混血の子は純血貴族に愛される

銀花月

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エピローグ

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 ジールが扉を開けると赤髪の少女が立っていた。
 立ち姿には気品があり、まるで赤い薔薇がそこに咲いているようだ。

「初めまして、ルディ様。そして、エイリア様。わたくしは、リゼーラ=ライディアと申します」

 カーテシーをする姿も優雅であり、部屋にいる者全ての視線が少女に集まった。

 スッと顔を上げたリゼーラが、ジールの父親へと歩み寄る。

「お義父様、部屋の外まで聞こえていましたけど…わたくしのジール様では、後を任せられないと言うことでしょうか?」
「リ、リゼーラ嬢…」
「ジール様に聞きましたわ。ヤンジッチ様に余計な戯言を吹き込んだそうですね。そのような者がライディア家の当主補佐をしていて、良いとお思いですの?…意味、分かりますわよね?」

 リゼーラに気圧けおされ、ジールの父親が肩を落とした。

「…わかった、後はジールに任せる」
「ありがとうございます、お義父様」

「父上は、母上と娘のように可愛がっているリゼーラに頭が上がらないのですよ」

 ルディとエイリアにジールが呟いた。
 本当の事だろう。先ほどまでの事が、嘘のようにジールの父親が大人しい。

「これで今後、父上は口出ししてこないでしょう」
「そのためにあの子を呼んだのか」
「…まぁ、渋々ですけどね。彼女を人前に出すのは嫌なんですよ」

 話が終わったのか、リゼーラが近づいてきた。
 ジールの隣に寄り添い、ルディ達に深々と頭を下げる。

「ルディ様。跡継ぎとして、わたくし達の子供をご指名下さり、光栄至極に存じます」
「わたくし達?では、貴女がジールの伴侶か」
「はい。ジール様には、以前から跡継ぎの話を聞いていたので、お会いしたかったのですが――」

「私が、会わせなかったんですよ。ルディ様であろうと、リゼーラが誰かに笑いかけるのが許せないので…貴女の微笑みは、私だけのモノなのだから」

 見つめながら、ジールがリゼーラの頬を撫でた。
 甘い言葉にリゼーラの顔は、真っ赤になっている。

 普段目にすることがないジールの溺愛っぷりに、ルディとエイリアは目のやり場に困り果てた。

「…そういえば、警戒していたのですが、エイリア君からあの匂いがしなくなりましたね」
「あれは、俺のちからで抑えている。あんな狂わせる匂いを放置するわけないだろう。それに他の者に自分の伴侶の匂いを嗅がせたくない…ジールなら分かるだろう?」
「はい、もちろん分かります」

 何かに共感した二人が頷いた。

「僕には、分からないんだけど…」
「エイリア様」

 話しかけてきたリゼーラが、エイリアの手を握った。

「私の家系は、必ず赤髪が産まれますので、何も心配なさらないで下さい。ルディ様の伴侶であるエイリア様は、ライディア家がお守りいたします。今後エイリア様を侮辱する者は、わたくしが叩きのめしますわ」

「え…カッコいい」

 ボソッと呟いたエイリアの言葉に、ルディとジールが慌てて二人を引き離す。

「リゼーラ、父上、そろそろ帰りましょうか」

 サッとリゼーラの手を取り、部屋を出るようにジールが促す。

「エイリア様、お互いに好きな方と伴侶になれてよかったですわね」

 そう言い残し、リゼーラはジール達と共に嵐のように去っていった。

「…僕って、ルディのこと好きだったの?」
「は?」

 エイリアの爆弾発言に、ルディの顔が強張った。

「なんてね、嘘だよ。うわっ!なんて、顔してるの!?」

 絶望した顔で、今にも倒れそうなルディに驚き、エイリアが後ろへと一歩下がる。

「ル、ルディ!嘘だってば」
「…心配にもなる。まだ一度もエイリアから好きだと言われてないからな」
「言ってない?」
「言ってない」

 抱かれている最中に一回くらい言わなかったかな?なんて思いつつ、ルディの両手を握り締めた。

「好きだよ、ルディード。僕のことは好き?」
「好きに決まっている!どれほどお前を伴侶にしたかったことか」

 エイリアを抱き寄せ、今までの想いをぶつけるかのように抱きしめた。

「…リゼーラ嬢に惚れるなよ。許さないからな」
「何それ、惚れないよ」

 よくわからない嫉妬を見せるルディにエイリアは、「ふふっ」と笑ってしまった。

「だって、僕の伴侶はルディでしょ?」
「わかっているなら、いい」

 エイリアの顎を掴み、ルディが優しくキスをする。

「今さら伴侶が嫌などどは言わせないからな」
「言わないから」

「これからもずっと一緒にいようね」

 幼馴染みでもなく、従者でもない。
 生涯の伴侶として、一緒にいられる喜びにエイリアが嬉しそうに笑った。



【完】
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