激甚のタナトス ~世界でおまえが生きる意味について~【激闘編】

戸影絵麻

文字の大きさ
334 / 463
第9部 倒錯のイグニス

#334 ラストステージ⑨

しおりを挟む
 逆さになった杏里の視界いっぱいに、唯佳の怪物が迫ってくる。
 両腕の鎌が振り下ろされる瞬間、衝撃に備え、杏里は目を閉じた。
 どこまで耐え切れるか、自信はない。
 この身体の治癒能力に賭けるしかないと、そう思った。
 
 永遠に近い時間が過ぎたようだった。
 予期した衝撃は、いっこうにやってこなかった。
 代わりに杏里を襲ったのは、信じがたいことに、激烈な快感だった。
 薄目を開けた杏里は、そのわけを悟った。
 逆さ吊りにされ、ボンテージスーツの胸に開いた穴から突き出した杏里の乳房。
 怪物の鎌の先が、その頂で勃起したふたつの乳首にずぶりとめり込んでいる。
 乳頭のくぼみに鋭い先端を突き刺し、怪物はまるで愛撫でもするかのように、ゆっくりと鎌を動かしている。
 くうぅぅ…。
 痺れるような快感に、杏里の喉から喘ぎが漏れた。
 怪物の狙いは、どうやら杏里を惨殺することではないらしい。
 やがて、怪物の身体の上に乗った唯佳の口がぱっくりと開いて、中から長い蛭のような舌が伸び出した。
 螺旋を描いて伸びてきた舌が、杏里の股間にむき出しになった性器に接近する。
「唯佳、あなた、な、何を…?」
 言い終わらぬうちに、軟体動物のように冷たくざらついた舌が、秘裂を押し分け、ぬるり膣内に侵入する。
「あふっ!」
 Gスポットを突かれ、杏里は激しくのけぞった。
 その拍子に、膣の分泌腺からどくどくと淫汁があふれ出すのがわかった。
 さかんに分泌されるそのエキスを、先に穴の開いた唯佳の舌が、じゅるじゅると吸い始める。
 その分泌を促進するかのように、鎌の先端が杏里の乳頭に更に深くめり込んだ。
 恍惚感で全身の神経が麻痺してしまったかのようだった。
 動けない杏里めがけて、怪物の2対目の肢がクワガタの牙のように開き、そして閉じた。
 両の脇腹を串刺しにされ、がくんと杏里の身体が振動する。
 怪物の鎌と肢の先は、おそらくチューブ状になっているのだろう。
 乳頭と脇腹から、音を立てて体液と血液が吸い上げられていく。
「あああ…」
 あまりの愉悦に、杏里は身悶えた。
 それは、たとえていうなら、死の快楽だった。
 怪物は杏里の全身からすべての体液を吸い取り、木乃伊化しようとしているのだ。
 気持ち…いい…。
 杏里は喘いだ。
 力が、出ない。
 意識が、遠くなる。
 朦朧とした脳裏のスクリーンに、光り輝く扉が見えた。
 あの遠くの扉の向こうが、もしかして、天国なの…?
 ぼんやりとそんなことを思った時…。
 ふいに、どこかで重いものが吹き飛ぶ音がした。

 

 

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

処理中です...