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第9部 倒錯のイグニス
#163 偵察⑤
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ピンクで統一された、少女趣味の部屋である。
いや、少女とはこうあるべきだという男性側の視点からデザインされた、ある意味、醜悪極まりない部屋だ。
が、最初は鼻についてならなかったその雰囲気も、井沢の調教を受け続けているうちに、いつしか気にならなくなってしまった。
ヤチカは、薄物をまとっただけの裸体で、ベッドの上に仰臥した人形の腰にまたがっている。
ぱっちりと見開いた眼。
少し小生意気な小さな鼻。
ぽってりとした唇。
その人形の顔は、かつてヤチカが愛した少女に瓜ふたつだった。
人形といえども、ヤチカが今組み敷いているのは、最新技術を駆使して製作された高性能ラブドールだ。
肌の質感も、乳房のやわらかさも、性器の濡れ具合も、ほとんどオリジナルと遜色がない。
ただ違うところといえば、彼女が口をきかないことと、自分からは身体を動かさないこと。
それだけである。
ヤチカは熱心にその少女型ラブドールの胸の肉を手のひらでこねまわしている。
バストのサイズも形も手触りも、驚くほどの再現度だ。
仰臥してすらも張りを失わないその豊かな乳房を弄びながら、ゆっくり腰を振って陰部を少女の下腹にこすりつけていると、潜在意識の底から名状しがたい快感が込み上げてきて、ヤチカはうめいた。
甘酸っぱい喪失感が伴った、痺れるような疼き。
そのさざ波のような感覚があまりに懐かしくて、目尻に涙がにじんでくるのがわかった。
少女の顔に唇を近づけ、貪るようにその口を吸った。
ラブドールには当然のことながら、オリジナルそっくりの舌が備わっている。
その舌に己の舌を絡めて口の外に引きずり出すと、唇で強く挟んで吸ってやる。
ヤチカの遠い記憶の中で、少女が濡れたような眼を見開き、甘い吐息を漏らした。
杏里、ちゃん…。
気がつくと、両手で自分の乳房を搾り上げ、故意に尖らせた乳首を人形の乳首に押しつけていた。
乳首で乳首を弾き合う。
乳頭と乳頭を合わせて、徐々に身体を密着させていく。
お互いの乳輪の中にじりじり乳首がめりこんでいく。
乳輪同士がぴたりと合わさるまで胸と胸を密着させると、たまらない刺激がやってきた。
「杏里…好き…」
思わず声に出して名を呼んだ時だった。
ノックもなくいきなりドアが開いて、中肉中背の男が戸口に立った。
井沢だった。
いつものようにサングラスをかけているため、表情までは読み取れない。
まだ調教の時間ではないはずなのに…。
一瞬、ひやりとした。
気づかれた…?
まさか、と思う。
最近、覚醒している時間が長くなってきている。
ヤチカ自身、何度も術を施されているうちに、井沢のマインドコントロールに対して耐性ができ始めているようなのだ。
が、それが取り越し苦労だったことは、井沢の第一声で明らかになった。
「そんなにそのおもちゃが気に入ったか?」
ベッドの上で人形と抱き合うヤチカを一瞥し、次に部屋中をぐるりと見回すと、からかうような口調で井沢が言った。
ヤチカの部屋の中は、杏里人形でいっぱいである。
セーラー服姿の杏里、水着姿の杏里、下着姿の杏里、シースルーのネグリジェ姿の杏里…。
ある者は勉強机の前の椅子に座り、ある者はテレビの前の座椅子に座ってしどけなく足を投げ出し、ある者は無防備に股を開いてソファーに寝そべり…。
みんな、杏里と同じ顔を持ち、同じスリーサイズの肉体を備えている。
その中から日ごとに相手を選び、ヤチカは暇さえあれば愛の営みに耽るのだ。
やがてヤチカに視線を戻すと、井沢は予想外のことを口にした。
「そんなに杏里が忘れられないなら、いいニュースを聞かせてやろう。ちょっと早いが、本物に会ってみないか?
もっとも、何をしゃべってどんなしぐさをするか、それはすべてこちらでプログラムさせてもらうがね」
ヤチカは凍りついた。
杏里に、会える…?
頭の中が、急速にクリアになっていくのがわかった。
そこだけ陽が射したような懐かしい少女の笑顔が、一瞬脳裡に去来した。
が、喜びを顔に出すわけにはいかなかった。
うなだれたまま、そっと目を閉じた。
涙が一筋その頬を伝い、物言わぬ人形の裸の胸に染みをつくった。
いや、少女とはこうあるべきだという男性側の視点からデザインされた、ある意味、醜悪極まりない部屋だ。
が、最初は鼻についてならなかったその雰囲気も、井沢の調教を受け続けているうちに、いつしか気にならなくなってしまった。
ヤチカは、薄物をまとっただけの裸体で、ベッドの上に仰臥した人形の腰にまたがっている。
ぱっちりと見開いた眼。
少し小生意気な小さな鼻。
ぽってりとした唇。
その人形の顔は、かつてヤチカが愛した少女に瓜ふたつだった。
人形といえども、ヤチカが今組み敷いているのは、最新技術を駆使して製作された高性能ラブドールだ。
肌の質感も、乳房のやわらかさも、性器の濡れ具合も、ほとんどオリジナルと遜色がない。
ただ違うところといえば、彼女が口をきかないことと、自分からは身体を動かさないこと。
それだけである。
ヤチカは熱心にその少女型ラブドールの胸の肉を手のひらでこねまわしている。
バストのサイズも形も手触りも、驚くほどの再現度だ。
仰臥してすらも張りを失わないその豊かな乳房を弄びながら、ゆっくり腰を振って陰部を少女の下腹にこすりつけていると、潜在意識の底から名状しがたい快感が込み上げてきて、ヤチカはうめいた。
甘酸っぱい喪失感が伴った、痺れるような疼き。
そのさざ波のような感覚があまりに懐かしくて、目尻に涙がにじんでくるのがわかった。
少女の顔に唇を近づけ、貪るようにその口を吸った。
ラブドールには当然のことながら、オリジナルそっくりの舌が備わっている。
その舌に己の舌を絡めて口の外に引きずり出すと、唇で強く挟んで吸ってやる。
ヤチカの遠い記憶の中で、少女が濡れたような眼を見開き、甘い吐息を漏らした。
杏里、ちゃん…。
気がつくと、両手で自分の乳房を搾り上げ、故意に尖らせた乳首を人形の乳首に押しつけていた。
乳首で乳首を弾き合う。
乳頭と乳頭を合わせて、徐々に身体を密着させていく。
お互いの乳輪の中にじりじり乳首がめりこんでいく。
乳輪同士がぴたりと合わさるまで胸と胸を密着させると、たまらない刺激がやってきた。
「杏里…好き…」
思わず声に出して名を呼んだ時だった。
ノックもなくいきなりドアが開いて、中肉中背の男が戸口に立った。
井沢だった。
いつものようにサングラスをかけているため、表情までは読み取れない。
まだ調教の時間ではないはずなのに…。
一瞬、ひやりとした。
気づかれた…?
まさか、と思う。
最近、覚醒している時間が長くなってきている。
ヤチカ自身、何度も術を施されているうちに、井沢のマインドコントロールに対して耐性ができ始めているようなのだ。
が、それが取り越し苦労だったことは、井沢の第一声で明らかになった。
「そんなにそのおもちゃが気に入ったか?」
ベッドの上で人形と抱き合うヤチカを一瞥し、次に部屋中をぐるりと見回すと、からかうような口調で井沢が言った。
ヤチカの部屋の中は、杏里人形でいっぱいである。
セーラー服姿の杏里、水着姿の杏里、下着姿の杏里、シースルーのネグリジェ姿の杏里…。
ある者は勉強机の前の椅子に座り、ある者はテレビの前の座椅子に座ってしどけなく足を投げ出し、ある者は無防備に股を開いてソファーに寝そべり…。
みんな、杏里と同じ顔を持ち、同じスリーサイズの肉体を備えている。
その中から日ごとに相手を選び、ヤチカは暇さえあれば愛の営みに耽るのだ。
やがてヤチカに視線を戻すと、井沢は予想外のことを口にした。
「そんなに杏里が忘れられないなら、いいニュースを聞かせてやろう。ちょっと早いが、本物に会ってみないか?
もっとも、何をしゃべってどんなしぐさをするか、それはすべてこちらでプログラムさせてもらうがね」
ヤチカは凍りついた。
杏里に、会える…?
頭の中が、急速にクリアになっていくのがわかった。
そこだけ陽が射したような懐かしい少女の笑顔が、一瞬脳裡に去来した。
が、喜びを顔に出すわけにはいかなかった。
うなだれたまま、そっと目を閉じた。
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