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#75 禁書①
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少年が私を導いたのは、地下への階段を下ったところにある、分厚い扉の向こうだった。
2階分の高さのあるその部屋は、3面を見上げるほどの書架に囲まれていた。
書架には豪華な装丁のハードカバーがずらりと並び、書庫特有の埃っぽい匂いがあたりに漂っている。
「ここで待ってて」
私をマホガニー製の古びたテーブルにまで案内すると、少年は薄暗い書架の迷路に姿を消した。
「いい加減、教えなさい」
そのすきにと思い、私は胸の谷間からリリスをつまみ出し、テーブルの上に乗せ、首根っこを押さえつけた。
「いたたた! お放しください! 言います、言いますから!」
短い手足をじたばたさせて、ハツカネズミが悲鳴を上げた。
「あんた、あのダーク=トルストイとぐるだったんでしょ? 彼に頼まれて、私を召喚した。そういうことね?」
「え、ええ、まあ。それしか、すべがなかったんです。”M”からこの世界を救うには」
「はあ?」
「”M”は明らかにあなたの世界との親和性が高い。特に、日本という島国と。理由は、今、わかります」
「ごめん。待たせたね」
そこに、一冊の本を抱えて、少年が戻ってきた。
中世の学者みたいなローブが、その整った顔立ちによく似合っている。
「これを、読んでくれないか。向こうの世界の住人である君なら、この文字が読めるはずだ」
少年が机の上に置いたのは、表紙のない文庫本である。
目次も破れていて、作者名どころか、タイトルすらもわからない。
「一部は翻訳できたのだが、この作者、造語が多くてね、僕らではすべて解読するのは無理なんだ」
「日本語の、本…?」
私はその分厚い文庫本を取り上げた。
その瞬間、なんだかそのずしりとした重みに覚えがあるような気がした。
「これ…詩集だね」
最初のページに目を落として、私はつぶやいた。
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「いい加減、教えなさい」
そのすきにと思い、私は胸の谷間からリリスをつまみ出し、テーブルの上に乗せ、首根っこを押さえつけた。
「いたたた! お放しください! 言います、言いますから!」
短い手足をじたばたさせて、ハツカネズミが悲鳴を上げた。
「あんた、あのダーク=トルストイとぐるだったんでしょ? 彼に頼まれて、私を召喚した。そういうことね?」
「え、ええ、まあ。それしか、すべがなかったんです。”M”からこの世界を救うには」
「はあ?」
「”M”は明らかにあなたの世界との親和性が高い。特に、日本という島国と。理由は、今、わかります」
「ごめん。待たせたね」
そこに、一冊の本を抱えて、少年が戻ってきた。
中世の学者みたいなローブが、その整った顔立ちによく似合っている。
「これを、読んでくれないか。向こうの世界の住人である君なら、この文字が読めるはずだ」
少年が机の上に置いたのは、表紙のない文庫本である。
目次も破れていて、作者名どころか、タイトルすらもわからない。
「一部は翻訳できたのだが、この作者、造語が多くてね、僕らではすべて解読するのは無理なんだ」
「日本語の、本…?」
私はその分厚い文庫本を取り上げた。
その瞬間、なんだかそのずしりとした重みに覚えがあるような気がした。
「これ…詩集だね」
最初のページに目を落として、私はつぶやいた。
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