ゴールドレイン

小夏 つきひ

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3つの星

3つの星⑬

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現地各所の下見が終わり待ち合わせの噴水広場へ到着すると、依頼者らしき家族がこちらへ会釈をしながら向かって来るのが見えた。
拙い足取りで一番前を歩く小さな背中を見守りながら母親は晴喜達に声をかけた。
「おはようございます、今日は1日よろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします」
晴喜は母親に向かって言うと父親の方を見て会釈をした。
「本日撮影をさせていただく森河です」
「よろしくお願いします」
父親は丸眼鏡を指で鼻の上の方に戻した。朗らかな笑みを見せて優しそうな印象だ。
「あの、原です。アシスタントで入らせていただきますのでよろしくお願いします」
両親は拓人の緊張した様子を見て笑顔を向けた。
「まだ下の子がオムツなので間で時々抜けると思うんですけど、すみません」
「大丈夫です。何でも言ってください、原に目を配るよう言ってありますので」
「ありがとうございます」
拓人は子供達の顔をそれぞれ見た。長男は意外にも浮かない顔をしている。晴喜から子供の名前について、下の女の子がつむぎ、長男がしゅうと聞いている。
「では初めにそこの噴水のところから撮影させていただきますね」
「はい」
先に噴水の前で撮影をするのは普段賑わう場所が午前なら人が少なく撮影しやすいからだ。
元気いっぱいの紡はカメラを向けられることも気に留めず声をあげてはしゃいだ。その無邪気さに両親は頬を緩ませて紡を抱き寄せた。

陽が燦燦と降り注ぎ、気温が徐々に下がりつつある11月初めでもちょうどいい日和だ。
黄色く染まった銀杏の木々が並んだ場所ではその季節特有の彩りが目に鮮やかで、ここでも紡は落ち葉を踏んだり拾ったりして楽しそうに笑った。
自分があやさなければならないと心配していた拓人もこの点は安心できたのだが、気がかりなのは柊の様子だった。どこか元気がなく、距離があるように見える。
大人は皆気付いてはいるものの、声を掛けるのは逆効果のような雰囲気がある。母親は周りに気を使って長男に言った。
「柊、まだ朝のこと怒ってるの?」
柊は視線を落としたまま小さな声で言った。
「怒ったのはママだよ」
母親は眉を顰めて言葉を返そうとしたが躊躇ってから止めた。
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