267 / 463
第9部 倒錯のイグニス
#267 恥辱まみれのセレモニー①
しおりを挟む
前原に導かれて奥のドアをくぐると、そこは狭い通路になっていて、その向こうが舞台裏だった。
「合図があるまで、ここで待機です」
舞台の袖で、前原がメンバーを押し留めた。
杏里が驚いたのは、舞台にプロレス仕様のリングが設置されていることだった。
天井から照りつける煌々たるライトの下、紅白戦の時同様の本格的なリングが出来上がっている。
100のパイプ椅子を並べた観客席はあらかた埋まっていて、壁際にはそれを取り囲むようにして等間隔で教師たちが立っている。
と、上手から、スーツ姿の大山が姿を現した。
「幸運なる選抜者の皆さん、さあ、オープニング・セレモニーの始まりです!」
観客席に向かって両手を掲げ、派手なジェスチュアーで声を張り上げる。
「本日のイベントに先立って、好評を博したレスリング部の紅白戦。あの激戦を再現したいと思います。では、レスリング部の諸君、こちらへ! 皆さんは、拍手でお迎えください!」
「出番だぞ」
いつのまにそこにいたのか、杏里の背中を押して凛子がささやいた。
よろめき出た杏里を、咲良の太い腕が抱えるようにして支え、リングに向かってドスドスと走り出す。
「おおっと、もう試合開始かあ?」
大山が叫んだ時には、杏里はすでにロープに向かって投げ飛ばされていた。
正面から激突し、勢い余ってロープを越え、前転するように頭からリング内に倒れ込んだ。
そこに、次々にロープを飛び越した部員たちが、我先にと群がってくる。
オラウータンのように長い手で、麻衣が杏里を引きずり起こす。
立ちあがったところを、反対側のロープに向かって投げられた。
前のめりにロープに突っ込み、反動で戻ってきたところを、アニスの足技につき転がされ、仰向けになる。
嫌というほど後頭部を打ち、もうろうとなった杏里の眼に、異様な光景が飛び込んできた。
目の前のコーナーポストの上に、ゴリラのような巨体がそびえ立っている。
ドレッドヘア―の、フランケンシュタインの怪物そっくりの顔をした大女だ。
「なんと! 元金メダリスト、小谷小百合先生の登場だあっ!」
大山のわざとらしい中継に、観客席から歓声が沸き起こった。
「せ、先生…?」
茫然と、杏里はつぶやいた。
落ちくぼんだ眼窩の底から、獣欲にくらんだ眼が仰向けに倒れた杏里を凝視している。
両手をムササビのように掲げると、その小百合の巨体が宙に浮いた。
黒い影が覆い被さり、次の瞬間、全身の骨が砕け散るようなすさまじい衝撃に、杏里は絶叫した。
「合図があるまで、ここで待機です」
舞台の袖で、前原がメンバーを押し留めた。
杏里が驚いたのは、舞台にプロレス仕様のリングが設置されていることだった。
天井から照りつける煌々たるライトの下、紅白戦の時同様の本格的なリングが出来上がっている。
100のパイプ椅子を並べた観客席はあらかた埋まっていて、壁際にはそれを取り囲むようにして等間隔で教師たちが立っている。
と、上手から、スーツ姿の大山が姿を現した。
「幸運なる選抜者の皆さん、さあ、オープニング・セレモニーの始まりです!」
観客席に向かって両手を掲げ、派手なジェスチュアーで声を張り上げる。
「本日のイベントに先立って、好評を博したレスリング部の紅白戦。あの激戦を再現したいと思います。では、レスリング部の諸君、こちらへ! 皆さんは、拍手でお迎えください!」
「出番だぞ」
いつのまにそこにいたのか、杏里の背中を押して凛子がささやいた。
よろめき出た杏里を、咲良の太い腕が抱えるようにして支え、リングに向かってドスドスと走り出す。
「おおっと、もう試合開始かあ?」
大山が叫んだ時には、杏里はすでにロープに向かって投げ飛ばされていた。
正面から激突し、勢い余ってロープを越え、前転するように頭からリング内に倒れ込んだ。
そこに、次々にロープを飛び越した部員たちが、我先にと群がってくる。
オラウータンのように長い手で、麻衣が杏里を引きずり起こす。
立ちあがったところを、反対側のロープに向かって投げられた。
前のめりにロープに突っ込み、反動で戻ってきたところを、アニスの足技につき転がされ、仰向けになる。
嫌というほど後頭部を打ち、もうろうとなった杏里の眼に、異様な光景が飛び込んできた。
目の前のコーナーポストの上に、ゴリラのような巨体がそびえ立っている。
ドレッドヘア―の、フランケンシュタインの怪物そっくりの顔をした大女だ。
「なんと! 元金メダリスト、小谷小百合先生の登場だあっ!」
大山のわざとらしい中継に、観客席から歓声が沸き起こった。
「せ、先生…?」
茫然と、杏里はつぶやいた。
落ちくぼんだ眼窩の底から、獣欲にくらんだ眼が仰向けに倒れた杏里を凝視している。
両手をムササビのように掲げると、その小百合の巨体が宙に浮いた。
黒い影が覆い被さり、次の瞬間、全身の骨が砕け散るようなすさまじい衝撃に、杏里は絶叫した。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
女子切腹同好会
しんいち
ホラー
どこにでもいるような平凡な女の子である新瀬有香は、学校説明会で出会った超絶美人生徒会長に憧れて私立の女子高に入学した。そこで彼女を待っていたのは、オゾマシイ運命。彼女も決して正常とは言えない思考に染まってゆき、流されていってしまう…。
はたして、彼女の行き着く先は・・・。
この話は、切腹場面等、流血を含む残酷シーンがあります。御注意ください。
また・・・。登場人物は、だれもかれも皆、イカレテいます。イカレタ者どものイカレタ話です。決して、マネしてはいけません。
マネしてはいけないのですが……。案外、あなたの近くにも、似たような話があるのかも。
世の中には、知らなくて良いコト…知ってはいけないコト…が、存在するのですよ。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる