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「ちなみに被害者の膣なんですけど」
 ここがこじゃれたスタバの店内であることなどかまわず、久保が再び不穏な単語を口にする。
 おいおい、精液の次は女性器かよ。
「他の臓器同様、すっかり摘出されていたそうです、子宮もろとも。ついでに言えば、乳房は削り取られてたとか」
「ますますもってヤバいやつ」
「ですよねー。これは急がないと」
「まだ次があるってことか?」
「いあ。そうではなく」
 久保が綺麗な真珠色をした自分の爪から目を上げた。
「犯人が残した精液から、警察はすぐにDNA鑑定を始めたはず。亜美は思うんですよ。日本の警察って優秀だから、早く動かないと先に真犯人捕まえられちゃうかなって」
『科捜研の女』を見ていると、そんな気がしてくるのは確かである。
 私は今日何度目かのため息をついた。
「警察に先を越されたら、外道に天誅を下せないってか」
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