所感日記

ジュネーブ

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友人関係

濡れて濡れる   ℳ

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それは傷を一つ一つ開いた
一つ一つが体に染みて洗ってもこすっても落ちないでまた濡れる

染み込んだシャツは着ている意味が無いほどに
「さすがにこれはない」
隣にいるイボジーも不測の事態に対処するすべがない

「まさか、あるんだな…」
ヤツは今にも笑いかけている
「でもさ、当然クリーニング代は弁償させるだろ?」
「そりゃそうだろ!」

まさか、液体を思いっきりかけられるとは思いもしなかった
テニスのバックハンドのように美しく放たれたバケツの液体がかかった

「ほんとにすいません!誰もいないことを確認して…」
言い訳に過ぎないので聞くよしもない
ブチ切れのあまり話を切って
「さて本題ですが、この内容液は?」
「トイレの水です」
「まじかよ!」
「ジュネーブついて無さすぎだろ」

「あぁもう死にてぇ!」
てめぇが言うか!?
こらえてる俺がバカバカしくなる
「ジュネ…!」

彼の消滅したことばで現場に緊張が走る

もう相手はやや開き直りになり「んで、どうしましょうか?」と結論を急ぐ
さすがに私も冷静さはとうに欠いている
「あのさぁ…使用済みかどうか知らないけどトイレの水かけられて、怒らない人がいるならここに連れてこれるかな?」

「話がめちゃくちゃになるほどかよ」
イボジーは逆に冷静になっていた

相手を軽く威圧する
我ながらタチが悪い

「まずクリーニング代と慰謝料!財布にいくらある?」
なんだよ…?!と少し困った顔になる
が逆らうことが出来ず財布を差し出す

財布には1万と5000円
「諸々含めるとさ13,000はいるよね?」
「そ、そんなに?」
「ジュネーブ…さすがに」

イボジーはやや引いている
当然とはいえ少しこっちもぼっている
そうゆう反応もうなずけるな

「そんだけは足りないでしょ…!」
「は?!」
私と加害者はイボジーの反応に引く

「こ、こんだけで勘弁しとくよ」
「そうして頂けると助かります…」
ね?イボジー?お互い納得してんだよ??
「考えればそれだけ必要ですもんね」
さすがに彼も苦笑いと申し訳なさが交差している

たしか、イボジーは大人しめなキャラで…勉強も真面目で、クラスからも人気があって……

そんな彼のイメージはあの職業へと変わった
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