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第9部 倒錯のイグニス
#52 秘策
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家に帰って着替えていると、電話が鳴った。
セーターに腕を通しながら受話器を取ると、メリハリの効いた声が聞こえてきた。
ルナである。
「あのさ、いずなのことなんだけど」
「いずなちゃんが、どうしたの?」
「きのうまでは順調に回復してたと思ったんだけどさ、さっき学校から帰って様子見てみたら」
「具合、悪いの?」
「ああ。熱もあって、苦しんでる。内臓に損傷があるのかもしれない。それを放置しておいたのがまずかったか」
いずなは拉致事件の時、変異外来種の6本の脚で、両方のわき腹を突き刺されている。
そのうちの何本かが、内臓に到達していたとしても、不思議はない。
「それで、杏里、おまえに治癒してもらえないかと思って。重人にも聞いている。おまえの治癒力はすごいって。現にいずなと同じ目に遭ったのに、おまえはもう平気なわけだろう? 他のタナトスと比べても、桁違いのヒーラーじゃないか」
「やってみてもいいけれど」
受話器に向かって、杏里はうなずいた。
「うまくいくって保証はないよ」
「いや、きっと大丈夫だ。いずなもおまえに会いたがってるし、会ってやるだけでもプラスになるはずだ」
「わかった。準備ができたらすぐ行くから。ちょっと待っててね」
電話を切ると、杏里は湯船にお湯を溜め始めた。
他人に治癒を施すには、当然のことながら、杏里自身が性的に興奮する必要がある。
それにはまず、いずなと肌を合わせることが必須条件になる。
だが、相手が重病人の場合、愛撫をもらうのは難しい。
理想は、最初から興奮状態で治癒に臨むことである。
苦しんでいるいずなを前に、オナニーで自分を高めるという方法もあるにはあるが、それはあまりにも滑稽で、気分も乗らないだろうから、それこそうまくいく保証はない。
湯船にお湯が十分溜まったのを確認すると、杏里はてっとり早く全裸になって、肩まで身を沈めた。
タオルで身体をぬぐいながら、じっくりと考えてみる。
これって、ひょっとしたら、レスリングも同じでは?
ふと、そんな考えが脳裏をよぎった。
最初から自分を興奮状態にして全身を防護液で濡らしておけば、そもそも技を決められることもないのである。
きょうの練習にしても、そうだ。
小百合のキャメルクラッチや恥ずかし固めから抜け出すのに時間がかかったのは、防護液が全身に行き渡るまでにタイムラグがあったせいなのだ。
防御機能が働くのが早ければ早いほど、レスリングの試合運びも楽になるはずだった。
「でも、どうすればいいのかしら…?」
お湯で顔を洗い、ぽつんとそうひとりごちた時、ふいに以前の事例をいくつか思い出して杏里は赤面した。
美里のリング。
ヤチカの媚薬、そしてローター。
リングと媚薬は手元にないが、ローターなら…。
かつてヤチカと蜜月状態だった頃、杏里はローターを装着したまま、外出させられたことがあった。
あの時も、媚薬を飲まされた時と同様、間断なく快感が押し寄せてきて、歩くのもままならなかったように思う。
それを再現すればいい。
もちろん、抵抗はある。
いくら杏里が性的に特化したタナトスでも、常時恍惚状態というのは疲れるし、さすがに恥ずかしい。
だが、今はそんなことを言っている場合ではないのだ。
風呂から上がると、身体を拭くのももどかしく、杏里は自室へと急いだ。
衣装ダンスの一番下の引き出しを開けると、セクシーな下着の奥に、杏里の宝袋があった。
最近使ってないけど、確かここにしまってあったはず。
蓋を開けると、忘れていた玩具がほかにも色々入っていた。
通販で買ったものもあれば、ヤチカにもらったものもある。
吸盤付きの乳首用ローターは、間違いなく後者だろう。
迷った末、オーソドックスな小型ローターを使うことにした。
これなら、電池ボックスを太腿の内側に貼りつけるだけの手間で、装着したまま外を歩けるからである。
全裸で三面鏡の前の椅子に座り、少しずつ股を開いていく。
校長の言っていた動画も、こんな感じで演じればいいのだろうか。
やがてローターの電源が入る音に続いて、杏里の甘ったるい喘ぎ声が、見えない波紋となってゆっくりと部屋の中に広がり始めた。
セーターに腕を通しながら受話器を取ると、メリハリの効いた声が聞こえてきた。
ルナである。
「あのさ、いずなのことなんだけど」
「いずなちゃんが、どうしたの?」
「きのうまでは順調に回復してたと思ったんだけどさ、さっき学校から帰って様子見てみたら」
「具合、悪いの?」
「ああ。熱もあって、苦しんでる。内臓に損傷があるのかもしれない。それを放置しておいたのがまずかったか」
いずなは拉致事件の時、変異外来種の6本の脚で、両方のわき腹を突き刺されている。
そのうちの何本かが、内臓に到達していたとしても、不思議はない。
「それで、杏里、おまえに治癒してもらえないかと思って。重人にも聞いている。おまえの治癒力はすごいって。現にいずなと同じ目に遭ったのに、おまえはもう平気なわけだろう? 他のタナトスと比べても、桁違いのヒーラーじゃないか」
「やってみてもいいけれど」
受話器に向かって、杏里はうなずいた。
「うまくいくって保証はないよ」
「いや、きっと大丈夫だ。いずなもおまえに会いたがってるし、会ってやるだけでもプラスになるはずだ」
「わかった。準備ができたらすぐ行くから。ちょっと待っててね」
電話を切ると、杏里は湯船にお湯を溜め始めた。
他人に治癒を施すには、当然のことながら、杏里自身が性的に興奮する必要がある。
それにはまず、いずなと肌を合わせることが必須条件になる。
だが、相手が重病人の場合、愛撫をもらうのは難しい。
理想は、最初から興奮状態で治癒に臨むことである。
苦しんでいるいずなを前に、オナニーで自分を高めるという方法もあるにはあるが、それはあまりにも滑稽で、気分も乗らないだろうから、それこそうまくいく保証はない。
湯船にお湯が十分溜まったのを確認すると、杏里はてっとり早く全裸になって、肩まで身を沈めた。
タオルで身体をぬぐいながら、じっくりと考えてみる。
これって、ひょっとしたら、レスリングも同じでは?
ふと、そんな考えが脳裏をよぎった。
最初から自分を興奮状態にして全身を防護液で濡らしておけば、そもそも技を決められることもないのである。
きょうの練習にしても、そうだ。
小百合のキャメルクラッチや恥ずかし固めから抜け出すのに時間がかかったのは、防護液が全身に行き渡るまでにタイムラグがあったせいなのだ。
防御機能が働くのが早ければ早いほど、レスリングの試合運びも楽になるはずだった。
「でも、どうすればいいのかしら…?」
お湯で顔を洗い、ぽつんとそうひとりごちた時、ふいに以前の事例をいくつか思い出して杏里は赤面した。
美里のリング。
ヤチカの媚薬、そしてローター。
リングと媚薬は手元にないが、ローターなら…。
かつてヤチカと蜜月状態だった頃、杏里はローターを装着したまま、外出させられたことがあった。
あの時も、媚薬を飲まされた時と同様、間断なく快感が押し寄せてきて、歩くのもままならなかったように思う。
それを再現すればいい。
もちろん、抵抗はある。
いくら杏里が性的に特化したタナトスでも、常時恍惚状態というのは疲れるし、さすがに恥ずかしい。
だが、今はそんなことを言っている場合ではないのだ。
風呂から上がると、身体を拭くのももどかしく、杏里は自室へと急いだ。
衣装ダンスの一番下の引き出しを開けると、セクシーな下着の奥に、杏里の宝袋があった。
最近使ってないけど、確かここにしまってあったはず。
蓋を開けると、忘れていた玩具がほかにも色々入っていた。
通販で買ったものもあれば、ヤチカにもらったものもある。
吸盤付きの乳首用ローターは、間違いなく後者だろう。
迷った末、オーソドックスな小型ローターを使うことにした。
これなら、電池ボックスを太腿の内側に貼りつけるだけの手間で、装着したまま外を歩けるからである。
全裸で三面鏡の前の椅子に座り、少しずつ股を開いていく。
校長の言っていた動画も、こんな感じで演じればいいのだろうか。
やがてローターの電源が入る音に続いて、杏里の甘ったるい喘ぎ声が、見えない波紋となってゆっくりと部屋の中に広がり始めた。
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