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「変態の癖に今ひとつリアルでの露出に踏み出せないでいた孝明は、意を決してある日、そのサイトに自撮りの動画をアップしたそうです」
 高田刑事が少し長いセンテンスを口にしたとたん、
「そういうのいるよね~。ぶっちゃけ、SNSの世界って、マジ無法地帯だからね~」
 お茶請けの紅葉饅頭を頬張りながら、源さんが感想を述べた。
 むむむ。
 カチンときて、思わず茶々を入れたくなるあたし。
「ちょっとオッサン。いい年こいて”ぶっちゃけ”とか言ってんじゃねーよ。日本語乱れるだろ? ちゃんと”正直な話”とか、”ここだけの話”って言えよな。くだんねえ若者言葉は撲滅だよ撲滅。ついでに言うと”それな~”も禁止」
「うわ、噂通りウタ子ちゃんは言葉遣いに厳しいねえ。そういえばガソスタみたいな略語も嫌いなんだって?」
 破顔一笑する禿げ親父。
 いきなりウタ子扱いかよ。
 この警察関係者二人、よっぽど久保とはツーカーの仲だと見える。
「ああ嫌いだよ。いくら末法の世だと言ってもな、せめてオトナはまともな日本語話せよな。このクソが」
「ぎゃははは、うたちゃんサイコー!」
 真顔でぶータレルあたしを見て久保が腹を抱えて笑い出す。
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