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ACT11 捕虜
#13 リコ③
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薄れゆく意識の中で、ふとビュンビュン丸の声が聞こえたのは、その時だ。
「すまない…。僕が余計なことを言ったばっかりに…。もういい。殺してくれ。あれは珍子じゃない。化け物だ」
リコは薄目を開け、器用に複眼から涙を流しているビュンビュン丸を見た。
「いいのか…? 本当に」
伸ばした右手の指先が、固いものに触れている。
気持ちを吹っ切ることができれば、あるいは可能かも。
「ああ」
ビュンビュン丸がうなずいた。
「後悔はしない。やってくれ」
かすかに、リコはうなずいた。
ロングソードの柄をつかむ。
そこに振り下ろされる怪獣の尾。
血のまみれの赤い針が、唸りを上げて迫ってくる。
半身をねじって、リコはソードを一閃した。
鈍い音がして、空中で節だらけの尾が真っ二つに分断される。
転がりながら、立ち上がる。
まだこれだけの力が残っていたとは、驚きだった。
まさに火事場の馬鹿力とは、このことだ。
傷口から内蔵を引きずりながら、リコは最後の力を振り絞ってジャンプした。
一瞬、怪獣の頭上で静止すると、あとは重力に任せ、剣を振り下ろしながら落下した。
ずずずずず。
怪獣が、頭の先から腹のあたりまで、ウェディング・ケーキみたいに縦に裂けていく。
緑色の臭い体液が噴き上がり、激しい音をたててリングといわず場外といわず、雨だれの如く降り注ぐ。
『リコ、少し早いですが、変身を解きます』
息せき切った口調で、イオが言った。
『そんなことしたら、マジ死ぬんじゃないか?」
はらわたのあふれ出る傷口を両手で押さえ、リングの隅にうずくまってリコは訊いた。
『いえ、むしろその逆です。変身が解ける過程で、MILKYの肉体はリコの肉体に再構成されます。その際、元データに基づいて構成が行われるので、傷は消えてしまうのです』
『なんだよ。そうならそうと、早く言ってくれよ』
安堵のあまり、リコはめまいを覚えた。
どうやらまだ、死ななくて済みそうだ。
がっくりと膝をついた時、かあっと全身が熱くなり、逆メタモルフォーゼが始まった。
「すまない…。僕が余計なことを言ったばっかりに…。もういい。殺してくれ。あれは珍子じゃない。化け物だ」
リコは薄目を開け、器用に複眼から涙を流しているビュンビュン丸を見た。
「いいのか…? 本当に」
伸ばした右手の指先が、固いものに触れている。
気持ちを吹っ切ることができれば、あるいは可能かも。
「ああ」
ビュンビュン丸がうなずいた。
「後悔はしない。やってくれ」
かすかに、リコはうなずいた。
ロングソードの柄をつかむ。
そこに振り下ろされる怪獣の尾。
血のまみれの赤い針が、唸りを上げて迫ってくる。
半身をねじって、リコはソードを一閃した。
鈍い音がして、空中で節だらけの尾が真っ二つに分断される。
転がりながら、立ち上がる。
まだこれだけの力が残っていたとは、驚きだった。
まさに火事場の馬鹿力とは、このことだ。
傷口から内蔵を引きずりながら、リコは最後の力を振り絞ってジャンプした。
一瞬、怪獣の頭上で静止すると、あとは重力に任せ、剣を振り下ろしながら落下した。
ずずずずず。
怪獣が、頭の先から腹のあたりまで、ウェディング・ケーキみたいに縦に裂けていく。
緑色の臭い体液が噴き上がり、激しい音をたててリングといわず場外といわず、雨だれの如く降り注ぐ。
『リコ、少し早いですが、変身を解きます』
息せき切った口調で、イオが言った。
『そんなことしたら、マジ死ぬんじゃないか?」
はらわたのあふれ出る傷口を両手で押さえ、リングの隅にうずくまってリコは訊いた。
『いえ、むしろその逆です。変身が解ける過程で、MILKYの肉体はリコの肉体に再構成されます。その際、元データに基づいて構成が行われるので、傷は消えてしまうのです』
『なんだよ。そうならそうと、早く言ってくれよ』
安堵のあまり、リコはめまいを覚えた。
どうやらまだ、死ななくて済みそうだ。
がっくりと膝をついた時、かあっと全身が熱くなり、逆メタモルフォーゼが始まった。
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