぐったりしながらその指輪を買ってずっと一緒だよってささやいた。そして気分屋で愛想もなくて滅茶苦茶だった明人を身体全部で好きだと言いい、でもその愛を自分の2本の腕で置いてきた。
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