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第6章 アンアン魔界行
#99 アンアンとアンダーバベルの恐怖⑬
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獲物を狙う銃口のように一斉に向けられた触手の列。
その先から飛び出してきたのは、黒いヘドロ状の液体だった。
ぶしゅっ。
ぶしゅっ。
全身を伸縮させ、まるで水鉄砲のようにヘドロを吐き出す触手たち。
それが単なるヘドロでないことは、最初の一滴が地面に落ちた瞬間に分かった。
敷きつめられた石畳が、ヘドロを浴びたとたん、じゅわっと白い煙を噴き上げて溶け始めたのである。
「アンアン、やばい!」
僕が叫んだ時には、すでにアンアンは退避行動に入っていた。
「しっかりつかまってろ!」
声とともに、突然、視界が揺れた。
「うわあああっ!」
世界が反転する。
アンアンがバク転して難を逃れたのだとわかるまでに、数秒かかった。
「ちょっと、なにこれ! あつっ!」
体勢を立て直すアンアンの首っ玉にしがみつき、声のしたほうに目をやると、阿修羅が全身から煙を上げて飛び跳ねていた。
セーラー服とスカートのあちこちにヘドロの飛沫を浴びたのだろう。
服が燃え出しているのだ。
「アンアン、気をつけて! これはただの泥じゃない! 強酸性のヘドロだよ!」
阿修羅のセーラー服は今や穴だらけになり、ミニスカートには腰まである深いスリットが入ってしまっている。
「また来るぞ! おまえこそ逃げ遅れるな!」
触手たちが再び持ち上がるのを目にして、アンアンが叫び返す。
その時、下のほうから、
バババババッ!
と小気味のいい音が響いてきた。
見降ろすと、玉だった。
玉が、一ノ瀬に抱えられて、両腕のサブマシンガンを撃ち始めたのだ。
銃弾を浴びて、ヘドロをまき散らしながら吹き飛ぶ触手の群れ。
玉のやつ、やるじゃないか!
僕は心の中で快哉を叫んだ。
そうか。
その手があったんだ。
アンアンの首から左手を離すと、僕は背中に差したスパイ傘を取り出した。
ワンタッチボタンで開くと、傘は透明なバリアになった。
柄の部分についたトリガーに人差し指をかけ、玉にならってぶっ放す。
いくら僕が素人でも、これだけ的がたくさんあると、外すほうが難しい。
玉と僕で合計3丁のサブマシンガンが、おびただしい弾丸を吐き出して、触手を小汚いミンチに変えていく。
再生能力の高い邪神も、さすがにこれだけの触手を一度に失うと、すぐに修復するのは無理なようだった。
をおおおおおおおん!
怒りの超音波を発して、1対の太い触腕を振り上げ、またしても突進を開始する。
「問題は、あの頭部のバリアをどう破るかだが」
クトゥルフを迎え撃つように仁王立ちになり、僕に聞こえるようにアンアンが言った。
「あたしにひとつ、考えがある。悪いが元気、おまえにも手伝ってほしい」
「ああ、俺にできることなら」
ふたつ返事で、僕は答えた。
この辺でそろそろみんなの役に立たないと、お天道様にも申し訳ないというものだ。
「でも、なんだ? その考えって?」
僕を横目で見ると、アンアンが小声で言った。
「あたしがバリアに穴を開ける。そしたらおまえが中に飛び込むんだ」
その先から飛び出してきたのは、黒いヘドロ状の液体だった。
ぶしゅっ。
ぶしゅっ。
全身を伸縮させ、まるで水鉄砲のようにヘドロを吐き出す触手たち。
それが単なるヘドロでないことは、最初の一滴が地面に落ちた瞬間に分かった。
敷きつめられた石畳が、ヘドロを浴びたとたん、じゅわっと白い煙を噴き上げて溶け始めたのである。
「アンアン、やばい!」
僕が叫んだ時には、すでにアンアンは退避行動に入っていた。
「しっかりつかまってろ!」
声とともに、突然、視界が揺れた。
「うわあああっ!」
世界が反転する。
アンアンがバク転して難を逃れたのだとわかるまでに、数秒かかった。
「ちょっと、なにこれ! あつっ!」
体勢を立て直すアンアンの首っ玉にしがみつき、声のしたほうに目をやると、阿修羅が全身から煙を上げて飛び跳ねていた。
セーラー服とスカートのあちこちにヘドロの飛沫を浴びたのだろう。
服が燃え出しているのだ。
「アンアン、気をつけて! これはただの泥じゃない! 強酸性のヘドロだよ!」
阿修羅のセーラー服は今や穴だらけになり、ミニスカートには腰まである深いスリットが入ってしまっている。
「また来るぞ! おまえこそ逃げ遅れるな!」
触手たちが再び持ち上がるのを目にして、アンアンが叫び返す。
その時、下のほうから、
バババババッ!
と小気味のいい音が響いてきた。
見降ろすと、玉だった。
玉が、一ノ瀬に抱えられて、両腕のサブマシンガンを撃ち始めたのだ。
銃弾を浴びて、ヘドロをまき散らしながら吹き飛ぶ触手の群れ。
玉のやつ、やるじゃないか!
僕は心の中で快哉を叫んだ。
そうか。
その手があったんだ。
アンアンの首から左手を離すと、僕は背中に差したスパイ傘を取り出した。
ワンタッチボタンで開くと、傘は透明なバリアになった。
柄の部分についたトリガーに人差し指をかけ、玉にならってぶっ放す。
いくら僕が素人でも、これだけ的がたくさんあると、外すほうが難しい。
玉と僕で合計3丁のサブマシンガンが、おびただしい弾丸を吐き出して、触手を小汚いミンチに変えていく。
再生能力の高い邪神も、さすがにこれだけの触手を一度に失うと、すぐに修復するのは無理なようだった。
をおおおおおおおん!
怒りの超音波を発して、1対の太い触腕を振り上げ、またしても突進を開始する。
「問題は、あの頭部のバリアをどう破るかだが」
クトゥルフを迎え撃つように仁王立ちになり、僕に聞こえるようにアンアンが言った。
「あたしにひとつ、考えがある。悪いが元気、おまえにも手伝ってほしい」
「ああ、俺にできることなら」
ふたつ返事で、僕は答えた。
この辺でそろそろみんなの役に立たないと、お天道様にも申し訳ないというものだ。
「でも、なんだ? その考えって?」
僕を横目で見ると、アンアンが小声で言った。
「あたしがバリアに穴を開ける。そしたらおまえが中に飛び込むんだ」
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