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第574話 透明受胎
明日の授業の準備をしてて、リコーダーがないことに気づいた。
きのう、担任の神尾先生から返してもらったばっかりなのに。
先生によると、私のリコーダーは、音楽室の机の中に入ったままだったのだという。
教室に戻る時に、ちゃんと見たはずなのにおかしいな。
それより、問題はそのリコーダーが、今また消えちゃったことだ。
ママに聞いても知らないと言う。
どこでなくしたんだろう?
真夜中、トイレに行きたくなって目が覚めた。
起きようとして、カーテンの向こうから変な声が聴こえてくるのに気づいた。
さかりのついた猫みたいな声。
でも、猫じゃない。
カーテンの向こうにあるのは、お姉ちゃんのベッドだ。
つまり、これは、お姉ちゃんの声なのだ。
聴いてると、なんだか躰の芯がざわざわしてくるような奇妙な声だった。
聴いちゃいけないものを聞いた気がして、掛け布団を頭から被って寝ることにした。
学校から帰ると、不思議なことに、リコーダーが机の上に置いてあった。
しかも、洗い立てのようにピカピカになっている。
ママが見つけて、洗っておいてくれたのかな。
とにかく、助かった。
冬休み一日目の夜。
塾の講習から帰ると、家の中が変に重苦しいふんいきに包まれていた。
リビングに、ママとパパとお姉ちゃんがいて、なぜかママは泣いていた。
パパはすごく怖い顔をしてて、刑事ドラマのじんもんみたいに、お姉ちゃんに何かきいている。
「誰なんだ」とか、「相手は」とか、そんな言葉が切れ切れに聞こえてきた。
なんかとっても怖くなって、その日は夕食に呼ばれるまでずっと部屋にいた。
お姉ちゃんが、赤ちゃんを産んだ。
男の子だった。
お姉ちゃんの病室で赤ちゃんを見せてもらってる時、お見舞いに来てたばあばが、テレビをつけた。
「あれ? この人、どっかで見たこと、あるわねえ」
突然ばあばが言ったのでテレビのほうを見ると、画面に男の人の顔写真が出ていた。
「やだ。これ、うちの学校の先生だよ。担任の神尾先生」
びっくりして私が言うと、
「そうなの? それは大変だ」
ばあばが顔をしかめた。
画面には、”現役教師の盗撮グループのリーダー、逮捕”の文字。
ニュースキャスターがそこにかぶせるように、
「盗撮だけでなく、教え子の持ち物に自身の体液を付着させた件でも、再逮捕の模様です」
そう続けた。
「げえっ!」
その時、ふいにカエルが潰れたような声がした。
振り向くと、赤ちゃんを抱いた姉ちゃんが、真っ青な顔をして、吐いていた。
今にも飛び出しそうなその眼は、画面の神尾先生の顔に釘付けだった。
きのう、担任の神尾先生から返してもらったばっかりなのに。
先生によると、私のリコーダーは、音楽室の机の中に入ったままだったのだという。
教室に戻る時に、ちゃんと見たはずなのにおかしいな。
それより、問題はそのリコーダーが、今また消えちゃったことだ。
ママに聞いても知らないと言う。
どこでなくしたんだろう?
真夜中、トイレに行きたくなって目が覚めた。
起きようとして、カーテンの向こうから変な声が聴こえてくるのに気づいた。
さかりのついた猫みたいな声。
でも、猫じゃない。
カーテンの向こうにあるのは、お姉ちゃんのベッドだ。
つまり、これは、お姉ちゃんの声なのだ。
聴いてると、なんだか躰の芯がざわざわしてくるような奇妙な声だった。
聴いちゃいけないものを聞いた気がして、掛け布団を頭から被って寝ることにした。
学校から帰ると、不思議なことに、リコーダーが机の上に置いてあった。
しかも、洗い立てのようにピカピカになっている。
ママが見つけて、洗っておいてくれたのかな。
とにかく、助かった。
冬休み一日目の夜。
塾の講習から帰ると、家の中が変に重苦しいふんいきに包まれていた。
リビングに、ママとパパとお姉ちゃんがいて、なぜかママは泣いていた。
パパはすごく怖い顔をしてて、刑事ドラマのじんもんみたいに、お姉ちゃんに何かきいている。
「誰なんだ」とか、「相手は」とか、そんな言葉が切れ切れに聞こえてきた。
なんかとっても怖くなって、その日は夕食に呼ばれるまでずっと部屋にいた。
お姉ちゃんが、赤ちゃんを産んだ。
男の子だった。
お姉ちゃんの病室で赤ちゃんを見せてもらってる時、お見舞いに来てたばあばが、テレビをつけた。
「あれ? この人、どっかで見たこと、あるわねえ」
突然ばあばが言ったのでテレビのほうを見ると、画面に男の人の顔写真が出ていた。
「やだ。これ、うちの学校の先生だよ。担任の神尾先生」
びっくりして私が言うと、
「そうなの? それは大変だ」
ばあばが顔をしかめた。
画面には、”現役教師の盗撮グループのリーダー、逮捕”の文字。
ニュースキャスターがそこにかぶせるように、
「盗撮だけでなく、教え子の持ち物に自身の体液を付着させた件でも、再逮捕の模様です」
そう続けた。
「げえっ!」
その時、ふいにカエルが潰れたような声がした。
振り向くと、赤ちゃんを抱いた姉ちゃんが、真っ青な顔をして、吐いていた。
今にも飛び出しそうなその眼は、画面の神尾先生の顔に釘付けだった。
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