93 / 463
第9部 倒錯のイグニス
#92 サイキック②
しおりを挟む
煙草を吸っていない時、井沢は多くの場合、飴を舐めるか、ガムを噛んでいる。
そうでもしないと、口の中が寂しくてならないからだ。
今もミルク味ののど飴を舌の上で転がしながら、ふとこれが杏里の乳首だったら、と井沢は妄想した。
以前読んだ小説に、殺した女の乳首を持ち運び、ポケットの中でいじるのが趣味、というサイコパスをサブキャラにした優れものがあった。
あの男と同じように、つねに杏里の硬い乳首を口に含んだままでいられたら…。
そんな妄想に囚われながら、椅子に縛られてすすり泣く全裸のヤチカを眺めていると、腰をくの字に折った真布が、杖でバランスを取りながら、のそのそと部屋に入ってきた。
「今、連絡が入った。杏里たちが、ヤチカの屋敷に向かっておるそうじゃ。あのルナとかいう新米のパトスも一緒らしい。どうだ? 少し茶々を入れてみんかね?」
「俺の出番?」
その声に、ソファに横たわってコミックを読みふけっていた百足丸が顔を上げた。
「いや。おまえはまだだ」
井沢はかぶりを振った。
「”最終兵器”が、そんなにほいほい敵に正体をさらしてどうするんだ」
「そうか」
苦笑して、またコミックに戻る百足丸。
「ルナの力を試すいい機会かもしれませんね」
真布に座り心地のいい椅子をすすめると、丁寧な口調に戻って、井沢は言った。
「幸い、変異種のストックはある。どうせ殺処分にする予定のやつらですからね」
「じゃが、それも、元はと言えば、あんたらの仲間じゃろう」
真布が呆れたように言った。
「ヒトラーは劣等種の人間にすぎませんが、彼の優生学には見るべきものがある。我々は、種の発展のために、純血を守らねばならないのです」
「まあ、あんたがそう言うのなら、止めはせぬが…。ヤチカの屋敷はここから近い。なんなら車を出してやろう」
「ありがたい。恩にきます」
井沢は深々と頭を下げた。
杏里についた新しいパトスは、目撃証言によると、日本人と白人のハーフだという。
それも、輝くばかりのブロンドの髪をした、日本人離れした美少女らしい。
ヤチカの屋敷は、当然、真布のドールズ・ネットワーク網に組み入れられている。
今回は、杏里だけでなく、そのニューフェイスの素顔も拝めそうだ。
「一緒に来るかい? 瞑想室に」
真布が言った。
「首尾をその目で見たいだろう?」
「お願いします」
神妙に、井沢は答えた。
人間ではあるが、年輪を刻んでいるだけあって、真布は賢いし、役に立つ。
少なくとも、杏里を完全に手に入れるまでは、このまま共闘関係を続けるべきだろう。
そう。
俺が、飴玉の代わりに、切り取った杏里の乳首を、この口で舐められるようになるまでは…。
そうでもしないと、口の中が寂しくてならないからだ。
今もミルク味ののど飴を舌の上で転がしながら、ふとこれが杏里の乳首だったら、と井沢は妄想した。
以前読んだ小説に、殺した女の乳首を持ち運び、ポケットの中でいじるのが趣味、というサイコパスをサブキャラにした優れものがあった。
あの男と同じように、つねに杏里の硬い乳首を口に含んだままでいられたら…。
そんな妄想に囚われながら、椅子に縛られてすすり泣く全裸のヤチカを眺めていると、腰をくの字に折った真布が、杖でバランスを取りながら、のそのそと部屋に入ってきた。
「今、連絡が入った。杏里たちが、ヤチカの屋敷に向かっておるそうじゃ。あのルナとかいう新米のパトスも一緒らしい。どうだ? 少し茶々を入れてみんかね?」
「俺の出番?」
その声に、ソファに横たわってコミックを読みふけっていた百足丸が顔を上げた。
「いや。おまえはまだだ」
井沢はかぶりを振った。
「”最終兵器”が、そんなにほいほい敵に正体をさらしてどうするんだ」
「そうか」
苦笑して、またコミックに戻る百足丸。
「ルナの力を試すいい機会かもしれませんね」
真布に座り心地のいい椅子をすすめると、丁寧な口調に戻って、井沢は言った。
「幸い、変異種のストックはある。どうせ殺処分にする予定のやつらですからね」
「じゃが、それも、元はと言えば、あんたらの仲間じゃろう」
真布が呆れたように言った。
「ヒトラーは劣等種の人間にすぎませんが、彼の優生学には見るべきものがある。我々は、種の発展のために、純血を守らねばならないのです」
「まあ、あんたがそう言うのなら、止めはせぬが…。ヤチカの屋敷はここから近い。なんなら車を出してやろう」
「ありがたい。恩にきます」
井沢は深々と頭を下げた。
杏里についた新しいパトスは、目撃証言によると、日本人と白人のハーフだという。
それも、輝くばかりのブロンドの髪をした、日本人離れした美少女らしい。
ヤチカの屋敷は、当然、真布のドールズ・ネットワーク網に組み入れられている。
今回は、杏里だけでなく、そのニューフェイスの素顔も拝めそうだ。
「一緒に来るかい? 瞑想室に」
真布が言った。
「首尾をその目で見たいだろう?」
「お願いします」
神妙に、井沢は答えた。
人間ではあるが、年輪を刻んでいるだけあって、真布は賢いし、役に立つ。
少なくとも、杏里を完全に手に入れるまでは、このまま共闘関係を続けるべきだろう。
そう。
俺が、飴玉の代わりに、切り取った杏里の乳首を、この口で舐められるようになるまでは…。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
女子切腹同好会
しんいち
ホラー
どこにでもいるような平凡な女の子である新瀬有香は、学校説明会で出会った超絶美人生徒会長に憧れて私立の女子高に入学した。そこで彼女を待っていたのは、オゾマシイ運命。彼女も決して正常とは言えない思考に染まってゆき、流されていってしまう…。
はたして、彼女の行き着く先は・・・。
この話は、切腹場面等、流血を含む残酷シーンがあります。御注意ください。
また・・・。登場人物は、だれもかれも皆、イカレテいます。イカレタ者どものイカレタ話です。決して、マネしてはいけません。
マネしてはいけないのですが……。案外、あなたの近くにも、似たような話があるのかも。
世の中には、知らなくて良いコト…知ってはいけないコト…が、存在するのですよ。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる