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第10部 姦禁のリリス
#53 女王覚醒②
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意識が朦朧として、つい、杏里の肌に手を触れた時だった。
派手な音を立ててドアが開き、白衣の男たちが部屋になだれ込んできた。
「百足丸、まずい。零が隔離室から脱走した」
先頭に立っているのは、ひとりだけサファリジャケットにブルージーンズ姿の井沢である。
「なんだって? 零が?」
一気に呪縛が解け、百足丸は眼をしばたたいた。
零ならきょうの午前中、催淫剤をたっぷり注射したあげく、ありとあらゆる性感帯に鍼を打ち込んで、前後不覚になったところを後ろから前から犯しまくってやったばかりである。
その後は頑丈な革製の結束バンドで、四肢をベッドに縛りつけておいたのだ。
そうやすやすと逃げ出せるとは思えなかった。
「杏里に感応したのかもしれない。とにかく、今こっちに向かってる。警備員たちが対処しているが、大して長い時間足止めできるとは思えない」
「あんたの言ってた”あれ”はどうしたんだ? 攻撃的な優生種だけ集めて戦闘部隊を編成するって言ってただろう?」
「一応向かわせた。だが、まだメンバー不足だし、美里が合流していないから、正直あまり期待はしていない」
「なら、あんたの邪眼は? その目でもう一度、暗示にかければいいだろう」
「それも望み薄だ。気づいてないか? 零のマインドコントロールは解けかけている。耐性ができてるんだよ」
「だったら、どうすりゃいいんだよ?」
そんな馬鹿な。
百足丸は苛立った。
酸っぱい恐怖が胃の腑からこみ上げてくる。
希少メス優生種の零が本気モードに入ったら、もう手がつけられない。
雌は、百足丸たち雄優生種より更に上位の生命体なのだ。
「杏里を病院に搬送する。ただし、地下通路は零に阻まれているから、地上を行くしかない」
白衣の男たちがキャスターのついた簡易ベッドを運び入れ、杏里の横たわるベッドの横に設置した。
「あれあれ、じゃあ、遊びはもうおしまいかい?」
杏里の腹の上にまたがったりつが、残念そうに言った。
「ああ。すまないが、ばあさん、予定が変わった。とてもそれどころじゃなくなったんだ」
ビニル手袋をはめ、マスクをした男たちが、なおも痙攣している裸の杏里を簡易ベッドに移していく。
突然おもちゃを取り上げられ、その足元で太郎と花が牙を剥き出して低く唸っている。
「それで、俺はどうしたら・・・」
ふと、不吉な予感に襲われて、百足丸はたずねた。
「いずれ零はここに来る。だからおまえは、この部屋に残れ。ばあさんたちは、俺が連れていく」
酷薄な口調で、井沢が答えた。
「もっとも、その犬どもを連れていく余裕はなさそうだが」
「待てよ」
百足丸は血相を変えた。
嫌な予感が的中したのだ。
「なんで俺だけ・・・? 俺に死ねというのか?」
「少なくとも、零と情を通じたのは、百足丸、おまえひとりだからだ。おまえなら、零を止められるかもしれん。それに、万が一の時のために、いずながいる。杏里の代わりに、彼女を使って時間を稼ぐんだ。俺が杏里を安全地帯に隠すまで」
「ば、馬鹿な・・・。あの女に、情なんて通じるわけないだろう? 交尾の時、雄を頭から喰らい尽くす非情極まりない雌カマキリ、それがあいつなんだ。俺と、半人前のタナトスのいずなのふたりで、あいつを止められるわけが・・・」
「よくわかんないけど、あたしも残るよ」
ふいにりつが言い出し、百足丸と井沢を仰天させた。
「だってそうだろう? 太郎と花を連れてってくれないんなら、ここを出る意味がないよ。その零とやらが何だか知らないけどさ、兄さんとあたし、それから太郎と花がいれば、大概のことはなんとかなるんじゃないのかい?」
派手な音を立ててドアが開き、白衣の男たちが部屋になだれ込んできた。
「百足丸、まずい。零が隔離室から脱走した」
先頭に立っているのは、ひとりだけサファリジャケットにブルージーンズ姿の井沢である。
「なんだって? 零が?」
一気に呪縛が解け、百足丸は眼をしばたたいた。
零ならきょうの午前中、催淫剤をたっぷり注射したあげく、ありとあらゆる性感帯に鍼を打ち込んで、前後不覚になったところを後ろから前から犯しまくってやったばかりである。
その後は頑丈な革製の結束バンドで、四肢をベッドに縛りつけておいたのだ。
そうやすやすと逃げ出せるとは思えなかった。
「杏里に感応したのかもしれない。とにかく、今こっちに向かってる。警備員たちが対処しているが、大して長い時間足止めできるとは思えない」
「あんたの言ってた”あれ”はどうしたんだ? 攻撃的な優生種だけ集めて戦闘部隊を編成するって言ってただろう?」
「一応向かわせた。だが、まだメンバー不足だし、美里が合流していないから、正直あまり期待はしていない」
「なら、あんたの邪眼は? その目でもう一度、暗示にかければいいだろう」
「それも望み薄だ。気づいてないか? 零のマインドコントロールは解けかけている。耐性ができてるんだよ」
「だったら、どうすりゃいいんだよ?」
そんな馬鹿な。
百足丸は苛立った。
酸っぱい恐怖が胃の腑からこみ上げてくる。
希少メス優生種の零が本気モードに入ったら、もう手がつけられない。
雌は、百足丸たち雄優生種より更に上位の生命体なのだ。
「杏里を病院に搬送する。ただし、地下通路は零に阻まれているから、地上を行くしかない」
白衣の男たちがキャスターのついた簡易ベッドを運び入れ、杏里の横たわるベッドの横に設置した。
「あれあれ、じゃあ、遊びはもうおしまいかい?」
杏里の腹の上にまたがったりつが、残念そうに言った。
「ああ。すまないが、ばあさん、予定が変わった。とてもそれどころじゃなくなったんだ」
ビニル手袋をはめ、マスクをした男たちが、なおも痙攣している裸の杏里を簡易ベッドに移していく。
突然おもちゃを取り上げられ、その足元で太郎と花が牙を剥き出して低く唸っている。
「それで、俺はどうしたら・・・」
ふと、不吉な予感に襲われて、百足丸はたずねた。
「いずれ零はここに来る。だからおまえは、この部屋に残れ。ばあさんたちは、俺が連れていく」
酷薄な口調で、井沢が答えた。
「もっとも、その犬どもを連れていく余裕はなさそうだが」
「待てよ」
百足丸は血相を変えた。
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「なんで俺だけ・・・? 俺に死ねというのか?」
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「よくわかんないけど、あたしも残るよ」
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