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第6章 アンアン魔界行
#79 アンアン、地底軍艦に乗る⑪
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「嫌だ…俺、もう、死にたい」
座り込んで頭を抱えた一ノ瀬を、女たちが輪になって取り囲んでいる。
「だいたい、なんでまた俺なんだよ。アンアンのあの”目がスマッシャー”、使えばよかったんじゃないか」
「くらった経験者からひと言いわせてもらうとね、あれは熱線だから、粘土には効かないの。縄文土器を焼いて、弥生土器にするようなものなのよ。ゴーレムは、高熱を加えると、よけいに硬くなっちゃうから」
「で、でも…あんまりだ」
「そんなことないですって。一ノ瀬君、すっごくかっこよかったですよ。玉、惚れ直しちゃいましたあ」
「そうだよ。おしっこで体長5メートルのゴーレムをやっつけちゃうなんて、キミは男の中の男だよ」
玉と阿修羅が一生懸命励ましているが、珍しく一ノ瀬は首を縦に振ろうとしない。
「うう…俺はどこまでも恥ずかしいやつなんだ。女子の前で、カンチョーされて、長々と放尿までしてしまうなんて」
「わかってんなら、もういいだろ。いい加減、立てよ。まだ半分も来てないんだ。のんびりしてると、次のやつが出てくるぞ」
アンアンははなっから、一ノ瀬をなぐさめる気なんてないようだ。
くびれた腰に両手を当て、巨乳を反らして睨みつけるように一ノ瀬を見下ろしている。
「次…次って、なんだっけ」
アンアンに活を入れられ、ようやく一ノ瀬も動く気になったようだ。
よろよろ立ち上がると、トランクスとズボンを引き上げて、ようやく見苦しいものを中にしまい込んだ。
「えーっと、確かデュラハンだと思ったけどな」
自信なさげに阿修羅が言った。
「はん? そのデュラハンってのは、何なんだよ?」
怒ったような口調で問い質すのは、アンアンである。
「簡単にいうと、首なし騎士。首のない馬に乗って、片手に槍、片手に自分の首を抱えているの。得意技は”死の宣告”。一度呪いをかけられると、1年後に確実に死ぬといわれてるわ」
「1年後? そりゃまた悠長なやつだな」
「でも、1年間も死に怯えて暮らすってのも、あまりぞっとしませんね。何かいい戦略、立てないと。バトルで重要なのは、力ではなく、戦略とチームワークですから。今のゴーレム戦で、図らずも証明されたように」
玉のいうことももっともだけど、今のは果たして戦略に入るのだろうか。
なんか、女子がよってたかってボンクラ男子をいじめてるって構図だったけど。
第一、一ノ瀬が尿意を催していなかったら、どうするつもりだったのだ?
「そいつの弱点は何だ? 今度こそ、物理攻撃、効くんだろうな?」
「んー、どうかなあ。全身甲冑で固めてるから、防御力はかなり高いと思うよ。アンアンのパンチやわたしの鞭で、果たしてダメージを与えられるかどうか…。なんせ、首がないから、目つぶしとかできないし」
「じゃあ、どうすんだ? また小便攻撃か?」
「お、俺、もう出ないって」
「というより、ディラハンにおしっこかけても、ただよけいに怒らせるだけかと…」
「うーん、何かないかなあ」
と、阿修羅が何もない宙を見据えた時である。
「う」
僕はびくんと飛び上がった。
ふいに、聞こえてきたのだ。
そう…。
蹄の音が。
座り込んで頭を抱えた一ノ瀬を、女たちが輪になって取り囲んでいる。
「だいたい、なんでまた俺なんだよ。アンアンのあの”目がスマッシャー”、使えばよかったんじゃないか」
「くらった経験者からひと言いわせてもらうとね、あれは熱線だから、粘土には効かないの。縄文土器を焼いて、弥生土器にするようなものなのよ。ゴーレムは、高熱を加えると、よけいに硬くなっちゃうから」
「で、でも…あんまりだ」
「そんなことないですって。一ノ瀬君、すっごくかっこよかったですよ。玉、惚れ直しちゃいましたあ」
「そうだよ。おしっこで体長5メートルのゴーレムをやっつけちゃうなんて、キミは男の中の男だよ」
玉と阿修羅が一生懸命励ましているが、珍しく一ノ瀬は首を縦に振ろうとしない。
「うう…俺はどこまでも恥ずかしいやつなんだ。女子の前で、カンチョーされて、長々と放尿までしてしまうなんて」
「わかってんなら、もういいだろ。いい加減、立てよ。まだ半分も来てないんだ。のんびりしてると、次のやつが出てくるぞ」
アンアンははなっから、一ノ瀬をなぐさめる気なんてないようだ。
くびれた腰に両手を当て、巨乳を反らして睨みつけるように一ノ瀬を見下ろしている。
「次…次って、なんだっけ」
アンアンに活を入れられ、ようやく一ノ瀬も動く気になったようだ。
よろよろ立ち上がると、トランクスとズボンを引き上げて、ようやく見苦しいものを中にしまい込んだ。
「えーっと、確かデュラハンだと思ったけどな」
自信なさげに阿修羅が言った。
「はん? そのデュラハンってのは、何なんだよ?」
怒ったような口調で問い質すのは、アンアンである。
「簡単にいうと、首なし騎士。首のない馬に乗って、片手に槍、片手に自分の首を抱えているの。得意技は”死の宣告”。一度呪いをかけられると、1年後に確実に死ぬといわれてるわ」
「1年後? そりゃまた悠長なやつだな」
「でも、1年間も死に怯えて暮らすってのも、あまりぞっとしませんね。何かいい戦略、立てないと。バトルで重要なのは、力ではなく、戦略とチームワークですから。今のゴーレム戦で、図らずも証明されたように」
玉のいうことももっともだけど、今のは果たして戦略に入るのだろうか。
なんか、女子がよってたかってボンクラ男子をいじめてるって構図だったけど。
第一、一ノ瀬が尿意を催していなかったら、どうするつもりだったのだ?
「そいつの弱点は何だ? 今度こそ、物理攻撃、効くんだろうな?」
「んー、どうかなあ。全身甲冑で固めてるから、防御力はかなり高いと思うよ。アンアンのパンチやわたしの鞭で、果たしてダメージを与えられるかどうか…。なんせ、首がないから、目つぶしとかできないし」
「じゃあ、どうすんだ? また小便攻撃か?」
「お、俺、もう出ないって」
「というより、ディラハンにおしっこかけても、ただよけいに怒らせるだけかと…」
「うーん、何かないかなあ」
と、阿修羅が何もない宙を見据えた時である。
「う」
僕はびくんと飛び上がった。
ふいに、聞こえてきたのだ。
そう…。
蹄の音が。
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