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第6章 アンアン魔界行
#61 風雲、阿修羅城⑬
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一ノ瀬に改めて指摘されるまでもなかった。
僕は猛烈に後悔していた。
この15年の人生の中で、これほど後悔したことはなかった。
僕の不用意なひと言で、事態は更に悪いほうへと進もうとしているのだ。
「ま、待て。阿修羅。今のは冗談だ。もうたっぷり楽しませてもらったから、そのへんでアンアンを解放してやってくれないか」
叫んだけど、すでに遅すぎたようだ。
「もう手後れだよ。歯車は再び回り始めちゃったもの。鋼鉄の処女でブチブチブチと串刺しにしたら、最期はフィナーレの八つ裂きの刑だよ。アンアンのむちむちバデイがバラバラになるさま、男なら誰だって見たいでしょ?」
舌なめずりするようないやらしい口調で、阿修羅がそう答えたのだ。
そして、その言葉通り、二枚貝みたく開いた”鋼鉄の処女”が、アンアンを飲み込もうと少しずつ宙を平行移動し始めたのである。
「馬鹿野郎! いくら俺がスケベでも、そこまでド変態じゃないんだぞ! 逃げろ! アンアン! そのままじゃヤバいって!」
僕の代わりに一ノ瀬も叫んでくれた。
だが、僕らの声はとうに聞こえているはずなのに、アンアンはいっこうに反応しようとしない。
両手を見えないロープで縛られ、宙づりになったまま、がっくりとうなだれてしまっている。
「だめえええ! やめてください! ご主人さまあ! そんなのひどい! ひどすぎます!」
鋼鉄の処女が音もなくアンアンの背後で静止すると、隣で玉が泣き出した。
アンアンが、誘い込まれるように、蓋の開いた鋼鉄の処女の中に入った。
「お、おい…」
僕が伸ばした手は、もちろんアンアンには届かない。
ギギギ…。
長い間油をさしていない自転車のチェーンみたいな耳障りな音を立て、
バタン。
蓋が閉まった。
女性の顔と身体をかたどった鋼鉄の棺桶が、ついにアンアンの裸身を飲み込んでしまったのだ。
ぎゃああああああっ!
悲鳴が聞こえたような気がした。
棺桶の内側にびっしりと植えられた長く鋭いトゲ。
それがアンアンの柔肌を刺し貫いたのだろう。
その証拠に、僕は見た。
宙に浮いた鋼鉄の処女の足元から、真っ赤な血がにじみ出しているのを。
それは次第に量を増やすと、ぽたりぽたりと何もない空間にしたたり始めた。
「うはあ! やった、やっちゃいましたね!」
楽しそうに阿修羅が叫んだ。
「元気くん? どうですか? 最愛の恋人が拷問されるのを目の当たりにした感想は? すごいでしょ? 興奮するでしょ? さあ、中を開けてみましょうかあ。もう、ワクワクしますよねえ。アンアンがどうなったのか、早く見たいですよねえ。うーん、むっちゃ楽しみ! わたし、思わず濡れてきちゃったじゃないですかあ!」
僕は猛烈に後悔していた。
この15年の人生の中で、これほど後悔したことはなかった。
僕の不用意なひと言で、事態は更に悪いほうへと進もうとしているのだ。
「ま、待て。阿修羅。今のは冗談だ。もうたっぷり楽しませてもらったから、そのへんでアンアンを解放してやってくれないか」
叫んだけど、すでに遅すぎたようだ。
「もう手後れだよ。歯車は再び回り始めちゃったもの。鋼鉄の処女でブチブチブチと串刺しにしたら、最期はフィナーレの八つ裂きの刑だよ。アンアンのむちむちバデイがバラバラになるさま、男なら誰だって見たいでしょ?」
舌なめずりするようないやらしい口調で、阿修羅がそう答えたのだ。
そして、その言葉通り、二枚貝みたく開いた”鋼鉄の処女”が、アンアンを飲み込もうと少しずつ宙を平行移動し始めたのである。
「馬鹿野郎! いくら俺がスケベでも、そこまでド変態じゃないんだぞ! 逃げろ! アンアン! そのままじゃヤバいって!」
僕の代わりに一ノ瀬も叫んでくれた。
だが、僕らの声はとうに聞こえているはずなのに、アンアンはいっこうに反応しようとしない。
両手を見えないロープで縛られ、宙づりになったまま、がっくりとうなだれてしまっている。
「だめえええ! やめてください! ご主人さまあ! そんなのひどい! ひどすぎます!」
鋼鉄の処女が音もなくアンアンの背後で静止すると、隣で玉が泣き出した。
アンアンが、誘い込まれるように、蓋の開いた鋼鉄の処女の中に入った。
「お、おい…」
僕が伸ばした手は、もちろんアンアンには届かない。
ギギギ…。
長い間油をさしていない自転車のチェーンみたいな耳障りな音を立て、
バタン。
蓋が閉まった。
女性の顔と身体をかたどった鋼鉄の棺桶が、ついにアンアンの裸身を飲み込んでしまったのだ。
ぎゃああああああっ!
悲鳴が聞こえたような気がした。
棺桶の内側にびっしりと植えられた長く鋭いトゲ。
それがアンアンの柔肌を刺し貫いたのだろう。
その証拠に、僕は見た。
宙に浮いた鋼鉄の処女の足元から、真っ赤な血がにじみ出しているのを。
それは次第に量を増やすと、ぽたりぽたりと何もない空間にしたたり始めた。
「うはあ! やった、やっちゃいましたね!」
楽しそうに阿修羅が叫んだ。
「元気くん? どうですか? 最愛の恋人が拷問されるのを目の当たりにした感想は? すごいでしょ? 興奮するでしょ? さあ、中を開けてみましょうかあ。もう、ワクワクしますよねえ。アンアンがどうなったのか、早く見たいですよねえ。うーん、むっちゃ楽しみ! わたし、思わず濡れてきちゃったじゃないですかあ!」
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