激甚のタナトス ~世界でおまえが生きる意味について~【激闘編】

戸影絵麻

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第9部 倒錯のイグニス

#140 女王雌豚化計画②

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「食事に弱い下剤を混ぜておいたから、直腸内は綺麗なはずだ。ま、アナルセックスするわけじゃないから、そこまで神経質になる必要もないかもしれないが」
 いったん、ベッドサイドのテーブルに肛門鏡を置き、ローションの容器を右手に持ち替えた百足丸に向かって、井沢が言った。
「いや、助かるよ。排泄物が残っていては、作業がすすまないからな」
 容器の蓋をはずし、左手にローションをすくいとる。
 肛門は膣に比べて、そんなにも摩擦に強くない。
 肛門鏡の挿入で損傷しないとも限らない。
 しかも、入り口付近は神経が集中しているから、痛みを感じやすいのだ。
 準備を済ませると、百足丸は改めて零の尻に向き直った。
 白磁のトルソのような美しい形をしている。
 つかむと、瑞々しい弾力が手のひらを押し返してきた。
 そのふたつの肉を、両手で慎重に割っていく。
 真っ白な肉桃の間に隠されていた、小さな菊の花のかたちをした穴が現れる。
 穴の下には会陰部が続き、その向こうにしっかりと唇を閉じた秘裂が見えた。
 井沢の催眠術が効いているのか、零は抵抗しなかった。
 ベッドの上に両膝と両手を突き、百足丸に見せつけるように心持ち高めに尻を掲げている。
 ここからが正念場だった。
 余計な痛みを与えて零を怒らせるのだけは、どうしても避けなければならない。
 百足丸は気を落ちつけるように深呼吸すると、ぐっと零の尻の割れ目に顔を近づけ、肛門周辺に左手の人差し指でローションを塗り始めた。
 零は何をされているのかわかっていないのか、何の反応も示さない。
 百足丸にとっては好都合だが、その沈黙は少し不気味でもあった。
 周りを塗り終え、いよいよ次は内部である。
 念のために、もう一度、第1のチャクラを回しておくことにした。
 百足丸の右手の人差し指の爪は、いつでも使えるように、すでに鍼灸の針の形状に変わっている。
 その細く尖った先端を、肛門の下から膣にかけて続いている会陰部に近づけていく。
 ぼんやりと光の輪が透けて見えるのが、性に関係する第1のチャクラである。
 以前活性化しておいたせいで、チャクラは皮膚の奥でゆっくりと回っている。
 その中心に向けてもう一度鍼をひと突きすると、心なしか回転が速くなったようだった。
 これでよし。
 性感帯が少しでも活性化すれば、多少の違和感も零には快感に感じられてくるに違いない。
 手の甲で、またにじむ額の脂汗を拭い、百足丸は左手の指にローションをまぶした。
 おそるおそるといった感じで、零の肛門にその指先を近づけていく。
 いきなり金属製の肛門鏡を挿入するのは、得策ではなかった。
 ここは、少し指の愛撫で馴らしておかなければ…。
 肛門の縁に沿って、じっくりとローションを塗り込んでいく。
 もちろん、ただのローションではない。
 媚薬成分をたっぷり含んだ、狭量な催淫剤である。
 肛門は、外側の括約筋と内側の括約筋の2層に守られている。
 まず、随意筋である外側の筋肉を麻痺させる必要があるのだ。
 最初のうち、きつくて指先すらも入らなかった零の肛門だったが、愛撫を続けていると、次第に蕾がほころびるようにやわらかくなってきた。
 それに勇気を得て、百足丸は内部に人差し指をじわひわと挿入していった。
「ああ…」
 零の裸身がかすかにうねり、吐息のような声が百足丸の耳朶を打つ。
 そろそろだ。
 指を引き抜くと、ローションの容器の代わりに、肛門鏡を手にとった。
 最大の関門が、この作業だ。
 器具のくちばしの部分を、わずかに開いた肛門にさし入れる。
 取っ手を握り、少しずつ力を入れていく。
 器具のくちばしが、括約筋を押し開き始めた。
 綺麗なピンクの直腸内が見えてくる。
「ううん…」
 またしても、零がうめいた。
 今度は、長く尾を引くようなうめき声だった。
 今や零の肛門は器具に押し広げられ、10円玉ほどの大きさに広がってしまっている。
 百足丸は、そこで手を止めた。
 このぐらいで、十分だろう。
 あとは、その穴から鍼を差し込んで、直腸の腹側の壁から第2のチャクラを刺激するだけである。
 そこはちょうど、膣内に飛び出た子宮の裏側にあたり、女性の性感帯とも重なっている。
 成功すれば、いくら頑なな零でも、肉体を開くはずだった。
「行くぞ」
 己を鼓舞するようにそうつぶやくと、百足丸は、左手で肛門鏡を支え、鍼と化した右手の人差し指をそっと零のむき出しの肛門に挿入していった。

 

 

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