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【2‐3】天秤
告げる勇気
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レストの街で宿を取った。一同は天然の温泉を満喫し、食事を楽しんだ。目的は近隣の火山へ探索に向かうのだが、それは明日の予定になっている。
皆ジャージのような部屋着だが、中でも板について似合うのがローズ。スタイルがいいので、何でも似合ってしまう。
そして、ローズは誰よりもご機嫌だった。
「フーム、精力がつきそうなご飯でしたネ? おいしかったデスケド」
爪楊枝を加えながら先頭を歩いた。
ローズが食事に関して指摘をした。宿を取った際に食事つきとは聞いていたが、ワニの肉や蛇の肉が出されるとは思いもしなかった。もしかしたら、この街は思っている以上に逞しく生き長らえているのかもしれない。味は鶏肉に近かったし、ワニ肉スープは味に深みがあって不思議なものだった。
夕方に遭遇したものを口にするとは、誰が想像しただろう。
男女それぞれの部屋に戻って、時間を持て余して休む。そんな流れをサキが率先して崩しにかかった。
「ね、姉さん! 僕と卓球しませんか!?」
武者震いするように両拳を握ってキッドの前に立ち塞がった。キッドの横ではミティアが目を真ん丸くしている。
「はぁ? 卓球?」
「たっきゅー……?」
二人ともしかめた表情だ。これは乗り気ではないのかと思った。
サキがジェフリーに目で謝っていた。彼の『時間を作る作戦』が失敗に終わりそうだ。
一部では気まずい展開だった。だが、その話に乗ろうとしている者がいた。
「おぉ、楽しそうデス。ワタシもやりたいデス!!」
なぜかノリノリでローズが話に乗った。次いで竜次がニッコリとしながら腕をまくっている。
「いいですねぇ、楽しそうなので私も混ぜてくださいな!」
失敗に終わるかと思ったが、大事になった。乗り気ではなかったキッドが場の空気に圧巻されている。
「た、卓球って……何?」
話に乗らないのかと思ったが、そもそも卓球を知らないようだ。
竜次が笑顔で誘う。こういうところが子どもっぽい。
「おっ、これは……何事も経験ですよ。スマッシュなんて剣を振るのに似てますから。もしかしたら好きになるかも?」
そうと決まったら、皆で卓球だ。
キッドはサキに手を掴まれ、貸し広場に引っ張られて行った。竜次とローズがノリノリであとを追う。
残ったのはコーディだった。ミティアとジェフリーが行かないのを見て、そそくさと恵子を摘まみ上げる。
「わ、私まだ背が小さいから届かないし、原稿やろーっと……」
空気を読んだのか気まずくなったのか、コーディは部屋に走って行った。
ものすごく不自然だったかもしれないが、サキの作戦はうまくいったらしい。
だが、ミティアはこの状況をよくわかっていないようだ。
「ジェフリーは、たっきゅーしないの?」
ミティアも卓球を知らないようだ。田舎の村で暮らしていたら、そうかもしれない。知らないことが多いのは、すでに把握している。
ジェフリーは少し意地悪な言い方でミティアの意思を確認した。
「俺と話すのが嫌なら、今から卓球しに行くか?」
ミティアはやっとこの意味を理解した。ジェフリー腕に自分の腕を絡める。小さく首を振って上目遣いになった。
このミティアは反則的に可愛い。この場で理性が崩壊しそうなくらいだ。ジェフリーは戸惑いながら場所を探した。
「どこで話すか?」
「お部屋?」
「……」
部屋着で外に出るのは寒いだろうし、ロビーではゆっくりできない。部屋に連れ込むのは正直どうかと思う。
ゆっくりできそうな場所が少ない。よって男性部屋の前で立ち話になった。少し不満そうだ。
まずはジェフリーから言う。
「勘違いしていないか心配なんだが、俺はミティアしか好きじゃないからな?」
ミティアの不満そうな顔は、一瞬で驚きに変わった。
恥ずかしいが、言わないとわかってもらえないかもしれない。ジェフリーは自分の気持ちを打ち明けた。
「他の奴の冗談を真に受けないでほしい。俺はこんな奴だし、嫌われても仕方ないとは思っている。自覚はしてる……顔は悪いし、別に性格がいいわけじゃない」
ジェフリーが自身を卑下する。人に好かれる要素がないと思ったからだ。
ミティアはじっと見上げていた。この間がどうやったら詰まるだろうか。ミティアも自分の不安を打ち明けた。
「わたし、いつかジェフリーに嫌われちゃうのかなって思ってた」
「嫌いになる理由が見当たらない。今のところ……」
「い、今のところ……?」
「そういう冗談が見抜けるようになるといいな」
ミティアは、耳まで真っ赤にしながら頷いた。可愛いが、少し間に受けすぎなのが困る。それだけ彼女は真剣なのかもしれない。
ジェフリーは武者震いをしている。顔を真っ赤にして拳を震わせていた。
「この際だから言いたいこと、はっきり言ってすっきりしようと思う」
ミティアはビクッと身を縮ませる。これだけ切り出すと、別れ話でもするのかと誤解を招きそうだ。
「俺は不器用だから、ミティアに嫌われたら次はないと思っている。それだけ俺も真剣だってわかってほしい。だから、あえて聞くけど……」
今度はジェフリーがびくびくしている。聞いておかないと、この先苦労しそうだ。
「俺の嫌いなところを言ってほしい。ここを直してもらいたいとか、もっとこうしてほしいとか……」
「んっ!?」
急に受け身になり、ミティアは驚いて変な声を上げそうになった。口を押さえながら目を見開いている。目が合ったまま、彼女だけが何度も瞬きをして気まずい空気になってしまった。
ジェフリーは謎の攻防にもどかしさを隠せない。どうしても聞き出したい。
「えっと……話、聞いてたか?」
「えっ、あ、う、うん……?」
多分聞いていない。そんな反応ですら可愛いが、これはちゃんと答えてもらいたい。
「俺のどこが嫌いかって聞いてるんだけど?」
「な、ない……た、たぶん!!」
「たぶんって何だよ……」
こんなに真剣なのに、拍子の抜けた答えしか返って来ないのにがっくりとする。
「もしかして、もう俺のこと、嫌い、なのか?」
ジェフリーは苦笑いをしてしまった。一方的な勘違いなのだろうか。当然ながら、ミティアは首を横に振っている。この反応が急に怖くなった。何がいけないのか、ジェフリーは自身で考えて答えを導き出そうとする。
「大雑把すぎるとか?」
「うぅん……」
「言葉遣いが怖いとか?」
「もう慣れたよ?」
「稼ぎがないから将来不安とか?」
「それはまだ先の話じゃないかな?」
受け応えてくれるのはうれしかったが、どれも違うようだ。
胸の奥でつかえているのが、本当にモヤモヤして落ち着かない。
取り乱すジェフリーにミティアはぎゅっと抱き着いた。華奢な腕に似合わないふくよかな胸、ほんのりと甘い匂いがする。
「わたしから逃げないでほしい。もっと向き合ってほしいな」
これが言いづらそうにしていたミティアの不満だった。
ジェフリーは動揺した。直感だが、こんなものではないはずだ。もっと他に言えない不満はあるはず。だが、今はこの状況から逃げたい。思わず目を背けた。
ミティアは上目遣いのまま、口を尖らせる。
「どうして逃げちゃうの? もっとこうしていたいよ……」
そう、この一定のラインを越えたら恥ずかしがるこの行為をやめてほしいがミティアの要望なのだ。正直、ジェフリーには難しい。
言わないといけないと思いながら、顔を合わせるのが恥ずかしい。
「ミティアが可愛いから、長い時間直視できない。これは、本当にごめん!!」
「やだ……」
「嫌いってわけじゃないんだ。本当に許してほしい……」
「許さない……」
ミティアは束縛をしたまま駄々をこねた。これでは話が先に進まない。
「わかった、努力する。だから、今は放してくれ」
「むーっ……」
ミティアはゆっくりと手を引いた。とても名残惜しそうに。
「気持ちはうれしい。だけど、みんなの前では節度を守ってくれ……」
「それはわかってるよ?」
さすがにそこまでべったりするつもりはないようだ。ほっとしたが、ミティアは渋々という感じだ。奥手のように控えめなくせに、本当に読めない。
ジェフリーは念のため聞く。
「まだ何かあるよな?」
ミティアは頬を膨らませている。この顔はまだ何かある。ジェフリーは絶対に吐かせたいと思っていた。
「さっきも言ったけど、この際、言いたいことがあるならハッキリと言ってほしい」
ミティアは抱き着くのはやめたが、今度はジェフリーの両手を握っている。こんなにむすっとされっぱなしでは気分が悪い。ジェフリーはずいずいと迫った。
「これから先、こんな時間は取れないかもしれないんだぞ?」
悔しいが、嘘は言っていない。もう少し現実的な脅しをかける。
「その気はなくても、明日死ぬかもしれない。それだけの危険と隣り合わせの旅をしてる。それくらい、ミティアだって……」
ミティアはつかんでいた両手を強く引いた。唇が重なる。
ジェフリーは時間が止まったかのように、呼吸するのを忘れた。
ミティアとキスするのは二度目だ。今回も彼女からだった。身を引くのも彼女が先。
「死なないで……わたしと一緒に生きてくれるんでしょ?」
愛しくて、守りたくて。この手を解くのが惜しい。これを放すのも、ミティアだった。
この儚い笑みだって、本当は見るのがつらい。ジェフリーは問い詰めたい思いとは逆に、キスを受けたせいで何も反応ができなかった。
ミティアの儚い笑みが、一瞬にしていつもの満面の笑みに変わる。まるで、さっき見ていたのは幻だったかのように切り替えられた。
「わたし、たっきゅー混ざって来るね!」
走って行くミティアの背が小さくなる。
ジェフリーは茫然とする。放された手を見つめた。残された手のぬくもりが徐々に薄れてゆくのを感じる。
結局ミティアの心の内のその奥は聞き出せなかった。その後悔も残るが、あの儚い笑みは何だろうか。手が震えた。
覚悟はしていたが、きっと『失う恐怖』と戦っている。
ジェフリーは自身の手を握って震わせた。焦っているのかもしれない。
――正しいかもわからない、見えない答えに。
「ふっふっふっ、いい度胸だね!! ボクの力、見せてあげるよ!!」
魔力解放を抑え、ウサギの化身から人間へと姿を変えた圭馬。皆が楽しそうにラリーをするので、混ぜろと駄々をこねて今にいたる。藤色のローブの腕を捲り上げ、赤いラケットを持って素振りをしている。
その圭馬の相手はローズだった。運動神経はあまりよくない。だが、返し方やスマッシュを打ち込む角度、素人ではない強さだった。
「むふふーん、勝負デス!! けーま君!!」
盛り上がっている賑やかな声は外にまで聞こえていた。
普段はやらないことをやると、賑やかになるのは予想していたが、こんなに盛り上がるとは想像していなかった。
サキは、ジェフリーとミティアが二人きりの時間を作るために一役買った。卓球の腕利きの勝負を見ないで飲み物を買いに出る。この宿に自販機コーナーはあったのを確認してある。この世界にはまだ少ないが、もっと普及すれば便利だろう。入れたはずの小銭を部屋着のポケットから探りながら歩く。椅子の陰にうずくまっている人を見つけた。
赤毛の女性だ。細くしなやかな腕を壁に、苦しそうに息をしている。
「ミティアさん……?」
赤毛の女性が声に気が付き顔を上げる。ミティアで間違いなかった。
顔色が悪い。発汗もしていた。サキは誰かを呼びに行くべきだと判断した。
「大丈夫ですか? 先生を呼んで来ます!!」
「行かないで……」
サキはミティアに呼び止められた。ミティアの顔色が悪い。それでも訴えかけた。
「お願い……」
「ミティアさん……」
幸いなことに騒ぎ立てる圭馬が一緒ではない。ミティアはどうしても人を呼んでほしくないらしく、サキの服の裾を強く掴んだ。
外傷でもあれば、自分の魔法で傷を浅くできるのに。サキはもどかしかった。
「と、とにかく少し座りましょう……」
サキはミティアを自販機の傍にあった椅子に座らせる。紙パックのリンゴのジュースにストローを刺して渡した。
「どうしたんですか? のぼせたわけじゃないですよね? もしかして、ジェフリーさんに変なことされました?」
リンゴジュースをちびちびと飲みながら、ミティアが顔を上げる。二人きりになるように仕組んだのがサキだと察したのか、目をぱちくりさせている。
遅れてサキは自分が自爆したと気付き、軽く頭を下げた。
「す、すみませんでした……」
こんな些細なことで怒るはずもなく、ミティアはかぶりを振ってほんのり笑った。
「うぅん、ありがとう……ちゃんと話せてよかった」
「あれ、もう大丈夫……ですか?」
少し前まで苦しそうだった顔ではない。ミティアはいつもと変わらないし、特に顔色も悪くない。
さすがにおかしいと思ってサキが質問する。
「どこか痛んだりしませんか?」
「も、もう大丈夫……」
「や、やっぱり先生に相談するべきじゃ?」
何もない受け答えだが、竜次やローズを呼ぶのは拒否した。
「言ったらわたし、みんなと一緒にいられなくなっちゃうかもしれない」
ミティアは仲間から外れてしまうのを嫌がった。過保護な竜次の耳に入ったら、寝ていなさいと言われ、皆を待つのは寂しいだろう。
「それに、本当にたまになの……」
「うーん……たまにだったら、これまでにもあったんですよね。具体的には、どんな感じですか?」
「サキったら、先生みたいだよ?」
適当に笑って安心させたつもりだった。だが、ミティアは警戒している。
「ぼ、僕は口が堅いはずなんですよ」
サキが自信満々に言う。だが、先ほど自爆している。その点から、あまり説得力がなかった。ミティアも渋っている。
「誰にも言わない?」
「は、はいっ!」
軽い奴だと思われたかもしれない。サキはそんな思いを忍ばせながら、ミティアの言葉を待った。彼女もどうせサキが引き下がらないとわかっているはずだ。
「本当に少しの時間、体から力が抜けてふらつくの。どこも痛くないけど、地面に足が着いてなくてふわふわして、気持ち悪くなって。でも、少ししたらよくなるの。疲れちゃったのかなって……」
これだけ聞くと、立ちくらみか、度重なる疲労くらいしか心当たりがない。
「いつからですか?」
「えっと……二、三日前くらいから? 頻発するわけじゃないんだけど……」
サキの中で嫌な予感が増していく。魔法が使えなくなった次の衰退かもしれない。この立ちくらみの症状が何を意味するのか、このときはまだわからなかった。
「誰にも言わないで……」
悲願するミティアを一人になんてさせられない。一人という孤独がどんなに心細く、寂しいものか、サキには痛いほどわかっていた。昨日の自分がそうだったからだ。
「みんなの前で倒れないようにしてください、と、僕からは……」
きつくは言えなかった。竜次やジェフリーなら絶対安静を取るだろう。それに、これから進む道ははっきりと見えている。材料さえ揃えば後は加工を頼む段階。もう少し、あと少しなのだ。
「ミティアさんは早めに休んだ方がいいかも?」
「そう、だね。わたしもたっきゅーやりたかったなぁ……」
残念だが、こればかりは自分の体を優先してほしい。他の人には黙っているつもりだが、しばらくは目を光らせないとまずそうだ。サキは自身でも気を付けるように意識を持った。
「面倒をかけてごめんなさい。でも、どうしても黙っていてほしいの」
「僕に何かできたらいいのですれど……」
「腕輪の材料って、明日の火山で入手するものが最後なんでしょう? きっとこれからは、いいことばかりだと思うから。大丈夫……」
ミティアが見せる儚い笑み。今にも消えてしまいそうな気がしたのは一瞬。
この横顔が憧れだった。特別な関係ではないが、幸せを願える人だ。この笑顔に感じた不安は何だろうか。サキは黙ってはいたが恐怖を感じた。
「これ、ありがとう。おやすみ……明日頑張ろうね」
ミティアは軽く手を振って、ぱたぱたと走り去った。
つらくても、みんなと一緒がいいとミティアは言った。その気持ちに理解はあるが、本当に大丈夫だろうか。サキは心配だった。
さすがに本人が大丈夫と言っているのだ、信じてあげたい。
それよりもサキがうしろめたいのは、ミティアと一緒に秘密を作ってしまった点だ。横取りするわけでも、抜け駆けをするつもりもない。
あと少し頑張れば、どうでもいいことだと信じたたかった。
卓球大戦は深夜にまで及んだ。
言い出しっぺのはずのサキは、慣れない運動にクタクタになっている。
魔力解放の全力ではなく抑制しながらの解放、つまり圭馬に魔力を供給し続けての運動。まるでわざと自分に鞭を打っているかのようだ。
実はその狙いもある。これから先、何があるかわからない。老体のショコラはまだしも、圭馬はこれを機に戦線に参加するかもしれない。
自分に体力がないと自覚している。やせ細った体では、どうしても皆に追いつけないのだ。一歩も二歩も遅れてしまう。足を引っ張る面もあった。
それでも仲間からもっと食べなさいと苦言はされるが、遅れたまま置き去りにはしなかった。
最近の、身の回りで起きている変化に考えごとばかりしてしまう。もっと役に立つにはどうしたらいいのか。
外の世界に出てよかったとは思った。ただ、それだけ慣れなくてつらく感じることも多い。どこまで皆に追いつけただろうか。いや、むしろ、追い抜かすくらいの気持ちでいないといけない。
「サキ君?」
竜次だ。サキは声をかけられ、我に返った。
「わ、ひゃい……」
三日月のピアスが左右に揺れる。随分と覗き込まれていたようだが、声をかけられるまでサキは気付かなかった。
「どうしたんですか、思い詰めた顔して……」
「えっ?」
考えごとはしていたが、変な顔でもしていただろうか。皆、手を止めてサキに注目している。これはこれで包囲されている気分になった。サキは首を振って大丈夫だと主張する。
キッドはサキを気遣った。
「顔色が悪いけど、さっきのぼせたって言ってなかった? あんた、大丈夫?」
キッドの言葉がきっかけで休もうという流れになった。竜次もラケットをかごに入れてまとめている。
「我々だけで張り切ってしまいましたものね。そろそろお開きにしましょうか」
時間も遅いし、少し遊び過ぎたかもしれない。
圭馬は藤色のローブに赤い帽子、青紫の髪の人間の姿だ。八重歯がチラリと見えるくらい、いやらしく笑う。この笑い方は仲間の中では特徴が色濃い。
「キミ、実験してたんでしょ?」
サキが深めの深呼吸をしながら、圭馬に向かって手をかざした。圭馬はウサギの姿に戻る。魔力解放を解除した。
サキは圭馬を拾い上げた。
「限界チャレンジというところでしょうか。魔法を継続させたまま、どれだけ動いていられるかを試していました。結構しんどいですね」
サキがどれだけ負荷をかけていたのか、皆も揃って呆れている。
一番心配していたのは竜次だ。だが、心配だけではない。
「もしかして、意識しています?」
独特の指摘だ。サキが今から持つ『意識』とすれば、魔力のセーブとそれによる長時間の施行だ。
サキは足元にいたショコラも拾い上げた。
「僕は体力がないのに、いつまでも助けてもらってばかりなので。自分なりの方法で負荷をかけてパワーアップを狙っています」
「うーん、サキ君は十分お強いと思うのですけれど、それでも満足なさらないと?」
「僕は先生みたいに剣が振れるわけでもないですし、誰かを引っ張れる力もないです。強くないのは自分でわかっています。だから、足を引っ張らないようにしたい……」
サキが高みを目指す意識は生半可なものではない。
常に前を向いて、今の自分に満足することなく、先へ先へと進もうとする志に誰もが尊敬してしまう。
キッドは忘れ物のチェックを完了する。話を聞いて、肩を解しながらため息をついた。
「そんな難しいこと、考えなくてもいいのに、しょうがない子ね……」
姉として、心配が絶えない。サキはどうしてここまで自分を追い込み、高みを目指すのか。キッドは力になりたかった。
カサカサと乾いた紙が鳴る。
女性部屋でコーディが執筆した原稿をまとめていた。
「よし、これでおじさんからの話はまとまった……」
散らばらないようにファイルケースにとじている。あまりに一生懸命なものだからミティアがじっと見ていた。
「コーディちゃん熱心だよね」
コーディは意外に思った。ミティアが卓球大会に混ざらなかったことが気がかりだった。楽しそうなことには率先して混ざると思っていたからだ。
「もう寝るよ? お姉ちゃんも寝よう?」
「ん、そうだよね……」
ミティアの声質が下がった。何か変だと思ったコーディが質問をする。
「どうしたの?」
「えっ、うぅん……大丈夫。何でもないよ?」
疲れているのかな? と、コーディは思いながら明かりを消そうとする。
この頃合いでキッドとローズが帰って来た。バタバタと騒がしい。
かまわず消灯するコーディ。目が疲れたのでゆっくり休みたい。
恵子を懐に入れ、コーディは横になった。軽く身なりを整えて休む支度をする二人に目もくれず、物悲しい顔で窓の外を見ているミティアの横顔が気になった。
文字とにらめっこしてコーディは横になってすぐ頭が重く感じた。少し上の空なミティアを気にしながらも微睡みに身を任せた。
きっと、心配するほどではない。
この時点では、そう思って自然だ。
頼まれていた種族戦争の話はまとめたが、クディフはまだ続きがあると匂わせをしていた。それはまたの話になるだろう。
気になるが、この先は辿り着くのにしばらくかかりそうだ。
大きな問題はこの原稿を取り合ってくれる人が、この世界のどこかにいるだろうかという点だ。情報能力に長けている人……壱子にでも話してみよう。
ギルドのハンターという以外は接点が少ない。
これも、今度会えたら……。
男性部屋でも独特のやり取りが行われようとしていた。
ベッドから足がはみ出し、だらしなく寝ているジェフリーが恨めしい。
人の気など知らないこのいびきが、地鳴りのような重低音だ。近隣の部屋から苦情が来ないか心配になる。
主に会話は竜次とサキに絞られる。
「やれやれ、この子には手を焼いてばかりです」
竜次ははみ出している足を乱暴に拾い上げる。すると、なぜかジェフリーのいびきがなくなった。思わずため息もつきたくなる。
「サキ君みたいにしっかりした弟だったら、どんなによかったか……」
「う……さい……」
無意識なのだろうが、ジェフリーは寝言で会話をしている。
これには離れていたサキも苦笑いだ。
サキはとあることを思い出した。皆の前では聞きにくい。あまりいい質問ではないが、念のため聞いてみる。
「そうだ、姉さんとはどうですか?」
質問に対して、竜次はうしろ姿のまま肩を落とした。この時点で察しがつく。
「あ、ごめんなさい……」
「い、いえ、私がしっかりしていないせいで宙ぶらりんのままなのです。今のところはいい友人のままでいようって」
「で、でも、お嫌いではないんですね? それならよかったです」
微妙な空気になりかけたが、この場を持ち堪えた。サキは話を前向きな方へと持って行こうとする。
「僕は先生にも幸せになってもらいたいと思っています。どんな形でもいいです」
竜次はゆっくりと振り返る。
サキはあまりに失礼な質問かと怒られる覚悟もした。だが、竜次はサキの頭をポンポンと軽く叩く。
大きくて優しい手だ。
「私はサキ君が思っているよりもずっと無責任な人間です。自分勝手で誰かに依存していないと自分を保てない。ミティアさんにもそうでした。埋まらない空白と、大切な人を失った孤独を埋めたいがために迫った最低な男です。満たされない心を救ってほしくて、誰かに縋りたいだけかもしれません」
空回りしているのは恋愛もそうだと言いたいらしい。竜次は深くため息をついた。
「クレアは好きです。だけど、私はまだ彼女の中にいない……」
絶妙な関係のようだ。キッドは気難しいゆえに、仲間として打ち解けるのだって時間を要した。ジェフリーとは未だに仲良くしていない。
男嫌いなのか、別の障壁があるのか、サキからは想像がつかない。なぜなら、キッドと一緒に過ごした時間が少ないからだ。幼い日々の記憶は断片的で、あまり覚えていない。
竜次はサキに気遣われ、うれしそうだ。
「人の幸せを願えるなんて、サキ君は優しいですね」
「えっ、普通じゃないですか?」
「ところがそれを普通にできる人は少ないと思いますよ。みんな自分のことで精いっぱいですからね」
竜次は話しながら長い髪に櫛を通し、休む支度を始めている。
サキはうとうとしている使い魔を布団の上に移動させる。
「自分のことで精いっぱいか……僕もそうだったなぁ」
今だって、本当は自分を優先している。でもそれは、誰かの役に立ちたいがために頑張れるのだ。
居場所のなかった自分を、こんなにも暖かい場所に招き入れてくれたジェフリーには感謝し足りない。
夜が深まる。
明日挑む火山がどんなに過酷か、このときは想像もつかなかった。
皆ジャージのような部屋着だが、中でも板について似合うのがローズ。スタイルがいいので、何でも似合ってしまう。
そして、ローズは誰よりもご機嫌だった。
「フーム、精力がつきそうなご飯でしたネ? おいしかったデスケド」
爪楊枝を加えながら先頭を歩いた。
ローズが食事に関して指摘をした。宿を取った際に食事つきとは聞いていたが、ワニの肉や蛇の肉が出されるとは思いもしなかった。もしかしたら、この街は思っている以上に逞しく生き長らえているのかもしれない。味は鶏肉に近かったし、ワニ肉スープは味に深みがあって不思議なものだった。
夕方に遭遇したものを口にするとは、誰が想像しただろう。
男女それぞれの部屋に戻って、時間を持て余して休む。そんな流れをサキが率先して崩しにかかった。
「ね、姉さん! 僕と卓球しませんか!?」
武者震いするように両拳を握ってキッドの前に立ち塞がった。キッドの横ではミティアが目を真ん丸くしている。
「はぁ? 卓球?」
「たっきゅー……?」
二人ともしかめた表情だ。これは乗り気ではないのかと思った。
サキがジェフリーに目で謝っていた。彼の『時間を作る作戦』が失敗に終わりそうだ。
一部では気まずい展開だった。だが、その話に乗ろうとしている者がいた。
「おぉ、楽しそうデス。ワタシもやりたいデス!!」
なぜかノリノリでローズが話に乗った。次いで竜次がニッコリとしながら腕をまくっている。
「いいですねぇ、楽しそうなので私も混ぜてくださいな!」
失敗に終わるかと思ったが、大事になった。乗り気ではなかったキッドが場の空気に圧巻されている。
「た、卓球って……何?」
話に乗らないのかと思ったが、そもそも卓球を知らないようだ。
竜次が笑顔で誘う。こういうところが子どもっぽい。
「おっ、これは……何事も経験ですよ。スマッシュなんて剣を振るのに似てますから。もしかしたら好きになるかも?」
そうと決まったら、皆で卓球だ。
キッドはサキに手を掴まれ、貸し広場に引っ張られて行った。竜次とローズがノリノリであとを追う。
残ったのはコーディだった。ミティアとジェフリーが行かないのを見て、そそくさと恵子を摘まみ上げる。
「わ、私まだ背が小さいから届かないし、原稿やろーっと……」
空気を読んだのか気まずくなったのか、コーディは部屋に走って行った。
ものすごく不自然だったかもしれないが、サキの作戦はうまくいったらしい。
だが、ミティアはこの状況をよくわかっていないようだ。
「ジェフリーは、たっきゅーしないの?」
ミティアも卓球を知らないようだ。田舎の村で暮らしていたら、そうかもしれない。知らないことが多いのは、すでに把握している。
ジェフリーは少し意地悪な言い方でミティアの意思を確認した。
「俺と話すのが嫌なら、今から卓球しに行くか?」
ミティアはやっとこの意味を理解した。ジェフリー腕に自分の腕を絡める。小さく首を振って上目遣いになった。
このミティアは反則的に可愛い。この場で理性が崩壊しそうなくらいだ。ジェフリーは戸惑いながら場所を探した。
「どこで話すか?」
「お部屋?」
「……」
部屋着で外に出るのは寒いだろうし、ロビーではゆっくりできない。部屋に連れ込むのは正直どうかと思う。
ゆっくりできそうな場所が少ない。よって男性部屋の前で立ち話になった。少し不満そうだ。
まずはジェフリーから言う。
「勘違いしていないか心配なんだが、俺はミティアしか好きじゃないからな?」
ミティアの不満そうな顔は、一瞬で驚きに変わった。
恥ずかしいが、言わないとわかってもらえないかもしれない。ジェフリーは自分の気持ちを打ち明けた。
「他の奴の冗談を真に受けないでほしい。俺はこんな奴だし、嫌われても仕方ないとは思っている。自覚はしてる……顔は悪いし、別に性格がいいわけじゃない」
ジェフリーが自身を卑下する。人に好かれる要素がないと思ったからだ。
ミティアはじっと見上げていた。この間がどうやったら詰まるだろうか。ミティアも自分の不安を打ち明けた。
「わたし、いつかジェフリーに嫌われちゃうのかなって思ってた」
「嫌いになる理由が見当たらない。今のところ……」
「い、今のところ……?」
「そういう冗談が見抜けるようになるといいな」
ミティアは、耳まで真っ赤にしながら頷いた。可愛いが、少し間に受けすぎなのが困る。それだけ彼女は真剣なのかもしれない。
ジェフリーは武者震いをしている。顔を真っ赤にして拳を震わせていた。
「この際だから言いたいこと、はっきり言ってすっきりしようと思う」
ミティアはビクッと身を縮ませる。これだけ切り出すと、別れ話でもするのかと誤解を招きそうだ。
「俺は不器用だから、ミティアに嫌われたら次はないと思っている。それだけ俺も真剣だってわかってほしい。だから、あえて聞くけど……」
今度はジェフリーがびくびくしている。聞いておかないと、この先苦労しそうだ。
「俺の嫌いなところを言ってほしい。ここを直してもらいたいとか、もっとこうしてほしいとか……」
「んっ!?」
急に受け身になり、ミティアは驚いて変な声を上げそうになった。口を押さえながら目を見開いている。目が合ったまま、彼女だけが何度も瞬きをして気まずい空気になってしまった。
ジェフリーは謎の攻防にもどかしさを隠せない。どうしても聞き出したい。
「えっと……話、聞いてたか?」
「えっ、あ、う、うん……?」
多分聞いていない。そんな反応ですら可愛いが、これはちゃんと答えてもらいたい。
「俺のどこが嫌いかって聞いてるんだけど?」
「な、ない……た、たぶん!!」
「たぶんって何だよ……」
こんなに真剣なのに、拍子の抜けた答えしか返って来ないのにがっくりとする。
「もしかして、もう俺のこと、嫌い、なのか?」
ジェフリーは苦笑いをしてしまった。一方的な勘違いなのだろうか。当然ながら、ミティアは首を横に振っている。この反応が急に怖くなった。何がいけないのか、ジェフリーは自身で考えて答えを導き出そうとする。
「大雑把すぎるとか?」
「うぅん……」
「言葉遣いが怖いとか?」
「もう慣れたよ?」
「稼ぎがないから将来不安とか?」
「それはまだ先の話じゃないかな?」
受け応えてくれるのはうれしかったが、どれも違うようだ。
胸の奥でつかえているのが、本当にモヤモヤして落ち着かない。
取り乱すジェフリーにミティアはぎゅっと抱き着いた。華奢な腕に似合わないふくよかな胸、ほんのりと甘い匂いがする。
「わたしから逃げないでほしい。もっと向き合ってほしいな」
これが言いづらそうにしていたミティアの不満だった。
ジェフリーは動揺した。直感だが、こんなものではないはずだ。もっと他に言えない不満はあるはず。だが、今はこの状況から逃げたい。思わず目を背けた。
ミティアは上目遣いのまま、口を尖らせる。
「どうして逃げちゃうの? もっとこうしていたいよ……」
そう、この一定のラインを越えたら恥ずかしがるこの行為をやめてほしいがミティアの要望なのだ。正直、ジェフリーには難しい。
言わないといけないと思いながら、顔を合わせるのが恥ずかしい。
「ミティアが可愛いから、長い時間直視できない。これは、本当にごめん!!」
「やだ……」
「嫌いってわけじゃないんだ。本当に許してほしい……」
「許さない……」
ミティアは束縛をしたまま駄々をこねた。これでは話が先に進まない。
「わかった、努力する。だから、今は放してくれ」
「むーっ……」
ミティアはゆっくりと手を引いた。とても名残惜しそうに。
「気持ちはうれしい。だけど、みんなの前では節度を守ってくれ……」
「それはわかってるよ?」
さすがにそこまでべったりするつもりはないようだ。ほっとしたが、ミティアは渋々という感じだ。奥手のように控えめなくせに、本当に読めない。
ジェフリーは念のため聞く。
「まだ何かあるよな?」
ミティアは頬を膨らませている。この顔はまだ何かある。ジェフリーは絶対に吐かせたいと思っていた。
「さっきも言ったけど、この際、言いたいことがあるならハッキリと言ってほしい」
ミティアは抱き着くのはやめたが、今度はジェフリーの両手を握っている。こんなにむすっとされっぱなしでは気分が悪い。ジェフリーはずいずいと迫った。
「これから先、こんな時間は取れないかもしれないんだぞ?」
悔しいが、嘘は言っていない。もう少し現実的な脅しをかける。
「その気はなくても、明日死ぬかもしれない。それだけの危険と隣り合わせの旅をしてる。それくらい、ミティアだって……」
ミティアはつかんでいた両手を強く引いた。唇が重なる。
ジェフリーは時間が止まったかのように、呼吸するのを忘れた。
ミティアとキスするのは二度目だ。今回も彼女からだった。身を引くのも彼女が先。
「死なないで……わたしと一緒に生きてくれるんでしょ?」
愛しくて、守りたくて。この手を解くのが惜しい。これを放すのも、ミティアだった。
この儚い笑みだって、本当は見るのがつらい。ジェフリーは問い詰めたい思いとは逆に、キスを受けたせいで何も反応ができなかった。
ミティアの儚い笑みが、一瞬にしていつもの満面の笑みに変わる。まるで、さっき見ていたのは幻だったかのように切り替えられた。
「わたし、たっきゅー混ざって来るね!」
走って行くミティアの背が小さくなる。
ジェフリーは茫然とする。放された手を見つめた。残された手のぬくもりが徐々に薄れてゆくのを感じる。
結局ミティアの心の内のその奥は聞き出せなかった。その後悔も残るが、あの儚い笑みは何だろうか。手が震えた。
覚悟はしていたが、きっと『失う恐怖』と戦っている。
ジェフリーは自身の手を握って震わせた。焦っているのかもしれない。
――正しいかもわからない、見えない答えに。
「ふっふっふっ、いい度胸だね!! ボクの力、見せてあげるよ!!」
魔力解放を抑え、ウサギの化身から人間へと姿を変えた圭馬。皆が楽しそうにラリーをするので、混ぜろと駄々をこねて今にいたる。藤色のローブの腕を捲り上げ、赤いラケットを持って素振りをしている。
その圭馬の相手はローズだった。運動神経はあまりよくない。だが、返し方やスマッシュを打ち込む角度、素人ではない強さだった。
「むふふーん、勝負デス!! けーま君!!」
盛り上がっている賑やかな声は外にまで聞こえていた。
普段はやらないことをやると、賑やかになるのは予想していたが、こんなに盛り上がるとは想像していなかった。
サキは、ジェフリーとミティアが二人きりの時間を作るために一役買った。卓球の腕利きの勝負を見ないで飲み物を買いに出る。この宿に自販機コーナーはあったのを確認してある。この世界にはまだ少ないが、もっと普及すれば便利だろう。入れたはずの小銭を部屋着のポケットから探りながら歩く。椅子の陰にうずくまっている人を見つけた。
赤毛の女性だ。細くしなやかな腕を壁に、苦しそうに息をしている。
「ミティアさん……?」
赤毛の女性が声に気が付き顔を上げる。ミティアで間違いなかった。
顔色が悪い。発汗もしていた。サキは誰かを呼びに行くべきだと判断した。
「大丈夫ですか? 先生を呼んで来ます!!」
「行かないで……」
サキはミティアに呼び止められた。ミティアの顔色が悪い。それでも訴えかけた。
「お願い……」
「ミティアさん……」
幸いなことに騒ぎ立てる圭馬が一緒ではない。ミティアはどうしても人を呼んでほしくないらしく、サキの服の裾を強く掴んだ。
外傷でもあれば、自分の魔法で傷を浅くできるのに。サキはもどかしかった。
「と、とにかく少し座りましょう……」
サキはミティアを自販機の傍にあった椅子に座らせる。紙パックのリンゴのジュースにストローを刺して渡した。
「どうしたんですか? のぼせたわけじゃないですよね? もしかして、ジェフリーさんに変なことされました?」
リンゴジュースをちびちびと飲みながら、ミティアが顔を上げる。二人きりになるように仕組んだのがサキだと察したのか、目をぱちくりさせている。
遅れてサキは自分が自爆したと気付き、軽く頭を下げた。
「す、すみませんでした……」
こんな些細なことで怒るはずもなく、ミティアはかぶりを振ってほんのり笑った。
「うぅん、ありがとう……ちゃんと話せてよかった」
「あれ、もう大丈夫……ですか?」
少し前まで苦しそうだった顔ではない。ミティアはいつもと変わらないし、特に顔色も悪くない。
さすがにおかしいと思ってサキが質問する。
「どこか痛んだりしませんか?」
「も、もう大丈夫……」
「や、やっぱり先生に相談するべきじゃ?」
何もない受け答えだが、竜次やローズを呼ぶのは拒否した。
「言ったらわたし、みんなと一緒にいられなくなっちゃうかもしれない」
ミティアは仲間から外れてしまうのを嫌がった。過保護な竜次の耳に入ったら、寝ていなさいと言われ、皆を待つのは寂しいだろう。
「それに、本当にたまになの……」
「うーん……たまにだったら、これまでにもあったんですよね。具体的には、どんな感じですか?」
「サキったら、先生みたいだよ?」
適当に笑って安心させたつもりだった。だが、ミティアは警戒している。
「ぼ、僕は口が堅いはずなんですよ」
サキが自信満々に言う。だが、先ほど自爆している。その点から、あまり説得力がなかった。ミティアも渋っている。
「誰にも言わない?」
「は、はいっ!」
軽い奴だと思われたかもしれない。サキはそんな思いを忍ばせながら、ミティアの言葉を待った。彼女もどうせサキが引き下がらないとわかっているはずだ。
「本当に少しの時間、体から力が抜けてふらつくの。どこも痛くないけど、地面に足が着いてなくてふわふわして、気持ち悪くなって。でも、少ししたらよくなるの。疲れちゃったのかなって……」
これだけ聞くと、立ちくらみか、度重なる疲労くらいしか心当たりがない。
「いつからですか?」
「えっと……二、三日前くらいから? 頻発するわけじゃないんだけど……」
サキの中で嫌な予感が増していく。魔法が使えなくなった次の衰退かもしれない。この立ちくらみの症状が何を意味するのか、このときはまだわからなかった。
「誰にも言わないで……」
悲願するミティアを一人になんてさせられない。一人という孤独がどんなに心細く、寂しいものか、サキには痛いほどわかっていた。昨日の自分がそうだったからだ。
「みんなの前で倒れないようにしてください、と、僕からは……」
きつくは言えなかった。竜次やジェフリーなら絶対安静を取るだろう。それに、これから進む道ははっきりと見えている。材料さえ揃えば後は加工を頼む段階。もう少し、あと少しなのだ。
「ミティアさんは早めに休んだ方がいいかも?」
「そう、だね。わたしもたっきゅーやりたかったなぁ……」
残念だが、こればかりは自分の体を優先してほしい。他の人には黙っているつもりだが、しばらくは目を光らせないとまずそうだ。サキは自身でも気を付けるように意識を持った。
「面倒をかけてごめんなさい。でも、どうしても黙っていてほしいの」
「僕に何かできたらいいのですれど……」
「腕輪の材料って、明日の火山で入手するものが最後なんでしょう? きっとこれからは、いいことばかりだと思うから。大丈夫……」
ミティアが見せる儚い笑み。今にも消えてしまいそうな気がしたのは一瞬。
この横顔が憧れだった。特別な関係ではないが、幸せを願える人だ。この笑顔に感じた不安は何だろうか。サキは黙ってはいたが恐怖を感じた。
「これ、ありがとう。おやすみ……明日頑張ろうね」
ミティアは軽く手を振って、ぱたぱたと走り去った。
つらくても、みんなと一緒がいいとミティアは言った。その気持ちに理解はあるが、本当に大丈夫だろうか。サキは心配だった。
さすがに本人が大丈夫と言っているのだ、信じてあげたい。
それよりもサキがうしろめたいのは、ミティアと一緒に秘密を作ってしまった点だ。横取りするわけでも、抜け駆けをするつもりもない。
あと少し頑張れば、どうでもいいことだと信じたたかった。
卓球大戦は深夜にまで及んだ。
言い出しっぺのはずのサキは、慣れない運動にクタクタになっている。
魔力解放の全力ではなく抑制しながらの解放、つまり圭馬に魔力を供給し続けての運動。まるでわざと自分に鞭を打っているかのようだ。
実はその狙いもある。これから先、何があるかわからない。老体のショコラはまだしも、圭馬はこれを機に戦線に参加するかもしれない。
自分に体力がないと自覚している。やせ細った体では、どうしても皆に追いつけないのだ。一歩も二歩も遅れてしまう。足を引っ張る面もあった。
それでも仲間からもっと食べなさいと苦言はされるが、遅れたまま置き去りにはしなかった。
最近の、身の回りで起きている変化に考えごとばかりしてしまう。もっと役に立つにはどうしたらいいのか。
外の世界に出てよかったとは思った。ただ、それだけ慣れなくてつらく感じることも多い。どこまで皆に追いつけただろうか。いや、むしろ、追い抜かすくらいの気持ちでいないといけない。
「サキ君?」
竜次だ。サキは声をかけられ、我に返った。
「わ、ひゃい……」
三日月のピアスが左右に揺れる。随分と覗き込まれていたようだが、声をかけられるまでサキは気付かなかった。
「どうしたんですか、思い詰めた顔して……」
「えっ?」
考えごとはしていたが、変な顔でもしていただろうか。皆、手を止めてサキに注目している。これはこれで包囲されている気分になった。サキは首を振って大丈夫だと主張する。
キッドはサキを気遣った。
「顔色が悪いけど、さっきのぼせたって言ってなかった? あんた、大丈夫?」
キッドの言葉がきっかけで休もうという流れになった。竜次もラケットをかごに入れてまとめている。
「我々だけで張り切ってしまいましたものね。そろそろお開きにしましょうか」
時間も遅いし、少し遊び過ぎたかもしれない。
圭馬は藤色のローブに赤い帽子、青紫の髪の人間の姿だ。八重歯がチラリと見えるくらい、いやらしく笑う。この笑い方は仲間の中では特徴が色濃い。
「キミ、実験してたんでしょ?」
サキが深めの深呼吸をしながら、圭馬に向かって手をかざした。圭馬はウサギの姿に戻る。魔力解放を解除した。
サキは圭馬を拾い上げた。
「限界チャレンジというところでしょうか。魔法を継続させたまま、どれだけ動いていられるかを試していました。結構しんどいですね」
サキがどれだけ負荷をかけていたのか、皆も揃って呆れている。
一番心配していたのは竜次だ。だが、心配だけではない。
「もしかして、意識しています?」
独特の指摘だ。サキが今から持つ『意識』とすれば、魔力のセーブとそれによる長時間の施行だ。
サキは足元にいたショコラも拾い上げた。
「僕は体力がないのに、いつまでも助けてもらってばかりなので。自分なりの方法で負荷をかけてパワーアップを狙っています」
「うーん、サキ君は十分お強いと思うのですけれど、それでも満足なさらないと?」
「僕は先生みたいに剣が振れるわけでもないですし、誰かを引っ張れる力もないです。強くないのは自分でわかっています。だから、足を引っ張らないようにしたい……」
サキが高みを目指す意識は生半可なものではない。
常に前を向いて、今の自分に満足することなく、先へ先へと進もうとする志に誰もが尊敬してしまう。
キッドは忘れ物のチェックを完了する。話を聞いて、肩を解しながらため息をついた。
「そんな難しいこと、考えなくてもいいのに、しょうがない子ね……」
姉として、心配が絶えない。サキはどうしてここまで自分を追い込み、高みを目指すのか。キッドは力になりたかった。
カサカサと乾いた紙が鳴る。
女性部屋でコーディが執筆した原稿をまとめていた。
「よし、これでおじさんからの話はまとまった……」
散らばらないようにファイルケースにとじている。あまりに一生懸命なものだからミティアがじっと見ていた。
「コーディちゃん熱心だよね」
コーディは意外に思った。ミティアが卓球大会に混ざらなかったことが気がかりだった。楽しそうなことには率先して混ざると思っていたからだ。
「もう寝るよ? お姉ちゃんも寝よう?」
「ん、そうだよね……」
ミティアの声質が下がった。何か変だと思ったコーディが質問をする。
「どうしたの?」
「えっ、うぅん……大丈夫。何でもないよ?」
疲れているのかな? と、コーディは思いながら明かりを消そうとする。
この頃合いでキッドとローズが帰って来た。バタバタと騒がしい。
かまわず消灯するコーディ。目が疲れたのでゆっくり休みたい。
恵子を懐に入れ、コーディは横になった。軽く身なりを整えて休む支度をする二人に目もくれず、物悲しい顔で窓の外を見ているミティアの横顔が気になった。
文字とにらめっこしてコーディは横になってすぐ頭が重く感じた。少し上の空なミティアを気にしながらも微睡みに身を任せた。
きっと、心配するほどではない。
この時点では、そう思って自然だ。
頼まれていた種族戦争の話はまとめたが、クディフはまだ続きがあると匂わせをしていた。それはまたの話になるだろう。
気になるが、この先は辿り着くのにしばらくかかりそうだ。
大きな問題はこの原稿を取り合ってくれる人が、この世界のどこかにいるだろうかという点だ。情報能力に長けている人……壱子にでも話してみよう。
ギルドのハンターという以外は接点が少ない。
これも、今度会えたら……。
男性部屋でも独特のやり取りが行われようとしていた。
ベッドから足がはみ出し、だらしなく寝ているジェフリーが恨めしい。
人の気など知らないこのいびきが、地鳴りのような重低音だ。近隣の部屋から苦情が来ないか心配になる。
主に会話は竜次とサキに絞られる。
「やれやれ、この子には手を焼いてばかりです」
竜次ははみ出している足を乱暴に拾い上げる。すると、なぜかジェフリーのいびきがなくなった。思わずため息もつきたくなる。
「サキ君みたいにしっかりした弟だったら、どんなによかったか……」
「う……さい……」
無意識なのだろうが、ジェフリーは寝言で会話をしている。
これには離れていたサキも苦笑いだ。
サキはとあることを思い出した。皆の前では聞きにくい。あまりいい質問ではないが、念のため聞いてみる。
「そうだ、姉さんとはどうですか?」
質問に対して、竜次はうしろ姿のまま肩を落とした。この時点で察しがつく。
「あ、ごめんなさい……」
「い、いえ、私がしっかりしていないせいで宙ぶらりんのままなのです。今のところはいい友人のままでいようって」
「で、でも、お嫌いではないんですね? それならよかったです」
微妙な空気になりかけたが、この場を持ち堪えた。サキは話を前向きな方へと持って行こうとする。
「僕は先生にも幸せになってもらいたいと思っています。どんな形でもいいです」
竜次はゆっくりと振り返る。
サキはあまりに失礼な質問かと怒られる覚悟もした。だが、竜次はサキの頭をポンポンと軽く叩く。
大きくて優しい手だ。
「私はサキ君が思っているよりもずっと無責任な人間です。自分勝手で誰かに依存していないと自分を保てない。ミティアさんにもそうでした。埋まらない空白と、大切な人を失った孤独を埋めたいがために迫った最低な男です。満たされない心を救ってほしくて、誰かに縋りたいだけかもしれません」
空回りしているのは恋愛もそうだと言いたいらしい。竜次は深くため息をついた。
「クレアは好きです。だけど、私はまだ彼女の中にいない……」
絶妙な関係のようだ。キッドは気難しいゆえに、仲間として打ち解けるのだって時間を要した。ジェフリーとは未だに仲良くしていない。
男嫌いなのか、別の障壁があるのか、サキからは想像がつかない。なぜなら、キッドと一緒に過ごした時間が少ないからだ。幼い日々の記憶は断片的で、あまり覚えていない。
竜次はサキに気遣われ、うれしそうだ。
「人の幸せを願えるなんて、サキ君は優しいですね」
「えっ、普通じゃないですか?」
「ところがそれを普通にできる人は少ないと思いますよ。みんな自分のことで精いっぱいですからね」
竜次は話しながら長い髪に櫛を通し、休む支度を始めている。
サキはうとうとしている使い魔を布団の上に移動させる。
「自分のことで精いっぱいか……僕もそうだったなぁ」
今だって、本当は自分を優先している。でもそれは、誰かの役に立ちたいがために頑張れるのだ。
居場所のなかった自分を、こんなにも暖かい場所に招き入れてくれたジェフリーには感謝し足りない。
夜が深まる。
明日挑む火山がどんなに過酷か、このときは想像もつかなかった。
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