激甚のタナトス ~世界でおまえが生きる意味について~【激闘編】

戸影絵麻

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第9部 倒錯のイグニス

#125 女王覚醒③

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 むき出しにされた零の股間は、百足丸の想像を超える美しさだった。
 産毛すらも生えていないつるりとした内股。
 その真ん中に、縦に伸びたスリットが閉じている。
 スリットのへりにあたる大陰唇は、メラニン色素の沈着がほとんど見られず、綺麗な薄紅色をしている。
 なまじ足が長いだけに、その最深部にある秘所は少し影になり、ひどく秘密めいた淫靡さを醸し出していた。
 椅子の奥行きが深いため、零は心持ち陰部を斜め上に向けた姿勢を取らされている。
 だから、性器からアヌスへと続く会陰部が、百足丸の眼にもはっきりと見えた。
 そのつるりとした皮膚の内側で、おぼろげな光の輪がゆっくりと回転している。
 光の輪は、淡い金色を帯びているようだ。
 第1のチャクラ。
 ムーラーダーラ・チャクラである。
 百足丸には、生まれつき、人間のチャクラが見える。
 身体に7つある、”気”の流入孔だ。
 ヨガの業者やスピリチュアル系のメンターたちは、チャクラこそ、宇宙エネルギーの取り入れ口だという。
 が、百足丸にとって、そんな理屈はどうでもよかった。
 人間の躰は、生命の樹だ。
 そしてチャクラは、その生命を活性化させるために、どこからか”気”のエネルギーを取り入れている。
 それだけわかれば十分なのだ。
 今、百足丸が、零の会陰部に注意を向けているのには、理由があった。
 会陰部にあるこの第1のチャクラと、陰部にある第2のチャクラ、三日月形のスワーディシュターナ・チャクラこそが、性感帯を活性化させる鍵なのだ。
 零は椅子の背もたれに身体をあずけたまま、眼を閉じてじっとしている。
 いつのまにか眠ってしまったらしく、規則正しい呼吸に合わせて、滑らかな下腹が静かに上下している。
 百足丸はしばらく待った。
 辛抱強く待ち、零が起きてこないのを確認すると、目の高さに右手を持ち上げた。
 軽く2、3度、手首を振ってやる。
 振るたびに、人差し指の爪が伸びていく。
 伸びるに従い、先が針のように細くなる。
 10秒も経たぬうちに、注射針ほどの長さになった。
 左手で零の内腿のくぼみを押さえ、股の間に慎重に首を突っ込んでいく。
 ぷっくりと膨らんだ恥丘の向こう側、会陰部へと指の鍼を近づけていった。
 陶磁器のように白い肌の奥で、おぼろげな光が回っている。
 黄金色に輝く、六角形の回転体である。
 その中央に、ぶすりと鍼を突き立てた。
 と、ふいに零の青白い太腿に、さざ波のような震えが走った。
 はっとして顔を上げると、平らな下腹と小ぶりな双丘の向こうに、零の顔が見えた。
 零は目を見開いていた。
 それだけでなく、薄く口を開いて、ぼんやりと天井を見上げている。
 心ここにあらずといった雰囲気で、正気に返った気配はなかった。
 思い切って、更に鍼を奥まで突き入れた。
 百足丸の鍼は注射針より細い。
 だから、一滴の血も、漏らすことはない。
 鍼が中心にまで届くと、心なしか、チャクラの回転が速くなったように見えた。
 恥丘の間のスリットの縁に、朝露のような透明なしずくがいくつか湧き出ている。
 だが、まだ唇は硬く閉じたままだ。
 やはり、これだけでは、無理か。
 第2のチャクラを回さなければ、ここは容易に開かないようだ。
 なかなかの難問だった。
 第2のチャクラの位置は、膣の中。
 ちょうどGスポットと反対側の壁にある。
 チャクラ自体が、脊椎に沿って開いているからである。
 膣の中に鍼を挿入するには、まずこの唇を開かなければならない。
 だが、唇を開くためには、その前に第2のチャクラを刺激してやる必要があるのだ。
「卵か先か、鶏が先か、ってやつだな。いや、ちと違うか」
 百足丸は左手の甲で額の汗を拭った。
 ズボンの前が、いつのまにやら、石のように固くなっている。
 百足丸は、いつになく興奮している己自身に気づいていた。
 くそ。
 こうなったら、力ずくででも開かせてやるまでだ。
 右手の鍼を会陰部に打ち込んだまま、左手を秘裂の上に乗せる。
 指先で露をすくい取り、割れ目に沿ってそうっと伸ばしていった。
「く…」
 零が喉の奥であえぎ、かすかに腰を浮かせるのがわかった。


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